眞白井エイドです。
普段はYoutubeやX/Twitterでパイオニアに関する活動をしています。
今回は、原根さん・八十岡さんのX/Twitter投稿をきっかけに、今のパイオニアの持つ課題点について知人と議論したものをまとめてみました。
この投稿と会話は、パイオニアをメインにプレイし、そして少しでもその盛り上がりに寄与したいと思っている活動者として非常に心を揺さぶられ、考えさせられました。
この記事が問題提起、そして今後のパイオニアの盛り上がり、さらには他フォーマットへのヒントになっていればいいなと思います。
閉塞感=停滞と思考放棄
おことわり:速度重視で書いたのでいつものですます調ではなく言い切りになっています。文が怖かったり読みにくかったりしたらごめんなさい。
お二方が触れているように、現在のパイオニア……特に最もリストがWEBで閲覧され、参考にされるMOパイオニアは、使用率上位デッキのデッキリストが固定化されてしまい、研究が進んでいないことは事実だと思う。
直近で上位に入ったリストがコピーされ、75枚同一、あるいはそのリストや直近で勝ったデッキに勝てるように数枚のカードがチューニングされたリストがChallengeで使用され、また上位に入り、それがコピーされ…というループが続いている。
採用カード自体の選定や、デッキコンセプトレベルのスクラップ&ビルドは、使用率上位デッキであればあるほど起きていないと言えるだろう。
もちろん、斬新なカード採用やコンセプトのいわゆるローグデッキ・ローグリストが上位に入ることも時折あるが、それらが積極的に使われて洗練されるフェーズに移行することは珍しくなっている。
直近では【ディミーア忍者】くらいだろうか。
使用率上位デッキでもローグデッキでも、『多くのプレイヤーが実験することで75枚を洗練していく』フェーズは、イベント回数が多くて環境のバイオリズムが早いMOですら不完全燃焼になっている。
閉塞感を生む「中途半端さ」
個人的に理由として考えたのは、MOが平均点を出し続けることにメリットが大きい経済構造な点だ。
5回戦イベントのLeague1回に参加するにも、MOではお金がかかる。SE付きのChallengeならなおさらだ。
そして、これらのイベントで勝利することで得られるポイントでしか参加できないイベントもあり、「コンスタントに勝ち続ける」ことの価値はかなり高いのではと、非MOプレイヤーながら自分は感じている。
そうなると、負ける/失敗するリスクを負ってまで創意工夫リストでイベントに調整することへのインセンティブは、かなり低いのではないだろうか。
更に言えば、「負ける/失敗するリスク」に対して「その過程で得られるプレイ体験」が追いついていないという点もあるかもしれない。
ここで言う「プレイ体験」とは、「他フォーマットでは体験できない、パイオニアならではのプレイ体験」だ。
「そこでしかできない体験」があれば、人はコストを支払ってもいいと考えやすい。
しかし現在のパイオニアのプレイ体験は、原根さんの言を借りるならば「中途半端」な側面がある。
【ディミーア・バウンス】【グルール果敢】のパイオニア入りが象徴しているように、スタンダードのカードパワーの向上に伴って、パイオニアでもデッキの中心を担うカードがスタンダードのデッキと変わらないことが増えてきている。
また、「パイオニアだから出来る動き」はオーバーパワーになることが多く、【インバーター・コンボ】【ナヤ・ウィノータ】【アブザン探検コンボ】などに代表されるように、禁止になってしまうこともしばしばだ。
(これにはスタンダード経由必須であり、ピッチ・フェッチが許されないというフォーマットの位置上の問題があるが、これは別件で長くなるので一旦割愛する)
そして、最もイベントが多い場であるMOは先述の通り、新しいデッキが試されたりリストが洗練されるプロセスが不完全燃焼になっており、「パイオニアだから出来るデッキ」は新しく生まれにくくなってしまっている。
その結果、スタンダードからプレイ感があまり変わらない「中途半端なプレイ体験」が生まれてしまっているのではないだろうか?
パイオニアをメインで遊んでいる自分は、上記の課題点自体は感じていたものの、原根さんが言うような「プレイ体験の中途半端さ」は感じたことがあまりなかった。
しかし考えてみれば、他フォーマット(特にスタンダード)をあまり頻繁に遊んでいないため比較することが無かったことや、自分が使っているのが【アゾリウス・スピリット】【異形化】であり、同族クロック・パーミッションと踏み倒しミッドレンジと、比較的パイオニアらしさの強いデッキであり、言ってしまえば「気づかないほど幸運だった」のかもしれない。
しかし、様々なフォーマットを遊んでおり、MtGの楽しさ・奥深さに精通しているトッププロプレイヤーの原根さん・八十岡さんからこのコメントが出てきたということは、「プレイ体験の中途半端さ」はパイオニアのいち側面として確実にあるのだと思う。
正直、ショックも大きい。
打破のための処方箋
では、この閉塞感を打破するためにはどうすればいいのか。
必要なものはシンプル。
「パイオニアらしいプレイ体験をもたらすデッキが、より多くのプレイヤーにプレイされる」ことだろう。
より多く、にはデッキの種類数もプレイヤー数も含まれる。
そしてそのために必要なのは「デッキビルダー」、そして「スコッパー」だ。
「デッキビルダー」は言わずもがな、これまでにないデッキ・デッキリストを作る人。
そして「スコッパー」とは、知られていない面白いものを掘り起こして紹介する人のことである。漫画やWEB小説紹介などで使われているのが比較的メジャーだろうか。
MtG界隈ではMOパンダ氏が真っ先に挙げられるだろう。普段からモダン以下のユニークデッキ・ユニークリストを配信で回されており、パイオニアでも発見コンボ発見初期の活躍が記憶に新しい。
「まつがん」こと伊藤敦氏も、現在も精力的にモダンの環境情報、そして自身の「くそデッキ」≒新デッキの種を精力的に発信されている。
永廻檸檬氏もスタンダード・エクスプローラーで新しいデッキを日々動画投稿されており、名スコッパーのひとりといえるだろう。
しかしパイオニアではどうだろうか?
……もし、ここで眞白井の名前を思い出した方が居たら大変うれしいが、自分としてはパイオニアフォーマットのスコッパーは不足していると感じている。
いっぽうで、自分の体感としては現時点でもパイオニアには一定数デッキビルダーは存在している。
X/Twitterでも触れたが、テーブルトップの場でMOイベント結果では見たこともないコンセプトのデッキに遭遇することは多々あるし、Challenge中位、Leagueにも独創的なデッキは毎週のように顔を見せている。
もちろんデッキビルダーの存在は必要不可欠だし、もっと増えてほしいとも感じるが、きっと今のパイオニアに足りない、そして重要さが軽視されてきたのは「スコッパー」だろう。
新しいデッキ、新しいリスト、あるいはそれのヒントとなる発見。
それを拾い上げ、人目に乗せる・衆目を集める発信源があれば、それは他のデッキビルダー、あるいは既存リストをチューニングして使う「チューナー」にとっても刺激になる。
そして、デッキビルダーの案をチューナーに広めることは、擬似的にデッキビルダーの増加につながるのではないだろうか。
スコッパーを通じてデッキビルダーが直接的・間接的に増えることで、パイオニアらしいプレイ体験のデッキや使用率上位デッキにも新たなデッキリストが開拓されることが、閉塞感打破のための「処方箋」だといちプレイヤー・いち活動者として思う。
そしてデッキビルダーとスコッパーの不在の問題は、パイオニアだけのことでもないと自分は考えている。
一度競技から離れたフォーマット、あるいは競技イベントに選ばれないフォーマットが「競技的に遊ばれる」=新しいデッキやデッキリストの研究が積極的に行われるようになるためには、きっとパイオニアと同じく、スコッパーの存在が原動力になるかもしれない。
結びに代えて
ここからはいつも通りのテンションでいきます
これまで約3年間パイオニア中心に配信・発信活動をしてきましたが、まだまだ活動に至らない点が多かったのだなと痛感した出来事でした。
幸いにして、YoutubeでのMOやテーブルトップ大型イベントのデッキリストを確認する定期配信、そしてパイオニア情報紙「週刊ふんわりパイオニア便り」は継続できているので、今後はこれらの活動を通じて、より「スコッパー」的な役割を果たせたらなと考えています。
もしよろしければ、応援していただけると嬉しいです。Ch登録・フォロー、大変励みになります!
また、自分はどうしてもプレイヤーとしては「チューナー」気質なので、他の方のお力も借りながら色々なデッキをスコップしていけたらとてもうれしいです!
ちょうど来月2月には新カードセット・「霊気走破」も出ますので、もし新しいデッキや既存デッキの改良案がある!という方がいたらぜひ紹介させていただきたいです!
X/TwitterのDMやお問合せまでご連絡ください。
そして最後になりましたが、きっかけをくださった原根さん・八十岡さんにこの場を借りて御礼申し上げます。
MtG競技プレイの最前線を走られるお二方の活動を、今後も応援しております!
それでは、また!