パイオニア情報巧者に訊く

【パイオニアインタビュー企画】#巧者に訊く 第3回前編:袁術陛下さん/アゾリウス・コントロール

パイオニア情報

眞白井エイドです。

普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。

さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。

今回は、2023年6月末にプレイヤーズコンベンション千葉2023にて開催された「パイオニアオープン」でTop4に入られ、次回「シーズン2サイクル1チャンピオンズカップファイナル」の権利を獲得された、袁術陛下さんにお話を伺いました。

noteでも精力的に記事を書かれており、なみなみならぬ白青コントロールへの愛と情熱をお持ちの方ですが、今回のインタビューでもたくさんお話を伺えまして……なんと、前編・後編でお送りいたします!

前編では、「アゾリウス・コントロール」というデッキについてと、パイオニアオープンにて使用されたリストについてのお話を中心にお伺いします!

 

スポンサーリンク

自己紹介

眞白井
眞白井

まずは、自己紹介からお願いします!

へいかさん
へいかさん

袁術陛下ことへいかです。
Twitterは@enzyutuheikaで投稿しているほか、noteでもたまに記事を投稿したりもしています。

へいかさん
へいかさん

MTG歴としては、初めてMTGに触れたのが2018年11月25日のMTGアリーナ。
テーブルトップの方は「ラヴニカの献身(2019年)」のプレリリースでした。
なのでだいたい4年ぐらいですね。

へいかさん
へいかさん

お世話になっているお店は信心亭、MINT横浜店、晴れる屋横浜店です。
ただ、ここ最近は競技イベントばかり出ているので、これらのお店さんたちに行く機会がなかなか無いのが心残りですが……

眞白井
眞白井

信心亭さんについては、公式カバレージにへいかさんが取材された際もお名前を出されていましたよね。
実は自分も、信心亭さんはテーブルトップに参入するときに素敵な出会いをさせていただいたお店でして。
同じく長らく顔を出せていないので、久しぶりにまたご挨拶に行きたいところですねー。

 

へいかさん
へいかさん

好きな色は特にこだわりはないと思っているんですが、気づくと青白系のデッキばかり使っているのでアゾリウスカラーということで。
好きなカードは《荒野の再生/Wilderness Reclamation》です。
今のパイオニアならきっと耐えられるので大丈夫(?)です。解禁よろしくお願いします。

眞白井
眞白井

《荒野の再生》は、先のカバレージ記事(2019年スタン)でも使われてましたね!
……うーん、耐えられる……耐えられる……のか?

※インタビューは7月下旬に進められていましたが、8月の禁止改訂では《荒野の再生》は解禁になりませんでした

 

眞白井
眞白井

ではずばり、今回出された成績をお願いいたします!

へいかさん
へいかさん

プレイヤーズコンベンション2023幕張で開催されたパイオニアオープンで、スイスラウンドは8-1の6位通過、続くシングルエリミネーションで準決勝敗退のTop4でした。

へいかさん
へいかさん

これに伴い、プレイヤーズコンベンション2023常滑で開催される、シーズン2サイクル1チャンピオンズカップファイナルの権利を獲得しました。
第1回、第2回のプロツアー権利を獲得された方々と比べると誇れるような実績ではないのですが……

眞白井
眞白井

いやいやとんでもないですよ!
チャンピオンズカップファイナル進出者まで混ざった405名での激闘でしたし!
しかも、前日にチャンピオンズカップファイナルに参加されてからの連戦という……
非常にタフな戦いだったかと思います!

 

デッキについて

眞白井
眞白井

では、今回使用されたデッキと、デッキをあまり知らない方向けの簡単な説明をお願いします。

へいかさん
へいかさん

アゾリウス・コントロールです!
MtGの歴史でとても古く伝統のあるアーキタイプの一つであり、愛用者がとても多い印象があります。

へいかさん
へいかさん

パイオニアでは、相手の呪文に対して《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》《吸収/Absorb》といったカウンターを擁し、ボードに出てしまったクリーチャーたちには《至高の評決/Supreme Verdict》を代表する全体除去で一掃するか、《冥途灯りの行進/March of Otherworldly Light》などの単体除去で対処します。

へいかさん
へいかさん

そして相手が息切れしたところに《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》《放浪皇/The Wandering Emperor》らプレインズウォーカーを投下。
《記憶の氾濫/Memory Deluge》などのアドバンテージ源でリソース差を作り出し、相手の首をじわじわと真綿で締め付ける古き良きコントロールデッキです。

 

眞白井
眞白井

デッキ自体はどれくらいの期間使われていますか?

へいかさん
へいかさん

2022年5月1日の『ニューカペナの街角』BOX争奪パイオニア杯が初めてパイオニアに参入した大会で、この時からずっとアゾリウスコントロールを擦り続けています。

へいかさん
へいかさん

パイオニアに参入するにあたりアゾリウス・コントロールを選択したきっかけとしては、2019年12月にThe Finalsというスタンダード大会の最後の予選が晴れる屋TCで行われており、記念参加のつもりでアゾリウス・コントロールで参加したところ、そのまま権利獲得した成功体験があったからですね。

眞白井
眞白井

あ、The Finalsって……先の取材記事で最後に触れられてた大会ですか!?

https://mtg-jp.com/coverage/mfyok19/article/0032390/

カバレージ記事の執筆は2019年4月

眞白井
眞白井

あの後に参加されていたんですね……!
インタビューでテーブルトップで戦うための自信をもらい、そして大会に挑戦して得た勝利体験が、今のパイオニアでの活躍の道の始まりにもなっていたと……
何というか、胸アツだ……

へいかさん
へいかさん

そうなんですよ!
あのインタビューを受けた当時はMTGを始めてまだ半年にも満たない時で、不安だった私の背中を後押ししてくれました。

へいかさん
へいかさん

それが今やどっぷりと首まで競技に浸かることになるとは……
これを見ているかどうかはわかりませんが、あなたのおかげで今の私があります。
ありがとうございます。

へいかさん
へいかさん

このインタビューの方、実は公式の日本選手権やチャンピオンズカップファイナルなど大型大会優勝者の似顔絵を描かれているアノアデザインの代表の方なので、優勝して似顔絵を描いてもらう事が密かな夢です。

 

眞白井
眞白井

ではデッキについてお話を戻しまして……今回使用されたアゾリウス・コントロールというデッキの良い所・メリットを教えてください。

へいかさん
へいかさん

確定カウンターを多く擁し、これらを強く使えるソーサリータイミングで動く大ぶりなデッキ、つまりエニグマ・ファイヤーズ/奇怪な具現や、イゼット独創力などには有利が取れるデッキとなっています。
メインではクリーチャーを採用していない関係上、相手の除去がほとんど刺さらないのも一つの利点ですね。

へいかさん
へいかさん

相手の動きの要所を的確に弾きつつ、ライフというリソースを犠牲にしながら猛攻を凌いだ後に、《記憶の氾濫》《ドミナリアの英雄、テフェリー》でリソース差を作り出し、そして得意とする時間帯である中盤~終盤で捲っていく感覚は他のデッキではなかなか味わえないものです。

へいかさん
へいかさん

また、ゲームが長引く関係上、生まれる選択肢も多岐に渡ります。
「ここでカウンターするのか?」「ここでこの除去を切るのか?」といった数々の選択肢から正解となるものを手繰り寄せる必要があります。
そのためには、環境に存在するデッキとそのリストを出来る限り把握し、その上で構築の段階からどのように意識するか? そして実際に対面した際、どのように対応していくかを考えていかねばなりません。

へいかさん
へいかさん

この前準備に対してしっかりと応えてくれる感覚が分かりやすいのも、またアゾリウスコントロールのいいところでもあります。

アゾリウス・コントロールには「ならでは」の味と良さがある!

 

眞白井
眞白井

逆に、アゾリウス・コントロールの難しい所・良くない所・デメリットを教えてください。

へいかさん
へいかさん

どの環境でも同じことが言えますが、押し付けが強いパイオニアの環境で「受け続ける」ことしかできない点がまず挙げられます。
いずれも「受けるカード」であり、押し付ける動き……いわゆる「ブン回り」があまりないデッキです。これが大きな短所と言えるでしょう。

へいかさん
へいかさん

また、この「受ける」行為を成立させるために、カードのチョイスもテックカードを採用しないといけません。

※テックカード(Tech Card):ハースストーン用語で、一部のデッキには刺さるが他のデッキには刺さらないカードのこと

へいかさん
へいかさん

例えば、非クリーチャーを主とするデッキ相手には無類の強さを誇る《ドビンの拒否権》ですが、ほぼクリーチャーしか入っていない白単人間相手には《冥途灯りの行進》のコストになるぐらいで、土地以下の価値でしかありませんよね……
このように、メインではここの嚙み合わせが悪いとあっという間に敗北してしまう一面もあります。

へいかさん
へいかさん

また、他のデッキでは土地が4~5枚もあれば十分なのに対し、アゾリウスコントロールでは《ドミナリアの英雄、テフェリー》のための5枚が最低ラインとなっているのも一つの特徴であり、大きな欠点です。
そして《記憶の氾濫》のフラッシュバックや、ミシュラランドである《ストーム・ジャイアントの聖堂》の起動等により、勝利のためには土地が7枚以上必要というかなり後ろ向きなデッキですね。

眞白井
眞白井

土地の要求枚数に関しては、外からは見えにくい、使い手だからこそ厳しいと感じる欠点かもしれませんね。

へいかさん
へいかさん

上記の「受け続ける」「勝利のために必要な土地の枚数が多い」を統合すると、「土地を引きつつも、相手の動きに対応できるカードも引く」ことが求められます。
つまり、長期的に見た要求値が他のデッキと比べて高い事になりますね。

へいかさん
へいかさん

これに加えて、先述した通り「数々の選択肢」が生まれる頻度が他のデッキよりも多い点が厄介なところでもあります。
例えば3つの選択肢が存在するとして、その選択肢が生じる回数が3回であれば3×3×3で27通りになるわけです。長引けば選択をせねばならない回数も増え、6回であれば3×3×3×3×3×3で729通りになってしまいます。

へいかさん
へいかさん

その時では気づかない些細なミスが積み重なり、それが敗北につながることもザラにあります。
常に裏目との戦いを強いられる事もあり、こういった要素に対して合う・合わない人の差が他のデッキよりも激しい部分だと思います。

眞白井
眞白井

どの環境でも「コントロールデッキは一定の難易度がある」と言われるかと思いますが、こうやって言語化されると線が細いなー……

受け続けないといけない × ドローの要求値が高い × 選択肢の多さで、線が細いデッキでもある!

 

へいかさん
へいかさん

……と、ここまで青字まみれで悪い点を語りましたが、逆に言えばいくら噛んでも噛んでも味がするスルメのようなデッキです。
学べば学ぶほどアゾリウスコントロールはそれに応えてくれます。
土地が詰まってあっという間に負けてしまうのもご愛嬌ということで。

 

眞白井
眞白井

……ちょっと、「選択肢の多さ」について深堀して伺いたいのですが。
判断がつくようになるまで・正解だった選択が分かるようになるまではなかなか長い道のりではと思います。選択肢の判断について、何かブレイクスルーになった瞬間ってありましたか?
それとも地道に判断力を鍛えられたのでしょうか?

へいかさん
へいかさん

選択肢の判断に関しては基本的に死んで覚えるで身についたように思います。

へいかさん
へいかさん

その中で各々のデッキに対する定石を一つ一つ覚えたり、有識者の記事や青白コントロールを使っている方から教えてもらったり、あるいは逆に対戦相手の方から「この場面でこう動かれるとキツい」というような感想戦で伺ったり……

へいかさん
へいかさん

よくあるケースだと、ラクドス・ミッドレンジ相手に《検閲》で2Tの《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》を打ち消すか打ち消さないかの選択肢ですね。
このケースでは、他に《鏡割りの寓話》に対するカウンター手段がなければ《鏡割りの寓話》を対処するために温存が定石です。
ただし、他に《鏡割りの寓話》に対応できるカードがあれば打ち消してもいいですし、状況次第ではありますが。

へいかさん
へいかさん

このように「対戦デッキごとのフローチャート」を少しずつ構築していき、固めていくのが青白コントロールの楽しさでもありますね。
使い始めのうちは《鏡割りの寓話》などのマストカウンターをまず覚える事から始めると、やりやすいかもしれません。

眞白井
眞白井

へいかさんは動きの場合分けを非常にしっかり事前にやられているな……と、これまでのお話を伺った中でも感じました。
たゆまぬ準備がアゾリウス・コントロールの名手になるためには必要なんですね!

アゾリウス・コントロールを上手く回すためには、準備がとにかく大事!

 

眞白井
眞白井

ではこれまでのお話を踏まえて、今回アゾリウス・コントロールを使用しようと思った理由はなんですか?

へいかさん
へいかさん

青白が板bot(自称)だからです。以上です。

へいかさん
へいかさん

……………

へいかさん
へいかさん

……冗談はさておき、情の一言に尽きます。

へいかさん
へいかさん

上記に挙げた欠点は長く戦う上で「ブレ」が生じやすく、また苦手とするラクドス・ミッドレンジが最大手であること、なまじ数が多いだけに意識されがち。
特に《変わり谷/Mutavault》3枚、メイン《強迫/Duress》が特徴的な、八十岡氏謹製のヤソドスが最も苦手ですね……

※ラクドス・ミッドレンジのタイプ分けについては、前回の小原さん回に詳しいですよ!

へいかさん
へいかさん

これらを鑑みると、チャンピオンズカップファイナルではアゾリウスコントロールではないデッキを使う事も考えていました。
それこそ頭角を現した、アゾリウス・ロータス/ロータス・コントロール※は上記の欠点を補っているものであり、最後の最後までこのアゾリウス・ロータスとアゾリウス・コントロールで悩み続けていました。

※《厳しい試験官》《不連続性》などで《睡蓮の原野》のデメリットを踏み倒し、膨大なマナでボードコントロールする、打消しの少ない形の白青カラーのコントロールデッキ。最近登場した。

へいかさん
へいかさん

最終的には「情」が勝り、その結果、プレイヤーズコンベンション初日のチャンピオンズカップファイナルでは、3-4の初日落ちという散々な結果となりました。
その一方で、翌日のパイオニアオープンでは望外の結果を残すことができ、なんだかんだで離してくれないんだなあ、とつくづく思いました。

眞白井
眞白井

コントロールデッキは特にメタゲームの影響を受けやすいかと思うのですが、やはりラクドス・ミッドレンジが特に多い日本の競技シーンでは、アゾリウス・コントロールは逆風を受けやすいデッキかもしれませんね……。

眞白井
眞白井

それでもパイオニアオープンで大活躍されたのは、メタゲームの変化もありますが、デッキがへいかさんのためにリベンジを果たしてくれた感があって、良いですね!

 

眞白井
眞白井

……ちなみに、ちょっとしたエピソードなのですが。
パイオニアオープン当日にご挨拶の機会がありまして、その時に眞白井から静寂宣告/Render Silent》のプロモFoil※をたまたま見つけたのでお渡ししたのですが、その時に「お礼は勝ちでいいです!」って言ったんですよね。
そしてその後にこの結果を残されて……やー、とてもうれしかったです!

※へいかさんは拡張・特殊アート愛好家

 

へいかさん
へいかさん

その節はありがとうございました。この時の借りはばっちりお返しさせていただきました!
今でもこの《静寂宣告》はお守り代わりに持ち歩いていたりします。
《吸収》の壁はなかなか高いですが、有効な場面は結構あると思うので使ってあげたいところですね。

 

デッキリストについて

眞白井
眞白井

では、一般的なリストと比較した際の、今回使用されたリストの特徴や工夫した点をお教えください。

へいかさん
へいかさん

メインでは《至高の評決/Supreme Verdict》の不採用が最大の特徴だと思います。
《神の怒り/Wrath of God》の系譜を継ぐ屈指の4マナ全体除去ですが、当然ながら対戦相手もこの《至高の評決》を意識した構築をしてきます。
白絡みのビートダウンデッキでは定番になった《ゴバカーンへの侵攻/Invasion of Gobakhan》が最たるものですね。

眞白井
眞白井

自分は使う側ですが、《ゴバカーンへの侵攻》はこのマッチで非常に頼もしい1枚ですね。

へいかさん
へいかさん

また、メタの上位に存在する緑信心の《老樹林のトロール/Old-Growth Troll》《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》といった死亡誘発のクリーチャーに対し、《至高の評決》があまり信用できないというのも(不採用の)一つの理由でした。

へいかさん
へいかさん

これらに対し、1マナ重いといえども全体追放除去である《太陽降下/Sunfall》は明確な回答として返すことができる点を評価しました。

へいかさん
へいかさん

最大手であるラクドスミッドレンジに対しても1:多を交換しつつ、培養トークンによって《バグベアの居住地》《変わり谷》などのミシュラランドや《ヴェールのリリアナ》に対して牽制できる点も大きな動機の一つでしたね。

へいかさん
へいかさん

総括すると、仮想敵であるラクドスミッドレンジ・緑信心に対する有効札、《至高の評決》を意識してくる相手にずらす形として《太陽降下》を採用したというわけです。

へいかさん
へいかさん

ただ、やはり5マナの重さは白単人間などの速いアグロには間に合っていないため、ここの相互補完として《一時的封鎖/Temporary Lockdown》を採用しています。こちらも《ゴバカーンへの侵攻》に強い一枚です。

眞白井
眞白井

アグロ目線だと、《一時的封鎖》ってあまり対応札使いたくないんですよねー……。
その後の《至高の評決》に対応札当てたいのに。

《太陽降下》は《至高の評決》より優れた点の多い全除去!

 

ふかめの寄り道 =《ゴバカーンへの侵攻》について=

眞白井
眞白井

少し話を戻して、《ゴバカーンへの侵攻》についてちょっとお伺いしたいのですが、実際相手取る側としては正直どうなんですか?

へいかさん
へいかさん

キツいです。

へいかさん
へいかさん

《至高の評決》を使っていた時は常にこの《ゴバカーンへの侵攻》に怯える日々でした。
というか今でも《太陽降下》を追放されたら終わりますし怯えっぱなしです。

へいかさん
へいかさん

裏返るとシンプルにクロックが上がり続けるのもつらいですし、《放浪皇》すら無視される呪禁もつらい。
《サメ台風/Shark Typhoon》を追放されて実質ハンデスになるのもつらいです。

眞白井
眞白井

そう! 《サメ台風》を抜けるんですよ!!!
いやマジで、《サメ台風》使われる側としてはめちゃくちゃありがたい。

へいかさん
へいかさん

この記事でも使わないでくださいって言ったのにみんな使ってるんですもん!!!

へいかさん
へいかさん

……とはいえ、守備カウンターが0になった時、実は《光盾の陣列/Lightshield Array》は唱えられているため打ち消すことが可能です。
これを覚えておくと救われる命もあるかもしれません。

眞白井
眞白井

本質情報だ。

 

デッキリストに話をもどしまして

眞白井
眞白井

その他の特徴についてもお教えいただけますか?

へいかさん
へいかさん

5マナ域である《太陽降下》を2枚投入したことで、同じ5マナ域である《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を3枚とし、代わりに4マナ域の《至高の評決》が抜けたことで《放浪皇/The Wandering Emperor》を4枚にしています。

眞白井
眞白井

おお、丁寧な微調整。

へいかさん
へいかさん

《放浪皇》に関しては4枚目の《記憶の氾濫/Memory Deluge》にすることも考慮しましたが、どのデッキ相手にも一定以上の働きをする点、手札でダブついても-2→-1で使い捨てやすい《放浪皇》を4枚にした経緯があります。

へいかさん
へいかさん

軽量カウンターは
・《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》3枚
・《検閲/Censor》3枚
・《方程式の改変/Change the Equation》2枚
・《かき消し/Make Disappear》1枚の、合計9枚の体制としています。

へいかさん
へいかさん

理由はお察しください……

眞白井
眞白井

ハンドアドバンテージを保ちたいコントロールでは、2枚カードを切らされる《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》は、特に弾きたい1枚ですよね。

へいかさん
へいかさん

これらの軽量カウンターを構えるために、マナベースの方も2ターン目のアンタップインランドを合計15枚(チェックランド4枚・ELD城土地3枚除く)になるように調整しています。

 

へいかさん
へいかさん

また、サイドでは《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil》がお気に入りです。

へいかさん
へいかさん

同型では《船砕きの怪物/Hullbreaker Horror》《金属の徒党の種子鮫/Chrome Host Seedshark》などに刺さり、白単人間にも《一時的封鎖》では対処できない《輝かしい聖戦士、エーデリン/Adeline, Resplendent Cathar》、サイドインしてくる《婚礼の発表/Wedding Announcement》に当てる事ができます。

へいかさん
へいかさん

チャンピオンズカップファイナルへ出場するにあたり、15個ほどのマッチアップでサイドボーディングを一覧にしたのですが、《邪悪を打ち砕く》を入れないマッチアップが5つぐらいしかありませんでした。

眞白井
眞白井

たしかに《婚礼の発表》は自分のアゾリウス・スピリットでも入るレベルの白入りデッキの定番サイドになっていますし、出てしまった《奇怪な具現/Enigmatic Incarnation》や《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》、《不屈の独創力/Indomitable Creativity》系のファッティなどにも当たりますもんね。

へいかさん
へいかさん

《太陽降下》もこの《邪悪を打ち砕く》も同コミュニティ(Power House Club)であるアス波さんが愛用しており、使用感を聞くことができたのも大きかったです。

眞白井
眞白井

前回の小原さんのお話でも出てきましたが、同じ方向性の仲間に意見を聞けるメリットですね!

へいかさん
へいかさん

あとは《才能の試験/Test of Talents》2枚採用ですが、これは増加傾向にあるイゼット独創力とアゾリウス・ロータス/ロータス・コントロールを睨みつつ、従来のロータス・コンボや各種《異形化/Transmogrify》、そしてミラーを意識した形ですね。

 

 

ふかめの寄り道 =《敬虔な新米、デニック》について=

眞白井
眞白井

あ、サイドで個人的に伺いたいことが。
《敬虔な新米、デニック/Dennick, Pious Apprentice》ってどうなんですか?
最近アゾリウス・ロータスでもよく取られていて、墓地対策以上の強みってどれくらいあるのかなーと。

へいかさん
へいかさん

まず一つ目として2/2/3の絆魂クリーチャーであることです。
これは墓地対策とアグロ対策を兼ねるサイドカードとして機能します。
15枚という限られた枠で複数のデッキに対応できるカードは評価が高くなりますね。

へいかさん
へいかさん

また、現在の環境において墓地対策をせねばならない相手としては、アブザン・パルヘリオンが挙げられます。
アブザン・パルヘリオンは《秋の騎士/Knight of Autumn》や《ウィザーブルームの命令/Witherbloom Command》で《安らかなる眠り/Rest in Peace》を筆頭とする置物の墓地対策を対策してくるのですが、《敬虔な新米、デニック》はこれらのいずれにも刺さらないクリーチャーです

へいかさん
へいかさん

アゾリウスコントロール相手に《致命的な一押し/Fatal Push》などの除去を入れることはほぼなく、結果的に「対策の対策」が刺さらない墓地対策として機能するわけですね。

眞白井
眞白井

アブザン・パルヘリオン側としては、絶対に置物対策カードは入れないと万が一の時にゲームにならなくなるわけですから、そのスキを突けるのが大きいのですね!

へいかさん
へいかさん

また、《エシカの戦車》によるビートダウンプランに対しても2/3絆魂というスタッツが役に立ち、総じてアブザン・パルヘリオンに対して「墓地対策」「軸をずらしたビートダウン対策」の両方をこなせる一枚というわけです。

へいかさん
へいかさん

もちろん数少ない除去である《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》にはケアできるならケアします。《ドビンの拒否権》を構えながら出すか、《放浪皇》で侍トークンを出した後に出せるとよりいいですね。
とはいえ《思考囲い/Thoughtseize》が飛んでくる危険性もあるので、この辺りは相手の墓地の状況などと相談しながら決めていきましょう。

へいかさん
へいかさん

あとは、「墓地を追放しないこと」ですね。
というのも、こちらはフラッシュバックを持つ《記憶の氾濫》があります。

へいかさん
へいかさん

《安らかなる眠り》でゲームを伸ばしたところで《記憶の氾濫》も追放されてしまうため、結果的に勝利に必要な札のアクセスが出来なくなりずるずると負けてしまう事もしばしばあります。
特にアブザン・パルヘリオンは《思考囲い》《強迫/Duress》などでハンデスしてくるため、墓地から唱えられるリソース札である《記憶の氾濫》はより貴重になります。

へいかさん
へいかさん

これらの点が《敬虔な新米、デニック》が優れている点ですね。
別デッキの話になりますが、特にアゾリウス・ロータスは《記憶の氾濫》への依存度が高く、《安らかなる眠り》は採用したくてもなかなか出来ないと思います。
そういう意味でも《敬虔な新米、デニック》はうってつけなサイドカードと言えるでしょう。

眞白井
眞白井

アブザン・パルヘリオンに対するキラーカードとして本当に良い一枚だ……
たしかに、アゾリウス・コントロールは《大牙勢団の総長、脂牙》への回答であるインスタント単体除去を積みにくいデッキなので、別の回答を用意したいというのは非常に納得がいきます。

《敬虔な新米、デニック》は、アブザン・パルヘリオンへの最適解の一枚!

 

ということで後半に続きます

後半では、より深いプレイングのお話、そして競技勢/グラインダーとして挑戦を続けられる袁術陛下さんのマインドについてのお話を中心にお伺いします!

後半は7/23 19時公開!

ぜひ、後半までお楽しみください!

タイトルとURLをコピーしました