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【パイオニアインタビュー企画】#巧者に訊く 第15回中編:齋藤慎也さん/第15・16期パイオニア神

パイオニア情報

眞白井エイドです。

普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。

さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。

今回は、第15期・16期パイオニア神に就任、そして2025年3月30・31日(日本時間)にエクスプローラー(現MTGAパイオニア)にて開催されたMTGアリーナ最高峰の競技大会・Arena Championships 8(以下、AC8)に参戦された、齋藤慎也さんにお話を伺いました。

惜しくも第17期パイオニア神決定戦(以下、17期パイオニア神)では、前回インタビューさせていただいた宇都宮巧さんに神の座を譲ることとなったものの、2017年のスーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップ2017優勝2023年のArena Championship 4 優勝と、数々の大型大会で優勝を飾ってきた「巧者」のお一人。

そして神決定戦シリーズ自体の初回・第1回スタンダード神でのTop8入賞以降、数々の神挑戦者決定戦でTop8に入賞されている、神決定戦シリーズと縁深い方でもあります。

今回はデッキのお話よりも、そんな齋藤さんのバックグラウンドや、参加された2つのイベントの感想・競技MtGへの想いにフォーカスさせていただきました。

およそ4時間にわたった超!ロングインタビューを、3回に分けての特大ボリュームでお届け!!!

前編では齋藤さんのバックグラウンド、そして齋藤さんが第1回から参戦されている「神決定戦」シリーズへの想いについてお伺いしました。

中編の今回は、第16期・17期パイオニア神防衛戦での使用デッキ「ゴルガリ・フード」、そして防衛戦への想いについて伺っていきます!

それでは、インタビュー本編をどうぞ!

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ゴルガリ・フードについて

眞白井
眞白井

ではデッキのお話に移っていきたいのですが、第15期パイオニア神決定戦で【ラクドス果敢】を使われて当時の神の細川航汰さんを下されて。
その後、第16期の初防衛戦で【ゴルガリ・フード】を使われて、第17期でも引き続き使われたと思うのですが……これまでの経歴を拝見すると、コンボよりはミッドレンジやビートダウン的なデッキを好まれてきていた印象を受けて。

眞白井
眞白井

第16期の際のインタビューで、「大会で優勝していたので触ったら気に入った」みたいな話は伺った記憶はあるのですが、コンボ的なゴルガリ・フードに触れてみた理由などをお伺いしたいです。

齋藤さん
齋藤さん

RC※で優勝したから触ってみたというのはあるのですが、あのデッキはRC後の数週間すごぶる評判が悪くて。MSDのメンバーも小馬鹿にしていたみたいな感じでした(笑)
使ってみると結構面白いんですよ、みたいな話はしていたのですが、あれ以降結果はどこにも残していなくて。

齋藤さん
齋藤さん

僕が2回目の防衛戦の時にGoldfishを見たときは履歴が無さ過ぎて、謎の大会で0-4しているデッキしかなくて、とんでもなかったですね…。結果が出ないからリストが変わっていないんですよ。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、自分で回した感じは(RCで)優勝もしているし、そんな馬鹿に出来ない強さだなと思っていて、この世間とのギャップがいいなと(笑)
僕、結構そういうの好きなんですよ。
GWのころからずっと、半年前のTier1みたいなのが好きなんですよね。

眞白井
眞白井

半年前の!

齋藤さん
齋藤さん

メタが変わってガードが下がって忘れられているけど、地力はあるみたいなデッキ。
それを今使ったら逆に強いんちゃう?みたいなのが好きで。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、地力が高いデッキじゃないと嫌なので…。
ゴルガリフードの場合、AC8でも使わなかったし、最強ですとおススメするほどの自信もなかったんですが、世間の評価よりは絶対強いよと思っていたので。

齋藤さん
齋藤さん

あとパイオニア神で使ったのは、(パイオニア神が)特殊な大会なのもあって、僕は果敢とかのイメージが強かったと思うので。

眞白井
眞白井

ずらしみたいな。

齋藤さん
齋藤さん

神に向けてチューンするみたいなのはないとは思うんですが、イメージがつき過ぎるのも嫌だったので、たまにはこういうのも使うんだぞ!みたいな。

齋藤さん
齋藤さん

あとは最初の防衛(第16期)の時は【セレズニア・カンパニー】なども出てきていて、果敢がデッキ単位で不利な相手も増えてしまっていて。
サイドを増やしてきたくらいのデッキなら頑張ろうかな、だったのですが、自分のイメージとしては当たったら相当キツいと思っていたので。

なので、それなりに勝率も出るしみんなも警戒していないだろうということで、【ゴルガリ・フード】を選びました。
あとは、【ゴルガリ・フード】って分かっていない相手だと一瞬で勝つところもあって…。

眞白井
眞白井

分かります分かります。

齋藤さん
齋藤さん

僕はこういう「知らないと終了」みたいなデッキがあまり好きではないのですが、「こんなデッキ勉強してこないでしょう?」という部分は大きくて。結構みんな馬鹿にしていたし(笑)
ふんわりやられ方は把握していても、具体的に気を付ける部分やサイドイン・アウトなどは想定しづらいだろうなと。

齋藤さん
齋藤さん

それでいうと、当時のスタンダードで【ラクドス・サクリファイス】は好んで回していたので、多少はわかる部分があるかなという思いもありました。
当時は細かくライフを詰めていくデッキという印象だったんですが、そこに《全てを喰らうもの、イグラ/Ygra, Eater of All》が増えてコンボ的になって。
ゴルガリはジャンドのアレンジ版かな?と思ったら、思ったよりコンボにオールインしていて、殴らないんですよ(笑)

齋藤さん
齋藤さん

僕は本当にライフを詰めるのが好きなので、その場の勢いで《魔女のかまど/Witch’s Oven》の前に《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》からプレイしたりするくらいなのですが※、このデッキは1ターン目に《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》をプレイする必要ないな?と何回か回したら思って。

※追放除去を避けるために《魔女のかまど/Witch’s Oven》からプレイして、《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》を安全に維持するのが一般的なセオリー。

眞白井
眞白井

衝撃ですね。

齋藤さん
齋藤さん

コンボで勝つか、手が付けられなくなった《全てを喰らうもの、イグラ/Ygra, Eater of All》で殴り続けて勝つかで。
なのでこう……新鮮な体験というか。
自分でもそう思うくらいだったので、慣れていない人はもっとびっくりするだろうなと思って。

齋藤さん
齋藤さん

コンボデッキなので、メインボードはフェアデッキには強いですよね
コンボ側は普通サイド後にぼこぼこにされるみたいなのはありますが、このデッキはサイド後も墓地対策に強いというのがあって。

眞白井
眞白井

ゴルガリという色的に墓地対策対策をしやすいのはありますよね。

齋藤さん
齋藤さん

墓地の枚数が重要なデッキではなくて、《全てを喰らうもの、イグラ/Ygra, Eater of All》と《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》2枚抱えておけばいいので、墓地対策を割った瞬間決まるというのもあるくらい。

齋藤さん
齋藤さん

《安らかなる眠り/Rest in Peace》《虚空の力線/Leyline of the Void》クラスの墓地対策だと、普通の墓地デッキはまた墓地を貯める必要があるものが多いですが、このデッキはすぐ勝てることもあります。

あとは《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》みたいなデッキも、僕は(神決定戦では)負ける展開になってしまいましたが、基本はケアして上から動けますし。

齋藤さん
齋藤さん

本当にきついのは……《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》くらい。
そこも反省点で、《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》用のサイドプランは考えておくべきだったなと思うんですが。
まとめると、コンボデッキ特有のメインの強さと対策への抵抗力がいい点だなと。

眞白井
眞白井

普段の好みとは違いますが、その2点で先ほど触れていた地力の高さがあるのと……

齋藤さん
齋藤さん

面白さですね(笑)

齋藤さん
齋藤さん

実は17期は【ゴルガリ・フード】を使うつもりはなくて、普通に【ラクドス・デーモン】を使う予定だったんですが、その頃はパイオニアやエクスプローラーが出来ていなくて、情報が【ディミーア・バウンス】が出てきたぞ、くらいで止まっていました。
そしてデーモンとバウンスどちらが有利か分からなかったのですが、《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》がとにかく嫌で……。

齋藤さん
齋藤さん

しかもゆうやん※が勝って使う人が増えそうだったのもあったのと、直前に回した【ラクドス・デーモン】の勝率がそこまで高くないけど、【ゴルガリ・フード】は高くなってしまって。
とはいえ自分が無限に回したくなるような勝率80%のデッキではなくて、70%を下回るくらいだったのですが、【ラクドス・デーモン】は60%だったので……。

※細川侑也氏の通称。長年競技シーンに取り組んでいるプレイヤーであり、記事を中心にMtGに関する情報発信も精力的に行っている。

眞白井
眞白井

ちょっと消極的な選択だったんですね。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、上の方のいくつかのデッキには少なくとも不利ではない、どちらかといえば有利のつもりで持ち込んで、実際にデッキの分布もそんな感じだったので。
ゆうやんと話したんですが、ゴルガリ・フードを使うと言ったら「それだけは嫌だった!」みたいに言われて(笑)

眞白井
眞白井

細川さんが言うならもう相当ですね(笑)

齋藤さん
齋藤さん

ただ、結構直前まで【ラクドス・デーモン】を使うつもりではあって、本当にデッキ提出の直前に切り替えました。
相変わらず参考になるリストはないですし…11月のゆうやんのリストを見たくらいで、《実験的な菓子職人/Experimental Confectioner》が気になっていたので直前で入れてみたのですが、3マナという重さが気になったのと使い慣れていないこともあってやめておけばよかったなと。

《死人に口無し/Deadly Cover-Up》のようなカードで《全てを喰らうもの、イグラ/Ygra, Eater of All》が抜かれてしまうことを懸念して、別の勝ち筋のつもりでの採用だったんですが、そもそもデッキから抜く系統のカードはほぼ使われていませんでしたし、気にしすぎでした。

ゴルガリ・フードのポテンシャル、そして新しいゴルガリ・フード…?

眞白井
眞白井

どうしても現在のパイオニアってマイナーデッキが研究されにくくて、メジャーデッキのメジャーリストが回され続ける環境になってしまっていて、それはとてももったいないと思っているのですが、第16・17期と触れてみて、【ゴルガリ・フード】のポテンシャルは高いと思いますか?

齋藤さん
齋藤さん

17期と今はかなり話が変わってしまっていて、AC8で《陽背骨のオオヤマネコ/Sunspine Lynx》が増えたりもしたので、そのままの形で行けるかは怪しいと思っています。

齋藤さん
齋藤さん

【ゴルガリ・フード】は【ロータス・コンボ】や【緑単信心】に近い系統のデッキだと思っているのですが、彼らは妨害がほとんどないので基本的にアグロが苦手です。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、【ゴルガリ・フード】は彼らより1段階速度が遅い代わりに、《致命的な一押し/Fatal Push》や猫かまど※でアグロに一定強いというのはあるので。

※《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》+《魔女のかまど/Witch’s Oven》のシナジーセットのこと。

齋藤さん
齋藤さん

とはいえ、今の《叫ぶ宿敵/Screaming Nemesis》入り(の赤単)に対抗できるにはわからなくて、AC8の調整でqtaro※が試してはくれたのですが、「赤系に勝てる気がしない」と言っていて使うのは諦めました。

※BIGs所属プレイヤー矢田和樹氏のハンドルネーム。詳細は後編のAC8調整パートにて。

齋藤さん
齋藤さん

でも、神決定戦後にラダーで当たったリストは面白いなと思いました。
《パンくずの道標/Trail of Crumbs》がめちゃくちゃ入っていたんですよ。《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald》もなくて。
なので《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》に強くなっていたんですよね。

眞白井
眞白井

おおー!

齋藤さん
齋藤さん

当時はデーモンで相手していたのですが、あまりにも《パンくずの道標/Trail of Crumbs》と《浚渫機の洞察/Dredger’s Insight》が並びすぎて、ライフ回復され過ぎて《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》でも削れなくて、(コンボパーツが)揃って負けたみたいな感じで……ミッドレンジにはすごく強くなっていそうと思いました。

眞白井
眞白井

MOイベント結果でも見たことないですね……

齋藤さん
齋藤さん

本当にその人だけが回しているリストだと思います。

眞白井
眞白井

いや~、気になるな~!

齋藤さん
齋藤さん

更に速度は遅くなっていると思うのですが、赤単も《叫ぶ宿敵/Screaming Nemesis》だけなんとかすればライフ回復が間に合うかもしれないので、やれるかもしれないですね。

眞白井
眞白井

ではデッキのポテンシャルについては、もしかしたらそういうリストの可能性も秘めているかもしれないというところで!

齋藤さん
齋藤さん

(そのリストは)試してみたいとは思ったんですが、今は時期的に競技的に試す機会もなくて、新しいセットも出てしまって…
……もしかしたら次のパイオニア神に持っていくかもしれないですね。

眞白井
眞白井

もうビートの齋藤ではないかもしれない(笑)

齋藤さん
齋藤さん

スーパーサンデー※1の時の権利を取ったのも4Cラリー※2っていう墓地活用コンボでしたし。
リミテッドのクリーチャーで殴ってコンボ要素があるみたいなデッキが好きなんですよね。

※1:齋藤さんが優勝した大型競技大会「スーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップ2017」のこと。グランプリのサイドイベントでの優勝者を招待し、WotC本社で開催する大掛かりな賞金制大会だった。
※2:「運命再編」期スタンダードに存在した、《先祖の結集/Rally the Ancestors》を使用したコンボデッキ。 大量のクリーチャーをリアニメイトし、召喚酔いおよびアップキープの追放を回避する手段を用いて、対戦相手のライフを削り切る、もしくは大きなアドバンテージを得ることを狙う。

眞白井
眞白井

ちょっと面白いですね。原点回帰というか。

齋藤さん
齋藤さん

4Cラリーは僕のマジック人生の中でも特に思い入れのあるデッキなので。

眞白井
眞白井

長くやっているとこういうこともあるんですね!

第17期防衛戦使用リストについて

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眞白井
眞白井

17期当時にお話を戻すのですが、当時は参考にするリストがない中で新カードセットが出て、
新カードの《浚渫機の洞察/Dredger’s Insight》《沼地の晩餐会/Quag Feast》を試したリストを組まれたと思うのですが、情報が少ない中で考えていた点・工夫した点などがあればお伺いしたいです。

齋藤さん
齋藤さん

《沼地の晩餐会/Quag Feast》の方は、とにかくPW除去が欲しいなと思って採用しました。
《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》があったのと、当時【ラクドス・デーモン】を使っていてもPW除去が少ないと思っていて。

眞白井
眞白井

《苦々しい勝利/Bitter Triumph》も不採用になっていましたからね。

齋藤さん
齋藤さん

《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred’s Edict》も入ってないですし。
結構《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》が出てきていて、《悪夢滅ぼし、魁渡/Kaito, Bane of Nightmares》もいたので。

齋藤さん
齋藤さん

《致命的な一押し/Fatal Push》は紛争しやすくて、《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》は何とかなるんですが……。
なのでPWに触れる点と、新しいカードなので入れてみるか、みたいな。

齋藤さん
齋藤さん

あとは第16期の時もそうだったんですが、《蔦刈りの導師/Vinereap Mentor》をとにかく減らしたくて。
今はちょっと考えが変わっているんですが、コンボで勝ちたいのであれを出して殴る展開がないと思っていて。(《蔦刈りの導師/Vinereap Mentor》を出すなら)《清掃人の才能/Scavenger’s Talent》のレベルアップを優先したいくらいだったので、1枚だけにしていました。
ゆうやんも同じ考えで彼は0枚にしていたのですが、その考えでいいかなと第17期の時は思っていてそうしました。

齋藤さん
齋藤さん

後はキープするときに基準になるうれしいカードがこのデッキは少なくて、
《命取りの論争/Deadly Dispute》か《蓄え放題/Cache Grab》くらいだったので、
似たようなことをしてくれないかなと思って、《浚渫機の洞察/Dredger’s Insight》は《蓄え放題/Cache Grab》の5枚目として入れました。

ライフ回復もけっこうしてくれますし、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》が居る時にイグラコンボを決めることも出来るので。

眞白井
眞白井

あ~、たしかに!

齋藤さん
齋藤さん

《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》はあまり使われないだろうけど、一応いれました。

眞白井
眞白井

それは気づいていませんでした……。

齋藤さん
齋藤さん

AC8の練習の時は《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》を入れていたので、(イグラコンボの)相手がそれで負けるみたいなパターンがありましたね。
ただ、この2枚は解説で平山※に当てられてしまいましたが、新カードなので入れてみるか~枠でした。

※平山怜氏。Hareruya Pros所属のプロプレイヤーで、パイオニアで開催された初のチャンピオンズカップファイナルで優勝した他、多くの大型大会で成績を残している。第17期パイオニア神決定戦では解説を務めていた。

眞白井
眞白井

もう少し時間があったら他のカードになっていたかもしれないと。

齋藤さん
齋藤さん

リストを見返すと、《蔦刈りの導師/Vinereap Mentor》を抜き過ぎて、墓地にカードはあるけど
場に食物がないなというのが多いなと気づきました。

《命取りの論争/Deadly Dispute》も使いにくいですし、《清掃人の才能/Scavenger’s Talent》をレベル3にしたときに生け贄にするものが無かったり……。

齋藤さん
齋藤さん

《蔦刈りの導師/Vinereap Mentor》4枚の時は気にしていなかったのですが、抜き過ぎると意外と生け贄に出来ないというのがあって。
《蓄え放題/Cache Grab》での(食物トークン追加)ボーナスも大きいですし、0枚はやりすぎだったかなとか。

眞白井
眞白井

もし当時に戻れて調整出来るなら、そのあたりの食物供給源ですかね。

齋藤さん
齋藤さん

そうですね。《蔦刈りの導師/Vinereap Mentor》を戻したり、全く新しい《パンくずの道標/Trail of Crumbs》を入れた型を試してみたいかもしれません。
今誰もやっていないから目立っていないだけで、ちゃんと強い可能性はあります。

眞白井
眞白井

次のゴルガリフードを切り開くのは、齋藤さんと今この記事を読んでいる君かもしれない!

第17期パイオニア神防衛戦について

眞白井
眞白井

神に連続で在位するというのは結構難しいことになってきていて、プレッシャーもあったかと思いますが、タイトルについて考えていたことや、防衛戦にどんな気持ちで向かわれていたかお伺いしたいです。

齋藤さん
齋藤さん

(神の座は)手放したくはまったくなかったですね。
第1期スタンダード神でTop8になって、それ以降も何度か神挑戦もできましたが、神になれたのが本当にこの間のが初めてで。
長く神を守っている方の雰囲気もいいなと思っていたので、自分もそうなりたかったです。

齋藤さん
齋藤さん

もっと練習したかったですが、モダンのRCなども2月頭にあったりして時期的に練習時間が取れなくて……。まあそれはみんなも一緒だったと思うのですが。
ただ、PTと日程が被っていたので、解説の平山に怒られましたね(笑)

齋藤さん
齋藤さん

神になるのは大変ですが、制度的に神の方が有利かなと思っていました。
そういうなら準備しておけよという話ですが、それも自分のスタイルではなかったので、
そんなに反省はしていないですね。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、いつもなら知り合いに相談したりできたのですが、MSDのメンバーはPTに向けて忙しかったし、パイオニアに出ている人もいなかったので。

眞白井
眞白井

相談も出来ないのはなかなか厳しいタイミングでしたね…

齋藤さん
齋藤さん

パイオニアについて何も知らない、なんなら自分が一番詳しいみたいなところになっていたので。それがパイオニアの置かれた環境として少し寂しいなと思いながら…。
みんなでやるのが好きなので、タイミング的に残念でした。

齋藤さん
齋藤さん

あと神になって1回あったのが、神決定戦の直前にどこまでみんなに話そうかなというのは悩みました。

眞白井
眞白井

あ~。

齋藤さん
齋藤さん

デッキの感触くらいは話していたのですが、【ゴルガリ・フード】を使うまでは言ってなかったんですよね。
あまりそういうことを知り合いに隠すのが嫌いなのですが、神決定戦という特殊過ぎるフィールドというのが微妙な感じというか、どうしよう…みたいな。
同じ大会に出る分には気にしないし、なんなら中身についてブレストするくらいなんですが。

齋藤さん
齋藤さん

あとは【ラクドス・デーモン】を使う分には話せたかもしれないんですが、【ゴルガリ・フード】というデッキが特殊過すぎて、サイドの《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》が増えると困ってしまうんです(笑)
しかもその枚数って割と好みの範疇で、大体1~3枚くらいの印象ですが、神が【ゴルガリ・フード】なら3枚にするかと自分でもなりそうでしたし。

齋藤さん
齋藤さん

これはたまたまですが、井川さん※がMOのリストから適当に拾ってきた【ラクドス・デーモン】を回していて、サイドが《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre》1枚、《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》2枚だったんですが、ちょっと回して「食肉鉤なんで入ってるの!?弱すぎ!碑出告3にする!」とかやっていて。

「井川さんがちゃんとしているせいで勝手に自分のデッキに強くなってしまった」と内心苦笑いしていました(笑)

※井川良彦氏のこと。プロプレイヤーの1人であり、 プロツアー「サンダー・ジャンクション」での優勝が記憶に新しい。

眞白井
眞白井

井川さんが上がってきたら恐怖でしたね(笑)

齋藤さん
齋藤さん

神側のデッキを知ったからといって極端にメタってくるような仲間ではないと思っていますし、そもそも挑戦者にならないといけないのでそんなリスクを冒すはずもないんですが、今回は極端に刺さるカードが自然な範囲で枚数変更できてしまうという特殊な事情があったので…(笑)

そんな感じでデッキは明言していなかったですね。

眞白井
眞白井

待ち構える側の難しさですね~…。

齋藤さん
齋藤さん

それが面白い面でもあるんですけどね。

眞白井
眞白井

挑戦者に宇都宮さんが来ると分かった時にはどんな気持ちでしたか?

齋藤さん
齋藤さん

正直ラッキーと思いました。

齋藤さん
齋藤さん

これにはいろいろあって、カツオ※が来ること自体はラッキーではないです。
普通にうまいので。

※宇都宮巧氏のMOでのハンドルネームおよびX/Twitterアカウント名「katuo079595」からの通称。

齋藤さん
齋藤さん

ただ、とにかく【緑単信心】と【ロータス・コンボ】が来ないでくれと思っていて、Top8がそういうデッキがいなかったのでラッキーだと思っていました。

(その他に)嫌な要素としては、赤いアグロにブン回られることくらいで……
《残響の力線/Leyline of Resonance》赤単デッキが居たかな。それが恐ろしくて。
(デッキの)相性より、めちゃくちゃしてくるデッキはどうしようもない負け方をすることもあるので、そういうデッキが来ないでほしいと思っていました。

齋藤さん
齋藤さん

【ラクドス・デーモン】は仮想敵として、多少有利だろうと思っていたし、
カツオ※は《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》2枚だったので(笑)

MSDの調整の時から見てましたね。「カツオは2枚か、ふーん」みたいな(笑)

齋藤さん
齋藤さん

あとは見知った仲でしたし、冗談で神をMSDで独占するぞみたいなことも言っていたので最悪負けても、MSD内での引継ぎか~みたいなことは考えていました。

眞白井
眞白井

同じ王朝の血は残るみたいな。

齋藤さん
齋藤さん

カツオに負けたらしょうがないかな~と思えるので、そういう色々を含めて、
安心して臨める、気構えずにやれそうで良かったと思いました。

眞白井
眞白井

いい緊張感で戦えるお相手さん。

齋藤さん
齋藤さん

そうですね。

眞白井
眞白井

神決定戦の配信って卓側の音声が乗らないのですが、どんな雰囲気でやられていたんですが?

齋藤さん
齋藤さん

めっちゃしゃべってました(笑)

眞白井
眞白井

聞きたかったな~!

齋藤さん
齋藤さん

G1、G2はお互いに土地を引かないみたいな展開だったので、「引かんな~」みたいな感じで
やってましたね。

眞白井
眞白井

こちらからすると巧者同士がバチバチでやり合っている卓だけが見えていて、手のしぐさで残念そうとかは分かるんですけど、実際はそういう雰囲気だったんですね。

眞白井
眞白井

ただその中でも勝負がかかったシーンや緊張感が走るシーンもあったと思うのですが、宇都宮さんのプレイで印象に残っていたものはありますか?

齋藤さん
齋藤さん

本人もずっと言っていたように、(カツオが)死ぬほど引きが強かったというのはあるんですが、全体を通してこちらから見ていて間違えてくれなかったなって。

齋藤さん
齋藤さん

大体の人は出来るかもしれませんが、このターンちゃんと20点以上あるなというシーンで
ちゃんとフルパンチして削ってきたのもあったし、下手をしたら人によって1ターン勝つのが伸びていたかもというシーンが2回くらいあったかと思うんですが、正確に両方とも仕留められたなという。
高レベルのプレイヤーは間違えないと思うんですが、それをしっかりやられて、あのプレイでチャンスが出来たわ、みたいなことがありませんでした。

眞白井
眞白井

引きの強さをしっかり無駄にしないプレイをされていたと。

齋藤さん
齋藤さん

こちらは一撃コンボデッキでしたし、1ターン来たら勝っていたみたいなところもありましたしね。

眞白井
眞白井

G3ですかね。

齋藤さん
齋藤さん

ただこれはやられるわー、と思いながらターンは返していたんですが(笑)

眞白井
眞白井

そういうハイレベルなプレイヤーさんと差し合っているというのは、MtGの面白さとして感じるところではありますか?

齋藤さん
齋藤さん

それでいうと難しい所もあって……基本的に負けるのが嫌いなので(笑)
知り合いだから雰囲気よくやれるみたいなところはメリットとして感じていますけど、でも強いやつとあんまりやりたくないとは思っています。
強いやつのプレイは勉強になるので興味はあるんですが、俺の前には立ってくれるなというのは思います(笑)

眞白井
眞白井

そして、宇都宮さんはそういうプレイヤーさんだと。

齋藤さん
齋藤さん

めちゃくちゃ嫌ではないけど、くらいですね。ヤソさんよりはマシか…みたいな(笑)

次回予告と宣伝

ということでインタビューは後編につづきます!

後編では、第17期パイオニア神防衛戦後に参戦されたArena Championship 8の調整の裏側、そして齋藤さんの競技MtGへの思い入れに迫ります!

準備期間は……わずか10日!?
そんなハードスケジュールの中、「巧者」の齋藤さんとチームの皆さんはどう挑んだのか。その過程で得た気づきとは。
そして、齋藤さんのパイオニアへの想い、競技MtG勢へのエールとは……!

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