眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しているほか、パイオニアに関するイベントシリーズ/コミュニティ「Pioneer Spark!!」を運営しています。
さて、先日7/27に開催された、第23回開封杯さんにて、幸運なことに8位/47名で決勝ラウンドに進出できました!
7/24に実は活動4周年を迎えており、7/25の記念配信の中で「そろそろ32名↑の大会でSE抜けたい」という目標を掲げていたのですが、まさかの2日で達成することになってしまいました(笑)

そろそろ初心者と言えないMtG歴に差し掛かってきたのですが……正直、プレイヤーとしては未熟な所がまだまだ多いと感じており、これまでデッキに関する記事は書いてこなかったのですが、せっかくのTop8という機会ですのでパイオニアの宣伝も兼ねて、『パイオニアならでは』のデッキである自分の愛機・【ミッドレンジ型アゾリウス・スピリット】について紹介していきたいと思います。
プレイについては先述の通りまだ未熟であり、どちらかといえばデッキの構成カードや設計思想のご紹介が中心になりますが、何かのご参考になれば幸いです。
また、記事のメンバーシップ先行公開から間を開けている間に、電波を受信して組んだ【エスパースピリット】で第3回かげちよ杯さん(25名)で準優勝してしまったのですが、こちらのデッキにも【ミッドレンジ型アゾリウス・スピリット】の知見は大いに生かされているので、そのまま公開します。
エスピについても改めて記事書きたいですね!
以下、《カード名》 【デッキ名】で表記していきます。
プレイヤーとしての自己紹介
ということで改めまして眞白井エイドです。
「エルドレインの王権(2019年)」からMTGArenaからMtG、そしてTCGを始めました。
そしてプレイヤー最初期のころに一番感動したのが、「打消し」と「飛行」という概念。
相手のビッグアクションを消すことが出来て、しかも自分は一方的に攻撃出来るなんて――なんて素敵なんだ!!!
そこから現在に至るまで、座右の銘は「打消し構えて空から殴る」。
もっとも、プレイヤーとしてスタンダード配信者大会(まじ☆すと)で好成績を残したのは白緑系のビートダウンが多かったりするんですが
特に《天穹の鷲/Empyrean Eagle》を使用した【アゾリウス・フライヤー】はスタンダードローテーション最後まで回しており、エースである《天穹の鷲/Empyrean Eagle》は非常に思い入れのあるカードでした。

――そして、2021年10月に発売された「パイオニア・チャレンジャーデッキ」。
その「アゾリウス・スピリット」のデッキリストに《天穹の鷲/Empyrean Eagle》の名前を見つけ…「《天穹の鷲/Empyrean Eagle》をまだ使えるフォーマットが…ある!?!?」とパイオニアの存在を知り、MTGArenaを飛び出してテーブルトップ、そしてパイオニアの世界に足を踏み入れました。
そして、チャレンジャーデッキを購入してテーブルトップを始める準備の間に、信心亭さんを始め多くの素敵なカードショップさん・プレイヤーさんと出会い、「めっちゃMTGAやってきてたけど、『マジック:ザ・ギャザリング』の世界はとてつもなく広かったんだ…!」といたく感動したことで、それまで色々なゲームをやっていたVtuber/配信者活動を、2022年2月の「神河:輝ける世界」を期にMtG・その中でも特にパイオニアに絞ることにしたという経緯があります。
これまでのパイオニアでの主な成績は、
・「プレイヤーズコンベンション愛知2022(2022年11月)」サイドイベント・チーム戦パイオニア準優勝(SE含めチーム6-2-1、個人5-3-1)(ただしこれはチームメイトのお二人のおかげ)
・「プレイヤーズコンベンション静岡2024(2024年10月)」サイドイベント・OTJコンプセット争奪5-0
・晴れる屋さん争奪戦SE進出が片手で数えるくらい
+第3回かげちよ杯準優勝(追記)
と言った感じ。なので今回の開封杯さんでのTop8はマジで望外の結果だったりします。
ちなみにマッチアップは下記の通り。
R1:城型緑単信心 先◎✖◎ かち
R2:ジャンド・サクリファイス 先✖✖ まけ
R3:アゾリウス・コントロール 後◎✖◎ かち
R4:パミュレット/スケープシフト 後✖◎◎ かち
R5:80枚アゾリウス・コントロール 後✖◎ー ひきわけ
R6:すみませんメモ忘れです!🙇 先◎◎ かち
4-1-1 8位通過!
SE1:パミュレット/スケープシフト 後✖✖ まけ!!!
ミッドレンジ型アゾリウス・スピリットとは
簡単な解説
【ミッドレンジ型アゾリウス・スピリット】(以下、【ミッド型アゾスピ】)は、2023年9月ごろよりパイオニア環境に存在している、「白&青の優秀な4マナ以下のカード」を多く使用した、クロック・パーミッション寄りのミッドレンジデッキです。
クロック・パーミッションは、妨害/コントロール要素を交えながら早期にクリーチャーでライフを削ることを狙うMtGのデッキ分類/アーキタイプの大分類・「攪乱的アグロ」の中でも、打消し/カウンターを重視したものを指すことが多いです。
そして、「クロック・パーミッション」かつ「白&青の優秀なカードを使ったミッドレンジ」を両立する要素として、強い同族/部族シナジーを持つクリーチャー・タイプ『スピリット』を持つカードを多く採用しています。
また、強い同族/部族シナジーを持つことで、「スピリット」自体も【人間】【ゴブリン】のようなMtGのデッキ分類/アーキタイプの1つとも言え、【ミッド型アゾスピ】は【スピリット】の中でも特にミッドレンジ寄りのもの、という見方も出来ます。
いいところ
打消しが使えることで、「いつでも多くのデッキにワンチャンある」ことを、自分は強い魅力として感じています。
MOイベント・Pioneer Challengeでも定期的にTop8に姿を見せることが示している通り、もちろん苦しい時期・不利なデッキはありますが、それでもドローが噛み合えば相手の全てを妨害し、何もさせずに飛行打点で駆け抜けることが可能なデッキです。
やっぱ「打消し構えて空から殴る」や。
最近では《失せろ/Get Lost》《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》を手に入れ、メインボードから除去も安定して出来るようになったのも大きいです!
また、白を中心としたサイドカードも優秀であり、「環境デッキはこちらを意識できないが、こちらは環境デッキを意識できる」という非対称性の強みもあります。

テーブルトップの対戦で、「スピリットへのサイド無いんだけど…」と言われることも多々。付けこんでいけ。
アッ、《大牙勢団の総長、脂牙/Greasefang, Okiba Boss》対策ついでの《引き裂く流弾/Rending Volley》だけはやめてください……
むずかしいところ
逆に非対称性の強みを活かすためには、打消しや除去の使い先の判断やデッキの採用カードの選定のため、常に環境にあるデッキや採用カードを調べたり覚えていく必要もあります。
なのでパイオニアを始めたての頃や、最近のスタンダードから入られた方には、しばらく「どれに打消しを使えばいいの?」となるかもしれません。
また、最近のスタンダードはこのデッキのような瞬速タイミングのアクションや打消しを多用するデッキが少ないので、青いデッキに触れていたとしてもプレイ感覚がかなり違うかもしれません。
あ~~~でもプレイ感覚はともかくデッキのことは自分で調べるのは大変だから、だれか代わりに毎週最新のデッキをチェックしてくれないかな~~~
【宣伝】
ということで毎週月曜日にMO中心にパイオニアのデッキリストをチェックする配信やってます。よろしくお願いいたします。
逆に言えば、プレイスキルが高いとは言えない自分が何とか【ミッド型アゾスピ】を使えているのも、パイオニアのリストを追う習慣があったからともいえます。
あとは、「引いたカードでしか戦えない」というのも難しい点です。
《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》でだいぶ改善はされたものの、《美術家の才能/Artist’s Talent》《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》のようなルーティング手段も、《不浄な別室/Unholy Annex》のようなイージーなドローソースも、《手練/Sleight of Hand》のような手札を整える手段もありません。

また、ミッドレンジといえど最大4マナまでのカードしか採用しておらず、《絶望招来/Invoke Despair》《白日の下に/Bring to Light》のような一発で盤面を返せるパワーカードは現在のリストでは入っていないため、ドローが噛み合わず、うっかり相手のパワーカードが通ってしまった時は頭を抱えます。
そしてなにより、マナフラッドしてしまった時は本当にどうしようもないです。遠い目で土地が並ぶのを見ることしかできません。
その欠点を意識してか、一時期は、《不穏な投錨地/Restless Anchorage》などを採用したリストもありましたが、テンポよく土地を伸ばしていきたいデッキでもあるため、現在ではあまり見かけなくなっています。
他にも、地味に色拘束が強く、「土地5枚目までに全て基本アンタップインで青2個・白2個が出てほしい」という、書き出すと何だこれはという欲張りなデッキです。
《金属海の沿岸/Seachrome Coast》《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》《フラッドファームの境界/Floodfarm Verge》でだいぶ改善はしたものの、事故る時は事故ります。
これらの全体的な線の細さはあるものの、やはりドローと手札が噛み合った時の爽快感は何物にも代えがたく、そして何よりも【スピリット】というアーキタイプは現在パイオニアにしか存在していないため、「パイオニアらしさ」を感じられるデッキであることは大きな魅力でしょう。
使用したリストについて
デッキリスト

インポート用デッキリスト
4 Mausoleum Wanderer
2 Spectral Sailor
4 Rattlechains
4 Supreme Phantom
4 Spell Queller
3 Skyclave Apparition
2 Enduring Curiosity
3 Portable Hole
4 No More Lies
3 Sheltered by Ghosts
1 Get Lost
2 The Wandering Emperor
4 Hallowed Fountain
4 Hengegate Pathway
3 Seachrome Coast
3 Adarkar Wastes
3 Floodfarm Verge
2 Island
2 Mutavault
1 Plains
1 Eiganjo, Seat of the Empire
1 Otawara, Soaring City
2 Kutzil’s Flanker
2 Deafening Silence
1 Portable Hole
2 Disdainful Stroke
2 Rest in Peace
1 Get Lost
4 Wedding Announcement
1 Tocasia’s Welcome
日本語版デッキリスト
デッキ
4 霊廟の放浪者
2 幽体の船乗り
4 鎖鳴らし
4 至高の幻影
4 呪文捕らえ
3 スカイクレイブの亡霊
2 永劫の好奇心
3 ポータブル・ホール
4 喝破
3 幽霊による庇護
1 失せろ
2 放浪皇
4 神聖なる泉
4 連門の小道
3 金属海の沿岸
3 アダーカー荒原
3 フラッドファームの境界
2 島
2 変わり谷
1 平地
1 皇国の地、永岩城
1 天上都市、大田原
サイドボード
2 クチルの側衛
2 耳の痛い静寂
1 ポータブル・ホール
2 軽蔑的な一撃
2 安らかなる眠り
1 失せろ
4 婚礼の発表
1 トカシアの歓待
開封杯さん時点では「久遠の終端」カードが使えたのですが、ギリギリカードが届かなかったため「マジック:ザ・ギャザリング―FINAL FANTASY」期のリストそのままです。
開封杯さん前までの勝率は53%程度とそこまで勝てていたわけではなかったのですが、どちらかというとリストよりプレイの問題が大きいと感じており、満足度自体はずっと高かったリストでもあります。
ベースとなったのは、2025年5月9日にViniBuzo氏がPioneer Challengeで6位入賞したことで広まった、メイン《ポータブル・ホール/Portable Hole》3枚採用のリストです。

【赤単アグロ】の1~2マナの攻撃的なクリーチャー達や、【黒単デーモン】の《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》、【イゼット・フェニックス】や果敢デッキの《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》のメタとして、思い切ってサイドカードの常連だった《ポータブル・ホール/Portable Hole》をメイン採用したリストです。
それまでも(めっちゃ《ポータブル・ホール/Portable Hole》サイドインするな…)とは感じており、このリストは「た…確かに!!!」と思いつつも半信半疑で回してみて、そしてこれは強いと確信しました。
しかし、回しているうちに下記の課題点も感じて自分好みに調整した結果、冒頭のリストに至っています。
細かい採用理由や役割に関しては後述!
・マナベースはずっと回してた自分のリストの方がリスクが少ない
・《呪文貫き/Spell Pierce》が後引きに弱く、「後引きをなるべく強くしたい」という自分のデッキの好み・設計思想と合わない
・《永劫の無垢/Enduring Innocence》が以前より【ミッド型アゾスピ】にはマッチしていないと感じており、更に環境に《塔の点火/Torch the Tower》が増えてきたので弱くなっていそうだった
・《喝破/No More Lies》4枚欲しすぎる
・サイドの《救済の波濤/Surge of Salvation》が怪しすぎる
・《無効/Annul》がややオーバーサイドで、どちらかと言えばビッグアクションデッキへの耐性を上げたい
採用カード解説
ということで、ざっくりと各カードの役割や採用理由、こういう事を考えてプレイしていますというのを書いていきます。
今後、また【ミッド型アゾスピ】は変わっていくかもしれませんが、たぶん各カード達の仕事はそこまで変わらないと思うので、何かの参考になればいいなという気持ちで長々と書きました。
あくまで自分のプレイスタイルでの内容ですので、他の方からは違和感ある部分もあるかもですがご容赦ください。
クリーチャー4枚採用固定枠(4種16枚)

「スピリット」を名乗るなら絶対この4種16枚入れておけ(個人主観)のセットです。
《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》

1マナの末っ子ポジながらもスピリットの屋台骨。
初収録の「異界月」から10年以上経ってなお、同程度に優秀な1マナスピリット(=各種【スピリット】で採用されるカード)は《隆盛するスピリット/Ascendant Spirit》《幽体の船乗り/Spectral Sailor》の2枚しかいないというところからも、パワフルさが伝わってくるでしょう。
公式としても「異界月」、そしてイニストラード産スピリットの顔の一枚という認識なのか、「イニストラード・リマスター(2025年1月)」で初めて新規ボーダーレスイラストをもらえました!

それはさておき。
本デッキにおいてはなるべく早くに唱え、他のスピリットたちを唱えることでコツコツ打点を稼いでいきたいカードです。
そのため、除去デッキ相手は後述の《鎖鳴らし/Rattlechains》で守りながら攻撃を重ねることも大事になってきますが、手札の状況によっては《思考囲い/Thoughtseize》《強迫/Duress》と言ったハンデス、《フェイの解放/Free the Fae》(《錠前破りのいたずら屋/Picklock Prankster》出来事)や《食糧補充/Stock Up》といった強力なドローソースに対して、容赦なく爆破させて打ち消す思い切りも必要なカードです。
また、【ロータス・コンボ】【ローナ・コンボ】を中心としたインスタント・ソーサリー主軸のデッキとのマッチアップでは、瞬速スピリットを使用して突然パンプアップさせ、相手の計算を狂わせるという動きも重要になってきます。
所詮は1/1/1ということで後引きに弱いカードではありますが、このデッキには欠かせない1枚です。
《至高の幻影/Supreme Phantom》

1ターン目《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》!
2ターン目《至高の幻影/Supreme Phantom》!!
3ターン目《呪文捕らえ/Spell Queller》構え!!!
4ターン目《喝破/No More Lies》《鎖鳴らし/Rattlechains》2枚構え!!!!
かち!!!!!!!!!!!!!!!!!
……という感じでブン回りに貢献してくれるカードです。
先述の通り、【ミッド型アゾスピ】はクロック・パーミッション寄りのミッドレンジデッキなのですが、《至高の幻影/Supreme Phantom》が絡むと突然暴力的な動きが可能になります。
打消しも除去も引けなかった…でも《至高の幻影/Supreme Phantom》とクリーチャーはいっぱい…なら殴るか!!!はあるあるです。
空と地上ですれ違いながらダメージレースを仕掛けられるのは、環境で数少ない飛行クリーチャー主体のデッキの強みですね!
この突然のギアチェンジも、【スピリット】というデッキの強みであり楽しさであると感じています!
ロードでありながら珍しくタフネスが3あることも特徴で、パワー2のクリーチャーに対してはブロッカーにもなれるほか、火力除去にも一定の耐性を持ちます。
まあ《焦熱の衝動/Fiery Impulse》《稲妻の斧/Lightning Axe》は1マナで容赦なく焼いてくるんですが。

一方で、デコイとして隙をあえて作って唱え、より打点の高い《鎖鳴らし/Rattlechains》や除去されたくない《呪文捕らえ/Spell Queller》へ除去を撃てなくする、という動きも時には必要だと思っています。
これは師匠筋の受け売りですが、「使わせないと、相手の手札から勝手に妨害は消えてくれない」のです。
それに、あくまでこのデッキは「ミッドレンジ」のため、《至高の幻影/Supreme Phantom》を無理に守ってアグロプランをしなくても、3~4マナのカードでじわじわと優位をとってもいいわけなので。
(無論守れるにこしたことはないです)
逆に【アゾリウス・コントロール】に対しては、2枚引いても1枚しか出さずに《至高の評決/Supreme Verdict》《告別/Farewell》を撃たれても立て直しを出来るようにしたり、【緑単信心】【白日ニヴ=ミゼット】【奇怪な具現】のようなビッグアクションでこちらが殴れなくなるタイムリミットがあるデッキには、《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》《白日の下に/Bring to Light》《奇怪な具現/Enigmatic Incarnation》《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》といった「絶対に消さなければいけないカードが出ないターン」にある程度フルタップ or 打消しを構えずに唱えていき、打点を高めていくことも重要です。
《鎖鳴らし/Rattlechains》

「カウンターを構えながらクリーチャーを展開する」というクロック・パーミッションの理想的な動きを叶えてくれるのが《鎖鳴らし/Rattlechains》です!
瞬速で登場時にスピリット1体に呪禁付与だけでも頼もしすぎるのに、2/2/1の優秀なスタッツ、そして「スピリット・呪文がインスタントタイミングで唱えられる」という同族/部族シナジーの中でも法外な能力!!!
1回除去を呪禁で弾き、そして《喝破/No More Lies》を構えつつ、相手のアクションが無いなら《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》《至高の幻影/Supreme Phantom》を相手のエンドフェイズに唱えて打点を増やしていく、という動きは約束された勝利ムーヴです。
除去が多いデッキでは大切に使いたいカードですが、除去がないデッキと分かれば気軽に打点として投げる…要するに追加効果を使わないシーンで打点として唱えてもいいのも良い所です。
そのため疑似除去としての役割もあり、【赤単アグロ】の《熾火心の挑戦者/Emberheart Challenger》、【ラクドス・ミッドレンジ】や【サクリファイス】の《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》には、相手のマナが無ければ普通に正面衝突させてリソースを削る、あるいは寿命を延ばすということもします。
逆に、除去の多いデッキ相手にはいかに《鎖鳴らし/Rattlechains》を効果的に打点、あるいは除去へのカウンターとして使うかがキーとなります。
なので【黒系ミッドレンジ】戦はまーーーじで使い方が難しいです…言語化出来ない…。
【イゼット・フェニックス】相手には、一旦2マナで相手のエンドフェイズに唱えて除去があるなら使わせ・除去が無いなら2点打点を刻み、そして4マナまで我慢して《至高の幻影/Supreme Phantom》への《焦熱の衝動/Fiery Impulse》に《鎖鳴らし/Rattlechains》を合わせるのはあるあるです。
《呪文捕らえ/Spell Queller》

スタンダード当時から多くの人を苦しめてきた最強のスピリット、あるいは最強の3マナ瞬速クリーチャーの一角です。
【ミッド型アゾスピ】のクロック・パーミッション部分とミッドレンジ部分の双方を支えるカードであり、「相手のアクションを妨害しながら、こちらは打点を展開する」が出来る夢のような1枚です。
3/2/3・瞬速も優秀な性能で、《鎖鳴らし/Rattlechains》同様、構えすぎずに投げることも大事なクリーチャーです。
特に《至高の幻影/Supreme Phantom》やサイドカード《婚礼の祭典/Wedding Festivity》(《婚礼の祭典/Wedding Festivity》裏面)がある時には、打点として上手く活用したいところです。
また、使う上で覚えておきたいのは登場時及び戦場を離れた際の能力の処理です。よくジャッジを呼びます。
詳細なルールはMTGWikiさんに譲りますが、ざっくり言うと「登場時のスタック上の呪文を追放する誘発解決前に除去されると、追放の対象になった呪文は帰ってこない」「唱え方が複数あるカードを追放していると、除去された際に相手に得をされる場合がある」って感じです。
近年の一時的追放効果は「持続期間を持つ領域変更」が主流となっているが、このカードは追放と復帰が別能力になっている。そのため、いくつかのシナジーと組み合わせることで追放した呪文を永続的に追放にできる。
(MTGWiki「呪文捕らえ」メイン項より抜粋)
特定のカードを追放する能力を持つものは、戦場に出たときの能力がスタック上にある間に戦場を離れさせることで、追放したカードを戻ってこさせなくすることができる。
(MTGWiki「ナイトメア能力」ルール項より抜粋)
打ち消された呪文が分割カードや当事者カードなど複数の特性から選んで唱えられる呪文である場合、どちらで唱えるか選ぶことができる。追放された時と異なる選択を行ってもよく、マナ総量が5以上の呪文として唱えることも可能である。
(MTGWiki「呪文捕らえ」ルール項より抜粋)
それぞれ自分が得することも損することもある効果処理なので、自分の場合は下記のように対戦相手に確認を取っています。
ルール適用度一般の試合では巻き戻しても全然いいと個人的には思いますが、ルール適用度競技だとそれが出来ないので確認しています。困ったときは即ジャッジ!!!
登場時誘発解決前に除去を唱えられた場合
⇒「除去のタイミングは登場時誘発の解決前で良いですか?」
⇒⇒それで良いと言われたら:
「では、戦場を離れたのでその際の誘発を解決します。登場時誘発の呪文の追放を解決していないため、《呪文捕らえ/Spell Queller》が追放している呪文は無いので何も起きません。登場時誘発を解決して良いでしょうか。」
⇒⇒質問されたら:
「登場時誘発の解決前に《呪文捕らえ/Spell Queller》が戦場を離れると、追放している呪文はまだ無いので追放されていた呪文を唱える処理では何も起こらず、その後に登場時誘発の呪文の追放が解決されます。必要ならジャッジを呼びますがどうしますか?」
唱え方が複数あるカードを追放していた《呪文捕らえ/Spell Queller》が戦場を離れた場合
⇒「どちらの部分(特性)で唱えますか?」
⇒⇒質問されたら:
「《呪文捕らえ/Spell Queller》の戦場を離れたときの誘発は『そのカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい』なので、カードに複数の部分(特性)がある場合、オーナーは唱えるものを選ぶことができます。必要ならジャッジを呼びますがどうしますか?」
クリーチャー自由枠(3種7枚)

正確には妨害カードと合わせて、10枚~12枚の自由枠のうちのクリーチャー部分、という感じです。
先述のViniBuzo氏のリストでいうと、《呪文貫き/Spell Pierce》《喝破/No More Lies》《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》《永劫の無垢/Enduring Innocence》《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》の12枚の部分ですね。
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》:2枚

MOの【ミッド型アゾスピ】のリストではあまり採用されておらず、自分のこれまでのリストでも頻繁に抜けたり入ったりしているカードですが、現在は2枚は欲しいという結論になっています。
弱点として挙げたどうしようもないマナフラッドへの貴重な解決策の1枚であるのはもちろん、《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》が増えたことで、その付け先としての1マナクリーチャーの価値が高まったためです。
長期戦をしたくない/できない【黒系ミッドレンジ】やアグロ、妨害を優先したい【パルヘリオン】や【パミュレット/スケープシフト】のような高速コンボデッキにはサイドアウトすることも多いですが、逆にロングゲームになることもある【イゼット・フェニックス】【アゾリウス・コントロール】などでの対面では、とても頼もしい1枚になります。
特に【イゼット・フェニックス】とのマッチアップは基本不利なものの、相手の打点である《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》《帳簿裂き/Ledger Shredder》をとにかく除去した上で、《幽体の船乗り/Spectral Sailor》を全力で守り、他のクリーチャーやサイドカードを引き込むことで逆転を狙うことができます。
また、「長期戦になるとドローをしてくる」という点は相手にとっては意外とプレッシャーらしく、序盤に出すと除去を使ってくれる事もしばしば。こちらも《至高の幻影/Supreme Phantom》同様、デコイとして使うことも多いクリーチャーです。
ですが繰り返しの通り、マナフラッドへの貴重な解決策でもあるので、本当に除去されてもいいかどうかは慎重に考えて使いたいです。
《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》:3枚

採用枚数2~4枚で無限に揺れ動くカードです。
4マナ以下限定・除去されると相手に打点を渡してしまうとはいえ、永続追放除去は非常に優秀。
また、デメリットの除去されると相手に打点を渡してしまう点に関しては、現在のリストでは後述の《ポータブル・ホール/Portable Hole》(《縫い目破り》)で一定解決出来る部分にもなっています。
一方で、白ダブルシンボル要求かつソーサリータイミングが基本のカードというのは、土地が伸びなかったときや色事故のときのリスクも大きく、現在3枚になっているのも「1枚は引きたいが重なり過ぎても困る」という気持ちの表れだったりします。
また、除去されることにリスクのある除去クリーチャーということでサイドイン・アウトの判断が未だにピンと来ていないカードでもあり、上記のメイン採用枚数の揺れ動きと合わせて悩ませてくれる一枚です。
なお《鎖鳴らし/Rattlechains》がいる時はすげー強いです。いつもそうであってほしい。
また、こちらのカードも先ほどの《呪文捕らえ/Spell Queller》と同じく「登場時にパーマネントを追放する」「戦場を離れたときにトークンを対戦相手相手に渡す」を別々の能力として行うカードのため、「登場時のパーマネントを追放する誘発解決前に除去されると、対戦相手にトークンは出てこない」というルーリングとなっています。
こちらも除去を使われた際は、そのタイミングをしっかり確認するといいと思います。
《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》

【スピリット】に革命を起こしたと個人的に思う1枚です。
長らく「《幽体の船乗り/Spectral Sailor》や除去リスクのある《執着的探訪/Curious Obsession》、あるいはサイドの《婚礼の発表/Wedding Announcement》に頼らないとカードが引けない」という、致命的すぎる弱点を抱えていた各種【スピリット】が手に入れた、最強のドローソースであり逆転の切札です。
その中でも、《喝破/No More Lies》4枚採用・後述の《放浪皇/The Wandering Emperor》2枚採用で、中盤~終盤は4マナ以上で構えるシーンが多い【ミッド型アゾスピ】では、特に使い勝手がいいのではと感じています。
《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》下では、先ほど後引きに弱いといった《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》ですらドローソースに。
クリーチャー・タイプがスピリットではなく「光霊/Glimmer」のため《鎖鳴らし/Rattlechains》で除去から守れないのだけ惜しいですが、流石に守れたら最強すぎたのでちょうどいいのかもしれません。守りたいけど。

同じくドロー能力を持つ《永劫の無垢/Enduring Innocence》との差別点としては、やはり協約されていない《塔の点火/Torch the Tower》で除去されないこと・パワーが4ありアタッカーとしての性能がとても高いこと・そして何よりも瞬速。
《永劫の無垢/Enduring Innocence》は3マナと軽く、絆魂ブロックによる延命性能が高いため、そちらを好んで使われる方もいらっしゃいますが、自分は「打消し構えて空から殴る」をやりたいプレイヤーなので、瞬速を重視して《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》を選択しています。
妨害枠(5種13枚)

《ポータブル・ホール/Portable Hole》3枚・《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》3枚・《放浪皇/The Wandering Emperor》2枚が固定枠、
《失せろ/Get Lost》1枚・《喝破/No More Lies》4枚が自由枠です。
《放浪皇/The Wandering Emperor》はリソース源としての役割もありますが、だいたい[-2]の追放除去から入るので除去カウントしています。
《ポータブル・ホール/Portable Hole》:3枚

ViniBuzo氏によってメイン採用する逆転の発想がなされた、パイオニアの白込みデッキサイドボードの常連。
【ミッド型アゾスピ】では以前からサイドボードに3~4枚採用されておりましたが、現在の才能サイクルや《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn》、そして【赤単アグロ】が多い大会時点の環境では、メインボード採用が非常に強力であると感じていました。
「久遠の終端」後は、《ピナクルの星檻/Pinnacle Starcage》で追放されない・《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》ついでにアーティファクト破壊で破壊されないメリットを持つ、《縫い目破り/Seam Rip》に差し替えてる方が多い印象です。

まさかエンチャントで再録されるとは…
スピリット界隈では、大会当時はこのメイン《ポータブル・ホール/Portable Hole》採用は一定常識になりつつあったという認識なのですが、そうでない方には意外と知られていなかったようで、開封杯でも「メインからポタホ!?」と驚かれることが多かったです。
後述の《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》はあるとはいえ、3点くらいのパワーで殴られ続けるのが何気にツラいのが【スピリット】。
そのため、《心火の英雄/Heartfire Hero》《熾火心の挑戦者/Emberheart Challenger》《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》を1マナで追放できるこのカードは、今ではもう手放せないです。
また、先述の《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》では除去できない、《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》のゴブリン・シャーマン・トークン、《祭儀室/Ritual Chamber》の6/6デーモン・トークンへの対抗手段としても優秀です。ありがたすぎる!
《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》:3枚

「ダスクモーン:戦慄の館」が生んだバケモノオーラ。
「オーラがいわゆる『リング』になる」という発想は面白いし、除去されるともったいないからクリーチャー側に護法を付与するのも分かる。
なぜ絆魂と+1/0修整があるんだ……と使い手ながら何回も思う1枚です。
2~3点の飛行打点でコンスタントに攻撃出来る【スピリット】にとっては、絆魂でのライフアドバンテージ確保は非常に強力で、護法付与もクリーチャーに除去を打たれて相手が護法コストを支払い後に、《鎖鳴らし/Rattlechains》で呪禁付与や後述の《喝破/No More Lies》で妨害するというのが非常に強力です。
また、「対戦相手がコントロールする土地でないパーマネント」なら除去対象に制約が一切ないため、これまで突破が非常に難しかった《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》《ニヴ=ミゼット再誕/Niv-Mizzet Reborn》《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》といった大型対飛行ブロッカーを除去できるようになりました!
特に【緑単信心】に対しては《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》とメイン《ポータブル・ホール/Portable Hole》のおかげで、かなり相性が改善されています。
一方で、ロングゲームになったときに護法(2)はささやかになってしまうため、【黒系ミッドレンジ】【イゼット・フェニックス】などには1枚減らすことはありますが、絶対に0枚にはしない方がいいカードだと感じています。
スペースがあれば4枚にしたいのですが、クリーチャー枚数や他の妨害との兼ね合いでメイン3枚採用になっています。クリーチャーがいないと使えませんからね。
《失せろ/Get Lost》:1枚

お守りです。
《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》と合わせて、どうしようもないブロッカーやリソース源を破壊するために使用します。
正直、地図・トークンを与えて探検で打点を挙げられてしまうデメリットは【赤単アグロ】や【黒系ミッドレンジ】には特に手痛いです。
現在の「久遠の終端」環境リストでは不採用にしていますが…これがメインにあったことで勝てたゲームも多いので難しい1枚です。未だに戻すか悩んでいます。
《喝破/No More Lies》:4枚

「カルロフ亭殺人事件」全カードリスト公開時に、全アゾリウスカラー使いが狂喜乱舞した(諸説)1枚。
《呪文捕らえ/Spell Queller》と合わせて【スピリット】を白青にする理由の1つであると感じており、白青2マナのマナ拘束の重さに見合った活躍をしてくれます。万物を消していけ。
いうて白青2マナだからそこまで重くないでしょ~…と思われるかもしれませんが、実は《呪文捕らえ/Spell Queller》《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》《放浪皇/The Wandering Emperor》《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》と並行して構えることを考えると、6マナ以上ある際に白&青が常に3つ出る状態にしないといけません。
そのため、特に《連門の小道/Hengegate Pathway》をどちらの面でセットランドするかは非常に気を付けており、後述で説明する土地を調整する際も《変わり谷/Mutavault》を2枚にするといった工夫をしています。
これを安定して構えながら、4~5マナでクリーチャーと共にWアクションできるかどうかでかなりゲームが変わります。
《放浪皇/The Wandering Emperor》:2枚

アグロのフィニッシャーをスパッと切り、うっかり攻撃してきた《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》をスパッと切り、先制攻撃+打点上昇と侍・トークンで盤面を盤石にしてくれる頼もしいヒロインです。
【ミッド型アゾスピ】の初期から採用されているカードであり、固定枠と言っても差し支えないカード…ですが、実は最近自分はメイン2枚は疑っていたりします。
開封杯のときは調整が間に合わず2枚採用のまま挑んだのですが、現在の【赤単アグロ】は《陽背骨のオオヤマネコ/Sunspine Lynx》がいるため[-2]のライフ回復があっても削り切られてしまうことが多く、対アグロへの効果をいまいちと感じつつあったこと。
そして【黒系ミッドレンジ】が「《不浄な別室/Unholy Annex》と《変わり谷/Mutavault》を維持してドレインで勝つ」という勝利手段を手に入れてしまったことで、フィニッシャーが攻撃してくるシーンが減っていると感じていたことが主な理由です。
増加傾向にある【パミュレット/スケープシフト】や【パルヘリオン】に対しても効果が薄いことも気になる点。
定着したときに強力なカードではあり、【ミッド型アゾスピ】の立役者でもありますが、抜けてしまう日も近いのかなと思っています。
土地:24枚
現在のマナベースはかなり長く使っており、かなりのお気に入りです。
MOで主流のリストとの差異は「《金属海の沿岸/Seachrome Coast》《変わり谷/Mutavault》の枚数減少」「《フラッドファームの境界/Floodfarm Verge》の積極的な採用」です。

上記のリストをコピーして回した際にとても気になったのが
「4ターン目の《金属海の沿岸/Seachrome Coast》の弱さ」(2+2のWアクションが出来ない…!)
「《変わり谷/Mutavault》が、序盤に2枚重なった時のリスクの割に、環境に軽量除去が多く活躍しにくい環境になっている」という点でした。

そのため下記の変更を行い、安定して白と青が2マナずつ出るようなマナベースにしています。
・《金属海の沿岸/Seachrome Coast》を4枚⇒3枚に
・《変わり谷/Mutavault》を3枚⇒2枚に
・《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》を4枚⇒3枚に(重なったときに死ぬほど痛いため)
・これにより浮いた3枚を《フラッドファームの境界/Floodfarm Verge》に変更
・序盤は白2マナより青2マナを優先するシーンがあるため、《島/Island》1:《平地/Plains》2を《島/Island》2:平地1に変更
また、《フラッドファームの境界/Floodfarm Verge》採用に当たっては、下記記事を参考にしています。
内容をスーパーざっくりまとめると「60枚デッキ・土地総数20~28枚・境界2~4枚採用の場合で、境界ランドを引きかつ2色化する確率は、基本土地タイプ持ちの土地が7~9枚あると3~4ターン目には75~80%になるよ」という感じ。
この記事を参考に、基本土地タイプ持ちの土地は《神聖なる泉/Hallowed Fountain》4枚・《島/Island》2枚・《平地/Plains》1枚の計7枚、かつ白か無色しか出ない基本タイプなし土地は3枚しかないように調整しているので、「青マナが一切出ない初期手札が来て、マリガンせざるを得ない」「白マナばかり出てしまって、青いカードでWアクションが取れない」シーンがかなり少なくなっています。
とはいえ事故る時は事故るので、セットランドの際は
《金属海の沿岸/Seachrome Coast》の早期セット・《神聖なる泉/Hallowed Fountain》のタップイン処理
>《連門の小道/Hengegate Pathway》以外のアンタップイン土地(構えるカードにもよる)
≧《連門の小道/Hengegate Pathway》
という優先度を何となく考えており、《連門の小道/Hengegate Pathway》を使って極力マナシンボル数を調整する運用にしています。
サイドボード

以下は個別カードではなく、マッチアップ別の大まかな「枠」で紹介していきます。
対黒系ミッドレンジ枠

相手が除去しづらく定着すると打点・ドロー共に強力な《婚礼の発表/Wedding Announcement》/《婚礼の祭典/Wedding Festivity》、《婚礼の発表/Wedding Announcement》や《放浪皇/The Wandering Emperor》との相性が非常に良いドローソース《トカシアの歓待/Tocasia’s Welcome》、やべーやつを除去するためのお守り《失せろ/Get Lost》という感じです。
【ミッド型アゾスピ】を象徴する、「相手より妨害が多い相手にはクロック・パーミッションをある程度捨ててミッドレンジ重視にする」サイドボードです。
抜くカードが非常に難しいですが、だいたいこんな感じの抜き方が基本で、後は相手から見えたもので判断します。
ただこれは結構悩み中です。黒系ミッドの方に当たったときに毎回相談してます。
・《幽体の船乗り/Spectral Sailor》:2枚(ドロー起動するまでのゲームにしたくないため)
・《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》:1枚(1マナが減って&相手の除去が増えてバリューがやや落ちるため)
・《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》:1枚(でかいトークンを返すことが多くなるため)
・《呪文捕らえ/Spell Queller》:2枚(意外と除去されるため)
たとえば《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser》《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》が見えたら《呪文捕らえ/Spell Queller》《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》は残して、《ポータブル・ホール/Portable Hole》《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》をさらに減らすみたいな感じです。
(これらが入るデッキはマナカーブが重くなる、絶対に打ち消したい、除去したらなるべく帰ってきてほしくない)
最近の【黒系ミッドレンジ】も多様化してきているので、ここは「これまで見た知っているどのリストに近いか?」を1ゲーム目で嗅ぎ取る嗅覚がだいじですね。(もちろん他のデッキもですが)

対赤単枠

序盤の2マナ以下のクリーチャーを追加の《ポータブル・ホール/Portable Hole》で除去し、《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》でライフを維持しながら妨害を探し、《叫ぶ宿敵/Screaming Nemesis》は《失せろ/Get Lost》します。
《失せろ/Get Lost》は地図・トークンでの雄姿リスクが非常に大きいのですが、《叫ぶ宿敵/Screaming Nemesis》が辛すぎるのと《永劫の好奇心/Enduring Curiosity》を維持したいときに《熊野の食刻/Etching of Kumano》の追放効果が邪魔すぎるのでそれ用に入れています。
対《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》デッキ&ローナ・コンボ枠

《耳の痛い静寂/Deafening Silence》で止まってもらい、《ポータブル・ホール/Portable Hole》で《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》を除去し、《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》でライフを維持しつつ次の《ポータブル・ホール/Portable Hole》《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》を探しに行きます。
《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》を入れるのは意外かもしれませんが、先ほども言った通り「引いたカードでしか戦えない」「3点くらいでコツコツ殴られるのが辛い」ので、そのカバーとして入れることが多いです。
対【イゼット・フェニックス】の場合は、《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》は墓地対策として主に使います。
墓地が5枚程度で《宝船の巡航/Treasure Cruise》がそろそろ来そうなときに1回使うのがかなり強いです。
《弧光のフェニックス/Arclight Phoenix》は《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》で除去できますが、増えた手札はどうしようもないので……
対墓地活用デッキ枠(パルヘリオン/イゼット・フェニックス/パミュレット)

白入りデッキ使いの相棒・《安らかなる眠り/Rest in Peace》、そして《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》。
ちなみに【パミュレット/スケープシフト】は気合を入れれば《安らかなる眠り/Rest in Peace》1枚は突破できるそうなのですが、《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》はクリーチャーかつ瞬速・登場時誘発で墓地追放なのでかなり強力なサイドカードです。
ただし、相手のマナが増えすぎていると墓地追放スタックの上から《カーフェルの港/Port of Karfell》+《森の轟き、ルムラ/Lumra, Bellow of the Woods》ループを回されるので、1枚墓地に《森の轟き、ルムラ/Lumra, Bellow of the Woods》が見えたら撃つ、くらいでもいいかもしれません。
ちなみに開封杯SEはこれで《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》越えられて細川侑也さんの【パミュレット】に負けました。まじか~~~ってなってました。
なお、《安らかなる眠り/Rest in Peace》は、自分は対【イゼット・フェニックス】は1枚しか入れていません。
2枚目を引きたくないのと、現在の対【イゼット・フェニックス】の敗因が《コーリ鋼の短刀/Cori-Steel Cutter》由来のものが多すぎるので、《耳の痛い静寂/Deafening Silence》を優先したいためです。
対ロータス・コンボ枠

《耳の痛い静寂/Deafening Silence》で止まってもらい(2度目)、《喝破/No More Lies》《呪文捕らえ/Spell Queller》で止められないものを《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》で止め、打点が高く次の妨害を探しに行ける《クチルの側衛/Kutzil’s Flanker》を入れます。
そろそろお気づきかもしれませんが、この猫偉すぎます。今からスピリット・猫・戦士になってほしい。
【ロータス・コンボ】相手にはロングゲームをしてはいけないので、とにかく妨害しつつ殴ります。
なので《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》は絶対に抜かず、《放浪皇/The Wandering Emperor》や《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》を抜いてこれらを入れます。
《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》で殴りつづけるのと、《食糧補充/Stock Up》や《熟読/Pore Over the Pages》といったドローソースに対して爆発させて打ち消すのとのバランス感覚が大事です。
対重ミッドレンジ(白日ニヴ=ミゼット/奇怪な具現/クイントリウス・コンボ)枠

実は《豆の木をのぼれ/Up the Beanstalk》デッキはド不利なので、弱いクリーチャーを《婚礼の発表/Wedding Announcement》に入れ替えて手札と盤面を維持して、通してはいけないものは《喝破/No More Lies》に加えて《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》《失せろ/Get Lost》で妨害できることを祈ります。INORIです。
【クイントリウス・コンボ】はまだ《豆の木をのぼれ/Up the Beanstalk》が無いだけマシなのですが、どのみち《嘶くカルノサウルス/Trumpeting Carnosaur》《クイントリウス・カンド/Quintorius Kand》が《呪文捕らえ/Spell Queller》出来ないので、コンボを止められる打消しがデッキ内に少なく、何とか殴り切るしかないので同様のサイドボードを行います。
「久遠の終端」後のリストについて
「久遠の終端」発売後、また新たな【ミッド型アゾスピ】がMOに現れました。

《魅惑の悪漢、マルコム/Malcolm, Alluring Scoundrel》採用の【ミッド型アゾスピ】です。

先述の、自分のメイン《ポータブル・ホール/Portable Hole》採用型リスト調整の際のメモを再掲します。
・マナベースはずっと回してた自分のリストの方がリスクが少ない
(序盤に《変わり谷/Mutavault》を複数引いた時のリスク、シンボル数、タップイン)
・《呪文貫き/Spell Pierce》が後引きに弱く、「後引きをなるべく強くしたい」という自分のデッキの好み・設計思想と合わない
・《永劫の無垢/Enduring Innocence》が以前より【ミッド型アゾスピ】にはマッチしていないと感じており、更に環境に《塔の点火/Torch the Tower》が増えてきたので弱くなっていそうだった
・《喝破/No More Lies》4枚欲しすぎる
・サイドの《救済の波濤/Surge of Salvation》が怪しすぎる
・《無効/Annul》がややオーバーサイドで、どちらかと言えばビッグアクションデッキへの耐性を上げたい
注目すべきは赤字の部分、そして多くの人が長らくメイン《ポータブル・ホール/Portable Hole》採用を試さなかった理由であろう、「不要なマッチのときにメインで本当に邪魔じゃない?」の点。
そして、【スピリット】の根本的な弱点である、「引いたカードでしか戦えない」こと。
――そう、《魅惑の悪漢、マルコム/Malcolm, Alluring Scoundrel》のダメージ時のルーティング効果は、これらをまとめて解決してくれる可能性があるのです。
「やっぱり《幽体の船乗り/Spectral Sailor》は要ると思うんだよな~~~」「《放浪皇/The Wandering Emperor》そろそろ怪しくないか~~~?」の気持ちはありつつも、《魅惑の悪漢、マルコム/Malcolm, Alluring Scoundrel》採用はまたもや【ミッド型アゾスピ】のソリューションになる予感がしています。

実際、《放浪皇/The Wandering Emperor》はメイン1枚・サイド1枚のリストも登場しています。
そして!「久遠の終端」シーズンはまだまだ始まったばかり!
新カードを入れたデッキも、そうでないデッキもどんどん進化しています!
それに合わせてサイドボードを含めた75枚を調整していくのが…本当に楽しみで仕方ありません!!!
打消しが使えることで、「いつでも多くのデッキにワンチャンある」…
環境にあるデッキや採用カードを調べたり覚えていく必要もある…
――そう、「ただこのアーキタイプがパイオニアにしか存在しない」だけではなく…「あらゆるデッキの登場や進化と環境の変化を楽しみながら、パイオニアを遊び続けられる」のが、もしかしたら【ミッド型アゾスピ】の本当の魅力なのかもしれません!
おわりに
ということで、めっちゃ長くなりましたが愛機・【ミッド型アゾスピ】語りでした。
少しでも楽しんでいただけていたら、そして皆さんのご参考になっていれば幸いです!
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それでは、また!