パイオニア情報

【MtGPioneer】本当にアゾコンはボロス召集で勝てなかったのか?~GOQ Valenciaの結果を分析してみた~

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眞白井エイドです。
普段はYoutubeでMtGパイオニア環境に関する配信活動をしています。

今日、Twitterを眺めていたらこんなツイートが流れてきました。

海外のRCQ……日本で言うチャンピオンズカップファイナルの結果に関する、市川プロのツイートです。
このツイートを見て、自分が最初に抱いた感想はこうでした。

 

『ああ~、やっぱりアゾコンはボロス召集きつかったんだな~~』

 

現在大流行中の【ボロス召集】。3T~4Tには相手を詰め切る、とても速いアグロです。
早くもトーナメントシーンで活躍しており、執筆現在は、大きな大会で戦う上では意識しないといけないデッキの1つになっています。
このデッキに対して苦労するデッキは多く、特に最大手デッキの1つ、【アゾリウス・コントロール】はかなり厳しい戦いになるというのが一般的な見解でした。

なのでこの市川選手のツイートにも、「ボロス召集がきつくてアゾコンが抜けられなくなっている」という文脈は含まれていたのかな?と思います。(違ったらごめんなさい)

ですが! 自分の直感の感想を鵜呑みにしていけない、そしてソースがあるツイートはソースもチェックするのがMtGの環境を把握する上では大事。
ということで、一旦最初の感想は横に置いておいて、ソースの画像……各デッキのDay1支配率とDay2支配率の表を見てみたのですが……

 

……あれ、ボロス召集も全然勝ってなくない?
確かにアゾコンは全然抜けてないけど、抜けてなさで言ったら、アブパルとかディミコンも抜けてなくない?
なんなら、イゼット独創力やロータスが勝ちぬけてるのも気になるな?

――これ、アゾコン勝てなかった理由、ボロス召集以外にもあるんじゃない?

ということで、Meleeでリストも出そろっていたので、もうちょっとGOQ Valenciaの結果を詳しく見てみようと思います!
まだまだパイオニア環境については勉強中の身ですので、もしご意見等ありましたらコメントやTwitterに頂けるととてもありがたいです。

 

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デッキ分布を詳しく見てみる

疑問:急にアゾコンは弱くなったのか?

最初に自分が気になったのは、『本当にGOQ Valenciaだけでアゾコンが負けたのか?』、つまり、アゾコン自体が最近不調である可能性です。
ということで、直近の大規模大会「NRG Series $10,000 Showdown – Minneapolis (Pioneer)」の結果と比較してみます。(Day2の無い大会なので純粋な比較にはならないのですが他になかった)

結論として、NRG Seriesでは【アゾリウス・コントロール】は不調ではありませんでした。
むしろ、勝率としてはトップクラスの成績です。

https://melee.gg/Tournament/View/14059

ということは、5/21⇒5/28の間で起きた「変化」が、GOQ Valenciaでの結果に影響していそうです。

 

疑問:アゾコンだけが負けているのか?

やはり【ボロス召集】なのか……?と思いつつ、オリジナルの表を詳しく見ていきます。

https://twitter.com/YahiAnael/status/1662755497294929926

ここで気になる点は以下の4つ。

【ラクドス・ミッドレンジ】がDay1・Day2ともに最大手
・使用者10名以上のデッキで、支配率がDay1<Day2になったのは
 【緑単信心】【イゼット独創力】【ロータス・コンボ】【白単人間】
・使用者10名以上のデッキで、支配率がDay1>Day2になったのは
 【アゾリウス・コントロール】【アブザン・パルヘリオン】【ボロス召集】
・使用者5~9名のデッキで支配率がDay1<Day2になったのは
 【イゼット・フェニックス】【ボロス・アグロ】【ケルーガ・ファイヤーズ】【新生化】

 

そう、【ボロス召集】も【アゾリウス・コントロール】も、数字だけで見れば同じ『負け組』なのです。
しかし、この2つのデッキはどちらも「弱点」が異なります。アグロとコントロールだもんね。
また、もう1つの負け組【アブザン・パルヘリオン】も併せると、全然タイプの異なるデッキが負けていることが分かります。
ということは、『2つ以上の要因が、負け組を生んでいるのでは?』と考えられます。

 

疑問:負け組に共通点はあるのか?

負け組が生まれる要因で一番わかりやすいのが、『苦手なデッキが大会に多かった』です。
ということで、MTG Metagameの5月中のデータを参考にしつつ、使用者10名以上のデッキとの相性を整理しました。
なお、対戦数5回以下のデータについては、信頼性がかなり薄いので「データなし」としています。
表記は〇:有利、△:どちらともいえない、×:不利です。

【アゾリウス・コントロール】
vs【ラクドス・ミッドレンジ】〇(57.1% 33%-79%) 一般的には×~△
vs【緑単信心】△(50.0% 19%-81%) 一般的には△
vs【イゼット独創力】〇(66.7% 33%-90%) 一般的には〇
vs【アブザン・パルヘリオン】〇(57.1% 25%-84%) 一般的には〇
vs【ロータス・コンボ】データなし 一般的には×
vs【白単人間】データなし 一般的には△~〇
vs【ボロス召集】データなし 一般的には×
【ボロス召集】※MTG Metagameのデータ数が少なかったので一般のみ
vs【ラクドス・ミッドレンジ】一般的には△~〇
vs【緑単信心】一般的には△~〇
vs【アゾリウス・コントロール】一般的には〇
vs【イゼット独創力】一般的には×~△
vs【アブザン・パルヘリオン】一般的には△~〇
vs【ロータス・コンボ】一般的には〇
vs【白単人間】一般的には〇
【アブザン・パルヘリオン】
vs【ラクドス・ミッドレンジ】データなし 一般的には△
vs【緑単信心】〇(66.7% 30%-90%) 一般的には〇
vs【アゾリウス・コントロール】×(42.9% 16%-75%) 一般的には×
vs【イゼット独創力】〇(72.7% 43%-90%) 一般的には△
vs【ロータス・コンボ】データなし 一般的には△
vs【白単人間】〇(57.1% 25%-84%) 一般的には△~〇
vs【ボロス召集】データなし 一般的には×~△

 

MTG Metagameでは、【アゾリウス・コントロール】が【ラクドス・ミッドレンジ】に勝てているのが気になりますが、それは一旦置いておいて。

こうやって見てみると、【アブザン・パルヘリオン】は勝ちきれないデッキが支配率上位に多かったのかなと感じます。特に非常に苦手な【アゾリウス・コントロール】が支配率3位なのはネックだったでしょうし、最大手の【ラクドス・ミッドレンジ】にもとても強いというわけではないのも厳しそうです。

一方で、【アゾリウス・コントロール】は最大手の【ラクドス・ミッドレンジ】こそ壁ですが、得意とするデッキが支配率上位に一定あり、悪くない立ち位置にも見えます。
【ボロス召集】も同じような雰囲気ですね。

では、この2つのデッキが負けたのは、どんなデッキだったのでしょうか?

 

マッチングを詳しく見てみる

ということで【アゾリウス・コントロール】33名と【ボロス召集】13名のマッチングを洗いました。
疲れました。

疑問:アゾコンは何に負けたのか?

こちらが使用者10名以上のデッキと【アゾリウス・コントロール】のまとめです。
(ミラーについては別の方の集計では50%だったそうです ご指摘ありがとうございます)

やはり目立つのは、【ラクドス・ミッドレンジ】へのマッチ数の多さと非常に低い全体勝率。
【緑単信心】に対しても、やや苦戦していた様子がうかがえます。
【ボロス召集】への相性は下馬評通り悪いものの当たり自体は少なく、苦しめられた相手の比率としては【ラクドス・ミッドレンジ】【緑単信心】が多そうです。

もう一つ気になるのが、『その他』への勝率の悪さ。
ドローが多いこともありますが、勝率は4割を切っており、現在の環境だとTier2以下にも苦しい相手が多いのかな?ということが伺えます。 

https://twitter.com/YahiAnael/status/1662755497294929926

使用者10名以下のデッキを細かく見ていくと、得意とする重いデッキよりは、【スピリット】【ディミーア・ローグ】【イゼット・フェニックス】といったクロック・パーミッションの比率がやや高く、【グルール・ビークルズ】や【ボロス・アグロ】などの早いデッキも少なくないため、その他デッキにも勝ちにくかったのは納得感があります。

 

疑問:ボロス召集は何に負けたのか?

そしてこちらが【ボロス召集】のまとめ。

【アゾリウス・コントロール】より使用者の多かった【ラクドス・ミッドレンジ】【緑単信心】に大きく負けていました。
特に【緑単信心】に対してはマッチ数自体がやや少ないですが、驚異の勝率2割切りをしており、かなり相性が悪そうです。
一方で、トーナメントレベルでも、【アゾリウス・コントロール】【イゼット独創力】と言ったコントロール、【アブザン・パルヘリオン】に対しては一定の強さがあることが結果から伝わってきますね。

【その他】への勝率は42.5%と高くはありませんが、【アゾリウス・コントロール】よりはやや良い数字です。あとアグロなので当たり前だけどドローがない

 

一旦の結論

本当ならここからデッキリスト単位でさらに理由を詰めていきたかったのですが、力尽きたので一旦の結論を出そうと思います。

一旦の結論①:
アゾコンはボロス召集にも苦戦はしたが、それよりもラクドス・ミッドレンジに苦戦したのが大きそう

【アゾリウス・コントロール】の対【ボロス召集】の勝率を出したとき、『思ったより勝ってるな』というのが最初の感想でした。
たしかに勝率4割は悪い部類ですが、それよりも対【ラクドス・ミッドレンジ】へのさらなる勝率の低さが、Day2進出者の少なさの理由として比率が大きいかなと思います。
【緑単信心】への勝ちきれなさも気になる所です。

デッキリストを細かく見ていったら、もしかしたら【ボロス召集】へのガードが上がり過ぎて【ラクドス・ミッドレンジ】に大きく負けた……みたいなことも見えてくるかもしれません。

 

一旦の結論②:
ボロス召集はアゾコンに勝ったが、それ以上にラクドス・ミッドレンジと緑単信心に負けたので勝ちきれなかった

たしかに【ボロス召集】は、これまでのパイオニアにはない革新的なデッキです。
ですが、今回のGOQ Valenciaの結果に関しては、大会の大勢を決めるほどの影響力は無かったのかな?と思いました。

【アゾリウス・コントロール】【アブザン・パルヘリオン】を減らし【緑単信心】を勝ちやすくしたという点では影響はあったかもしれません。
デッキリストを細かく見れば、他のデッキのサイドボードに大きく影響を与え、それが勝敗を分けているのかもしれません。

ですが『結果』だけを見れば、GOQ Valenciaの【ボロス召集】は、使用率の高い【ラクドス・ミッドレンジ】【緑単信心】を突破できなかったTier2デッキ……PTPhylexiaにおける【グルール・ビークルズ】のような立ち位置なのかなと思います。

もしかしたら今後は、対ラクドス・対緑単にリストを検討すると、次の大会では結果が変わるかもしれません。

 

一旦の結論③:
アブザン・パルヘリオンはアゾコンとボロス召集に挟まれて辛かったぽい

「【アブザン・パルヘリオン】は勝ちきれないデッキが支配率上位に多かったのでは」という話をしましたが、マッチ別勝率を出してみると、【アゾリウス・コントロール】【ボロス召集】への相性が悪かったことが伺えます。

細かくマッチ別勝率を出したら、他にも苦戦したデッキが出てくるかもしれませんが、大まかにこの2デッキに挟まれて足並みが遅くなったことは事実と見て良いのではないでしょうか。

【アブザン・パルヘリオン】としては、今後は【ボロス召集】は強く意識すべきデッキかもしれません。

 

追い切れなかった疑問点

疑問:さすがにここまでラクドスがアゾコンをボコったのは何かあるのでは?

元々有利なデッキではありますが、流石にこの勝率は何かあったのではと思います。
【ラクドス・ミッドレンジ】上位の採用カードは洗いたい所です。

⇒調べました!

 

疑問:緑単信心が頑張れたのは何かあるのでは?

元々極端に【ラクドス・ミッドレンジ】【アゾリウス・コントロール】に不利が付くデッキではないのですが、それでも好成績について【ボロス召集】以外の後押しがあったことは気になります。

ポルクラノスやバトルの採用が効いていたりするかも?

 

疑問:イゼット独創力のDay2進出率が良かった理由は?

【イゼット独創力】は、【アゾリウス・コントロール】【ボロス召集】ともに勝率が悪いというのが結果の集計で出ていました。
ですが、実際の結果を見てみると、25.9%がDay2抜けしており、進出率は高い部類に入ります。

この2つよりも【ラクドス・ミッドレンジ】【緑単信心】が勝ちぬけた影響が大きかったのか?
デッキリスト単位で進出者が工夫をしていたのか?

もうちょっと詳しく見てみると、面白いかもしれません。

 

疑問:ロータス・コンボのDay2進出率が良かった理由は?

対【ラクドス・ミッドレンジ】・対【ボロス召集】については、【ロータス・コンボ】との勝率は五分五分の結果でした。
ですが、Day2進出率は33%と使用者10名以上のデッキでは最高で、勝ち上がった理由がこの2デッキ以外にありそうな気配がします。

こちらもマッチングを当たると何かが見えてきそうです。

 

まとめ

ということで、『アゾコン、大型大会だと召集よりラクドスがキツい説』という話でした。

鮮度重視でざっくりとまとめたので読みにくい点・分かりにくい点もあったかと思いますが、何かの参考になれば幸いです。

また、今回の集計で使ったスプレッドシートを公開しますので、もし追加の分析等したい方がいましたらご自由にお使いください!

また、自分は毎週火曜日に「デッキリストを見る配信」で、MOを中心としたパイオニアのデッキリストの情報収集配信をしています。

この記事も大いに配信の内容が参考になっているので、ぜひ配信もご覧になっていただけると嬉しいです!
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それでは、また!

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