眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。
さて、このたびご縁がありまして、添削さんおよびヴィンテ鯖のみなさんによるMtGヴィンテージ同人誌「WISDOM IN THE DEPTH 3」の編集を担当させていただきました!
ということで、後続の方への情報共有も兼ねて、今回の制作のログをまとめてみることにしました。
なにぶん本業としてデザイナーをしているわけではないため、独学による稚拙な部分も多いかと思いますが、何かの参考になれば幸いです。
仕様
表紙 フルカラー+エンボス加工
本文 モノクロ
サイズ B5
表紙 スターアートボード 19.5kg
本文 上質 90.0kg
作業時間 約80時間(作業日数×1/3×平均4時間/日で算出した概算+入稿後追加作業)
作業期間 2024/06/03 〜 2024/08/01
印刷所 栄光 https://order.eikou.com(プラン:デコボコサンバ)
基本的にはmanaさんが編集された前作「WISDOM IN THE DEPTH 2(以下、オールド本)」を踏襲させていただきました。
また、随所でmanaさんの残されたnoteを参考にさせていただきました。本当にありがとうございます…!
また、ヴィンテ鯖の皆さんの作業としてはもっと早くから始まっていまして、原稿〆切が5/31、扉絵〆切が6/30に設定されていました。
作業内容
表紙・扉絵発注
先行して表紙・扉絵の発注の必要があり、仕様決定のため先んじて表紙・扉絵のレイアウトを決めました。
表紙については、テンプレートよりページ数を初代ヴィンテージ本「WISDOM IN THE DEPTH」の200ページ(!?)と仮置きして、その場合のサイズよりも5mmほど大きく発注。
今回はアナログ制作のSAWATARIXさんでしたので、縦横比とPDFでの写真書き出しサイズの参考にしていただきました。
扉絵については、本全体のコンセプト「《ウルザの物語/Urza’s Saga》環境におけるヴィンテージ」および表紙のコンセプト「《ウルザの物語/Urza’s Saga》、構築物感」と合わせて、英雄譚をモチーフにしたデザインにすることにしました。
この時点では、各アーキタイプの代表的な動きを英雄譚の章能力部分に落とし込むことを想定していました。
ジュエルのスペルをなんかくっそミスってて草
この時点ではかなりざっくりしたラフ案。
英雄譚部分の横幅だけ、実際の紙に印刷してサイズ感を調整しました。
当初はページの半分まで英雄譚が来ていたのですが、それだと挿絵がかなり圧迫感があったので、やや細くしています。
発注時には上の画像のサイズより5mm大きいサイズを依頼しました。(英雄譚部分にも裏に塗り足しが潜っている)
また、今回はオールド本と異なりページを跨いでの扉絵にすることにしたので、いわゆる本のノド…綴じ部分に大事な絵の部分が来ないようにという注意は気にしました。(上画像赤アミカケ部分)
扉絵の皆さん、ご協力ありがとうございました!
一方で、オーダーが上手くいっていない部分もあり、カラーで描いていただいたり下の方をトリミングせざるを得ないものも出てしまいました。これについては申し訳なかったです。
イラストの仕様についての質問もたびたび出ており、添削さんにもご足労おかけしたので、編集担当が直接イラスト担当の方とやり取りした方がよかったかもしれません。
本文
6月から、本文の制作に入りました。
今回は、自分にとっても新しい試みとして、Indesignを使い制作しました。
Indesignは印刷物の作成に特化したAdobeのデザインソフト。以前から勉強したいとは思っていたものの機会がなく、今回の機会を活用させていただくことにしました。
とはいえいきなり使ったことのないソフトで原稿を作るのは不安があったのですが……おりしも同人活動をしている知人から「コピ本※手伝って!!!」との依頼が。
※コピ本…コピー本の略。印刷所に持ち込まず、コピー用紙に印刷してホッチキス綴じで発行する本。
やり直しがある程度利くこともあり、気軽に色々試したり失敗しながらIndesignの基本動作について学ぶことが出来ました。ありがとう知人……。
学習に当たっては、小説本作成系のTipsブログを参考にさせていただきました。先人の皆さまありがとうございます。
また、栄光さんのIndesign入稿ガイドも非常に分かりやすく注意点がまとまっており、先に読んでいてよかったなと思います。
今回の本文仕様は下記の通りとなっています。
本文:源暎ゴシックN https://okoneya.jp/font/genei-gothic.html
標準サイズ:11Q
字間:0H(字送り11H)
行間:8H(行送り19H)
段組み:2段組み
行文字数:23
行数:47
段間:12mm
マージン:天20mm・小口20mm
本文フォントの候補には、ZenGothic、源ノ角ゴシックも上がりましたが、添削さん・でんちゅうさんのご意見も伺って源暎ゴシックNとなりました。
また、本文のウェイトについては、
- 標準:Reguler
- 大見出し(章タイトルなど):Heavy
- 中見出し(章の中のサブタイトル):Bold
- 小見出し(サブタイトルの下のタイトル):Bold+下線
を基本ルールに運用しました。
途中まで画面でのみウェイトの見た目を確認しており、大見出しBold・中見出しSemiboldで運用していたのですが、テスト印刷したところSemiboldがRegulerと大差なかったため変更しました。
地味に置き換え作業が大変でした……。
また、途中で親ページの設定ミスが発覚し、2~3記事をインポートした時点でレイアウト変更が発生したのですが、本来連動するはずの設定が子ページ(本文)で連動せず、泣く泣く全部やり直す…というのもありました。早めに気づけて良かったです。
コピ本で練習してもコレだったので、ほんとぶっつけ本番じゃなくて良かったと思います……。
本文の流し込み(皆さんから提出された原稿をコピーしてIndesignに落とし込む作業)については下記のフローで作業。
- Googleドライブのフォルダーに原稿ファイルを集約
>note下書きで書かれた方は、リンクをtxtファイルにメモって格納 - コピペしてIndesignにイン
- 頭下げ(段落先頭にスペースを入れる)・改行位置調整・文字ウェイト修整など
Indesignで制作してよかったなと思った点が、この作業が非常に楽だった点です。
ページを跨ぐテキストも、つながった1つの大きなテキストボックスとして扱ってくれるのは非常にありがたい。
イラレだとこうはいかなかったと思います。ほんとイラレで作ったmanaさんはすごい…
アミカケ背景の連動だけ方法が見つからず手作業になり、テキストの増減や改行位置の変更があると手作業でアミカケ背景を移動するのだけが手間でしたね。後ほどミスが発覚する場面も多かったです。
一方で楽と言っても、pdf原稿からのテキストインポートはやや大変でした。
pdfからの直接コピペが上手くできなかったので、Googleドライブの機能を利用してGoogleドキュメントに変換してコピペしたのですが、変なスペースが入るのが多発。
かといって置換で削除するとカード名の単語の間のスペースが消える(そういえばそう)ので置換も使えず、改行やウェイト調整の過程で地道に削除していきました。
力作ぞろいなのもあり、この流し込みの作業が一番工数としてはかかりました。
具体的には6/4に本文仕様が確定し、確認用原稿1稿を出したのが6/27。最終的に文字数はデッキリスト込みで約22万2000字まで行きました!!!
とはいえヴィンテージについて学びを深めながら作業させていただけたので、とても楽しく作業できました!
原稿先読みは編集の特権…!
その後、ヴィンテ鯖の寄稿者のみなさんに誤字脱字等の修正点を出していただきました。
地味ながらやって良かったと思うのが、修正指示フォーマットの統一です。
Indesignの機能でノンブルを最初から入れることが出来たので(ページ位置と連動する仕組み)、ノンブル準拠でページ位置の指示を頂き、正誤を併記していただくことで正確な修正をすることが出来ました。
また、最初の修正はやはり量が多かったので、Adobe Acrobatの校閲機能を使いチェックボックスを作成して確認しました。
ちなみに自分はAdobe Creative Croudを契約しており、いわゆるAdobe重税勢なのですが、今回の編集にあたってはフルにAdobeアプリケーションを活用しました。(IndesignもCCライセンス内)
納税しててよかった……
最終的に確認稿はテキスト確認のみで7稿、レイアウト確定後に画像など入れ込んだ本文確認で4稿まで行きました。
自分も編集中に誤字脱字確認・確認提出前にチェックはしていたのですが、やはりこの分量だと人の目をたくさん借りた方が修正点は見つけられますね……
皆さん本当にありがとうございました!
表紙・扉絵ページ
7月に入り表紙・扉絵イラストが出そろったので、デザイン作業に入りました。
表紙はSAWATARIXさんのイラストが本当にカッコよかったので、余計なことはせずにイラスト主役になるようにデザイン。
「ヴィンテージの最先端」という裏コンセプトもあるかなーと、原稿を読んでいて感じたので、フォントは現代風の物から選定しました。
個人的には筆記体の案も気に入っていたのですが、最終的にはえすてぃおさん作成のオールド本から続き物感もある、Sofachrome使用のデザインに決まりました。
扉絵については、そのまま英雄譚のデザインを再現し、フォントだけ表紙と揃える形で現代風のゴシック体に。
フォントを現代風にする発想までは実はかなり難航して、添削さんの「イラストが新しい画風なのでそことオールドなフォントがあってないかも(意訳)」のアドバイスにとても助けられました!
やはり人の意見を聞くのは大事…
また、原稿を読んで当初の「アーキタイプの代表的な動きを章立てして書く」はちょっと違うなと感じたので、文字通り「章」への案内を書くことにしました。
このアイデアはかなり好評をいただいたのでデザイン担当冥利に尽きます。ありがとうございます!
また、今回もオールド本に引き続き表紙をエンボス加工しています。
タイトル部分だけつるつるになるようにした、とオールド本から引き継いでいた……のですが、眞白井がだいぶ入稿データの作り方を勘違いしており、ここで入稿後のリテイクでかなり時間を食ってしまいました。反省。
つるつるのところを黒くする!!! いいですね!!!!!!
挿絵
オールド本からの流れで、ヴィンテ鯖の皆さんで挿絵を描いて差し込みました。
2回ほどサーバー内でお絵かき会が開かれ、自分も参加させていただきました!
たくさん描いていただき、惜しくも掲載できたのは半分程度なのですが、皆さんとても楽しい絵を描かれていて、自分も見ていて楽しかったです。
ちなみに自分も描きました。(これは未掲載分)
途中まで忘れていて焦ったのが、画像のグレースケール化作業です。
栄光さんの確認手順でインキ量を確認している際に発覚し、慌ててPhotoshopで編集しました。そういえばそうじゃん…
やはり印刷所さんの確認手順は定期的に行うべきですね。
お品書き
今回はブースに当日掲示するA3ポスターとSNS宣伝画像を兼ねて使いたい、とのことでしたので、ポスター前提のデザインで宣伝画像を作成しました。
こちらも英雄譚のデザインを流用し、ポスター化した際に映えるように明るい色のクラフト紙素材を組み合わせて背景を作成、「古くて新しい」感を出すために金畫字を使用して作成しました。
あとちなみに価格表記の裏にあるマークはサークル「旧世代の灯」マークだったりします。
最初に公開したデータがなんか値段レイヤー消えててビビりました なぜ気付かなかったし
設営写真見た時には、いい感じにクラフト紙の茶色がブースのアクセントになっていて、意図通りになってうれしかったです!
おわりに
今回の制作の過程では、非常に貴重な経験をさせていただくことが出来ました!
不慣れな点もあり、ご迷惑をおかけしたところも多かったと思いますが、添削さんとヴィンテ鯖の皆さんと一緒に無事に本を送り出せて本当に良かったと思います…!
打ち上げでも話になったのですが、制作を受けてやはり「情報が物理的な紙で文字として遺っている」ことの大切さをしみじみ感じたので、自分もMtG関連で本を作りたくなりました!
今回ご紹介したヴィンテージ本こと「WISDOM IN THE DEPTH 3」は、通販で現在頒布中です!
ヴィンテージを知らない方でも未プレイの方でも、読み物としてめちゃくちゃ熱くて面白いので、ぜひぜひよろしくお願いいたします!
また、自分はデザイナー名義「Chainedworks」で主にWEB素材作成を中心にデザイン業務を承っております。
サムネイルやロゴ作成は随時受付中のほか、今回の編集のようなお仕事もご相談していただければお力になれるかと思います!
ご相談はChainedworksのX / TwitterのDMまたは眞白井エイド個人までお願いいたします!
それでは、また!