眞白井エイドです。
突然ですが、皆さんはパイオニアの【ネオ剥ぎラクサ】というデッキをご存じでしょうか?
…………
名前はいま自分が突然付けたためご存じないと思いますが、デッキリストを見たことのある方は多いでしょう。
MOプレイヤーのCasey Lancaster氏が、League 4-1リストとしてTwitterに公開したリスト。
バーチャルメイドデュエリスト・曳山まつりか氏が配信で回されていたのが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?
さてこの【ネオ剥ぎラクサ】――より正確に言うならば【新生化魂剥ぎアトラクサ】、実は本当に美しく組まれた、スゴいデッキなんです。
ということで、本当は動画にしたかったんですが!!!、作る時間がないため記事にて紹介したいと思います。
前身となったデッキ
【ネオ剥ぎラクサ】には、前身となるデッキが3つ存在します。
それが【魂剥ぎ】【ネオホールド】【新生化アトラクサ】です。
グッドオールド・ロマンシナジーデッキ【魂剥ぎ】
【魂剥ぎ】は、その名の通り《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》を中核に据えた、歴史の長いシナジー重視デッキです。
《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》は、「探査」で追放したクリーチャーのキーワード能力を剥いで自分のものにする、というダイナミックな能力を持ったクリーチャー。
当時のスタンダードでは《彩色マンティコア/Chromanticore(DMC)》《森の女人像/Sylvan Caryatid(THS)》を相棒にし、モダンでも《原初の夜明け、ゼタルパ/Zetalpa, Primal Dawn(RIX)》を相棒にし、グランプリリヨン18で活躍。
そして「運命再編」のカードのためパイオニアでも組める、コアなファンの多いデッキです。
配信者では、魂剥ぎ専門MOVtuberのYuseiMaxさんが代表格ですね。
【魂剥ぎ】《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》の能力をフルパワーで活用するため、切削パーツを多用するのが特徴です。
そのため、同様に切削パーツを多用する墓地活用シナジーのデッキであれば、【魂剥ぎ】と融合できる、という可能性を秘めています。
墓地活用デッキは、パイオニアでは【パルヘリオン・シュート】が代表格。
カードの特性上、黒・青・緑のいずれかが絡むデッキに組み込みやすく、パルヘリオンも黒+青or緑+白のデッキのため、相性がいいというわけです。
しかし組み込みやすさの裏を返せば、魂剥ぎシナジーだけでは現在のパイオニアではパワー不足ということ。(かなしい)
布告除去が少ないパイオニアでは、究極生命体となった《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》自体は非常に強力なのですが、やはり他のカードが切削と追放先としての役割が大きく、どうしても構造的な弱さがぬぐえない、というのが実情です。
・そのため、【魂剥ぎ】は黒・緑・青の絡む墓地活用デッキに組み込みやすい
・《魂剥ぎ》自体のパワーは高い
・【魂剥ぎ】デッキのパワー不足の一因は、他のカードが切削と追放先としての役割が大きすぎること
閃光のごとく輝いたロマンデッキ【ネオホールド】
【ネオホールド】――【新生化ロアホールド】は、《新生化/Neoform(WAR)》を使って《ヴェロマカス・ロアホールド/Velomachus Lorehold(STX)》を出すことに特化したデッキ。
以前、週刊ふんわりパイオニア便りでも特集したことがあるのですが、その潔さに驚いた記憶があります。
めちゃくちゃ切削する!
6マナ探査持ちを出す!!
新生化する!!!
7マナのロアホールドを出す!!!!
追加ターンを3回めくる!!!!!
ハズれたら終わり!!!!!!!!!
うーん、男気。
《異世界の凝視/Otherworldly Gaze(MID)》はさることながら、《テイガムの策謀/Taigam’s Scheming(KTK)》《有事対策/Contingency Plan(EMN)》まで入っているのは『本気(マジ)』を感じます。
無論、サブプランは《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills(UMA)》《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(UMA)》での仕方なしビートダウン以外は無し。
《屍呆症/Necromentia(M21)》なんかされた日には目も当てられません。
Pioneer Challengeで1度入賞はしましたが、その後Leagueでもそれほど使われることはなく、墓地対策ともっと強いコンボの波に消えていったのでした……
・6マナの探査クリーチャーで7マナの《ロアホールド》にアクセス
・あまりにも潔いコンボ特化でサブプランが無いようなもの
・《ロアホールド》で3回追加ターンをめくれないと勝ちきれない不安定さがある
期待のニューカマー・ロマンデッキ【新生化アトラクサ】
そして、【新生化アトラクサ】は、《新生化/Neoform(WAR)》を使って《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifie(ONE)》を出すことを最終目標にしたデッキ。
【ネオホールド】の「切削+探査6マナクリーチャー+新生化」のパッケージをスライドし、【ネオホールド】登場時に無かった優秀な切削&呪文リサイクルスペル《第三の道の創設/Founding the Third Path(DMU)》を追加。
また、除去ミッドレンジとしても振る舞えるようになっており、【ネオホールド】ほどフィニッシャーから早急に勝つことは重視していません。理性だ……
《新生化/Neoform(WAR)》から《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifie(ONE)》が降臨したときの制圧力はすさまじく、平均4枚の手札アドバンテージを稼ぎながら、8/8 飛行・絆魂・接死・警戒が降り立ちます。
一方で、サブプランのビートダウンで使われる《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills(UMA)》《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(UMA)》は、ネオホールドより枚数が減っていること、そして何よりも除去耐性のなさ、能力の少なさでやや頼りなさがあります。
特に、使用率の高い【ラクドス・ミッドレンジ】の《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse(DMU)》、【緑単信心】の《茨の騎兵/Cavalier of Thorns(M20)》、【エニグマ・ファイヤーズ】や【アゾリウス・コントロール】の《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad(IKO)》で完全に止まってしまうのはかなり手痛いです。
もちろん【ネオホールド】よりは、除去ミッドレンジ要素でデッキとしての固さは上がっているのですが……
・6マナの探査クリーチャーで7マナの《アトラクサ》にアクセス
・《アトラクサ》でのアドバンテージ稼ぎがすさまじい
・サブプランとして除去ミッドレンジを取り入れた
・サブプランのビートダウンのクリーチャーの質にやや不安がある
お気づきになられただろうか
さて、ここまで列挙して既にお気づきになった方もいるかもしれません。
・そのため、【魂剥ぎ】は黒・緑・青の絡む墓地活用デッキに組み込みやすい
・《魂剥ぎ》自体のパワーは高い
・【魂剥ぎ】デッキのパワー不足の一因は、他のカードが切削と追放先としての役割が大きすぎること
・6マナの探査クリーチャーで7マナの《ロアホールド》にアクセス
・あまりにも潔いコンボ特化でサブプランが無いようなもの
・《ロアホールド》で3回追加ターンをめくれないと勝ちきれない不安定さがある
・6マナの探査クリーチャーで7マナの《アトラクサ》にアクセス
・《アトラクサ》でのアドバンテージ稼ぎがすさまじい
・サブプランとして除去ミッドレンジを取り入れた
・サブプランのビートダウンのクリーチャーの質にやや不安がある
なんかこの3つのデッキ、共通点ちょこちょこない?
それでもって、弱い所補えそうじゃない?
そういえば、《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》って、マナコストいくつだっけ……
6マナじゃねーか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ということでお待たせしました、【ネオ剥ぎラクサ】の登場です。
これが【ネオ剥ぎラクサ】だ!
【魂剥ぎ】のデッキパーツの弱さを【新生化アトラクサ】のアドバンテージ確保・フィニッシャー能力で補い、
【ネオホールド】のコンボ特化の脆弱性を【新生化アトラクサ】での除去ミッドレンジで支え、
【新生化アトラクサ】のクリーチャー面の頼りなさを【魂剥ぎ】で補強する。
《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifie(ONE)》のキーワード能力は、《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》で剥ぎ取っても強力。
《魂剥ぎ/Soulflayer(FRF)》からも《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifie(ONE)》にアクセスでき、プラン変更も容易。
切削カードも、3つのデッキで試されてきたカードの中で強力なものがピックアップされ、除去ミッドレンジ用のカードもきちんと入るようになっています。
そう、このデッキは、デッキの抱える弱さに苦しみ、それでも決めたいシナジーに憑りつかれ、補強と改善を繰り返してきた、パイオニアロマンデッキの歴史の1つの到達点とも言えるデッキなのです。
(※諸説ある)
また、執筆時点では墓地対策へのガードが低く、大振りなデッキが【ラクドス・ミッドレンジ】に圧をかけているのが、MOイベント・店舗予選環境になっています。
そう、ネオ剥ぎラクサを活躍させるならまさに今!……なのかも知れません。
もしご興味があれば、組んでみるのもいかがでしょうか?
終わりに
今回、この記事を書いたのは、「週刊ふんわりパイオニア便り」を書く中で見てきたデッキが、美しくまとまっていたのに非常に感動した、というのが大きいです。
もちろん【ネオ剥ぎラクサ】が生まれるまでの過程については、全てを知っているのは作者さんだけなのですが、それでもこれまでのパイオニアでのロマンデッキの紆余曲折は、無縁ではないのかなと思います。
まだまだ勉強中の身ではありますが、それでもこのデッキが組みあがるまでの流れに気づけ、立ち会えたことは、これまでの執筆経験のたまものなのかなぁ……としみじみしています。
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