眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。
さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。
今回は、2024年10月12日・13日に開催された「チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド1(以下、CCF3-1)」でトップ8に入賞された中原 大貴さんことアマハラさんにお話を伺いました。
CCF後の現在、メタゲームの第一集団をひた走る【ラクドス・デーモン】。
アマハラさんが入賞したのは、その先駆けとなる【別室型ラクドス・ミッドレンジ】でした。
デーモンデッキといえば【黒単デーモン】がメジャーだったCCF当時。
《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》とラクドスカラーの組み合わせに、アマハラさんはどうやって辿り着いたのか?
それでは、インタビュー本編をどうぞ!
自己紹介
では、自己紹介からお願いします!
アマハラです。
MtGは「戦乱のゼンディカー(2015年9月)」から。
最近はあまり構築戦をやっておらず、もっぱらリミテッドプレイヤーになってます。。。
普段は愛知県で、んかい流、チームゴミ箱といったコミュニティで遊んでいます。
好きなカードは《難題の予見者/Thought-Knot Seer》《頑固な否認/Stubborn Denial》《物資投下/Supply Drop》《早撃ち/Quick Draw》です!
後半のカードが完全にリミテッドのやつ!w
《物資投下/Supply Drop》は自分も「兄弟戦争」リミテッドをやったときにお世話になりました。
4マナ起動ちょっと重いけど攻防共にいいカード……。
では、ずばり今回出された成績をお願いします!
CCF3-1でTop4でした!
おめでとうございます!
普段リミテッドが中心とおっしゃっていましたが、構築でのここまでの好成績、本当にすごいです…!
使用されたデッキについて
では、今回使用されたデッキと、デッキをあまり知らない方向けの簡単な説明をお願いします。
【ラクドス・ミッドレンジ】です。
1~2ターン目は手札破壊と除去でカードを交換して、単純な対処が難しい3マナ域のカードで差をつけていきます。
アグロ相手は除去から《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》、コンボ相手は手札破壊から早めのクロック、ミラーでは手札破壊から差をつける3マナ域等、相手によって適切なプランを選択出来るのが強みです。
少々補足させていただきますと、アマハラさんが使われていたのは、記事公開の現在では【ラクドス・デーモン】として【ラクドス・ミッドレンジ】からはまた独立したデッキになりつつある形に近いリストですね。
ですが今回のインタビュー中は、当時に合わせて【ラクドス・ミッドレンジ】で表記していきます。
そしてラクドスカラーといえば、パイオニアの「強者」のカラー……!
過去に【ラクドス・ミッドレンジ】を使われた小原さんにインタビューさせていただいた時も、お話を聞きながら改めてその強さに震えた記憶があります。
デッキ自体はCCF当時、どれくらいの期間使われていましたか?
【ラクドス・ミッドレンジ】としては、前回のパイオニアのチャンピオンズカップファイナル以来2回目です。地質鑑定士コンボにぼこぼこにされました。
構築戦に出るのは今年の春から数えると、【イゼット・エンソウル】での店舗予選、自作の【ワイト】でのエリア予選、そしてこの【ラクドス・ミッドレンジ】でのファイナルの3回目です。
えっ。
す……すごい……!
少ない挑戦回数の中で、パイオニアやり込み勢の方々とやり合っていたとは……!!!
個人的にパイオニアはどちらかというと「やり込み得」なフォーマットだと思っていて。
過去回でも、2年触っていた白単人間の経験値が活きたという話があったり、様々な黒のカードを試し続けて最適解に辿り着けたという話があったり……。
だからこそ、デッキ選択と普段から身につけられていたMtGスキルで勝利を手にされたというのは、本当にすごいことだと思います。
加えて伺いたいのですが、普段遊ばれているリミテッドのノウハウが生きているなと思うところ・あるいは構築で戦うのときに意識していることはありますか?
戦闘を介したダメージレースをする時はリミテッドのノウハウが活きることもあります。
キルターンを考えて自分が攻める側か守る側かを意識するとコンバットの判断がしやすいです。
「Who’s the Beatdown?」ですね。
そう考えると、【ラクドス・ミッドレンジ】の強みを活かす土壌がアマハラさんの中にあったのかなと思います!
話をデッキに戻して。
今回使われた【ラクドス・ミッドレンジ】の良い所とは何でしょうか?
《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》、《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》という《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》並に強い3マナ域が追加され、単純にデッキパワーが上がっています。
同じような【黒単デーモン】と比較すると、《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》の分でハンデスの応酬の後に差をつける3マナ域をプレイしやすいのがメリットです。
パイオニアパワー9の一角とも噂される《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》は、やはりラクドスカラーを握る強い動機ですよね。
そしてお話を伺った雰囲気、【黒単デーモン】に赤を足すアプローチというよりは、【ラクドス・ミッドレンジ】を強化するアプローチで今回のデッキに辿り着かれたように感じたのですが、いわゆる「デーモンパッケージ」……《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》を足そうと思った理由というのはなんでしょうか?
単純に《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》のカードパワーが高いのと、ミラーがある程度発生すると予想していて、ミラーは部屋を置くと非常に有利になるからです。
黒単を使わなかったのはコントロールを使うのが苦手で、《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》や《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》で攻める選択肢がある方が好みだからです。
なるほど、ミラー意識とご自身のプレイスタイルともご相談されながらの選択だったのですね。
その他に、ラクドス型独自の強みというのは何かありますでしょうか?
自分としては、やはり《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》パッケージが非常に強力かなと思いますが。
あれほんと放置できないんですよね……。
ほぼその2枚のみです(笑)
が、《塔の点火/Torch the Tower》や《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》等、アグロに有効な除去の選択肢は多くなります。
たしかに、《塔の点火/Torch the Tower》の存在は、当時のトップメタの【ラクドス果敢】との相性改善要素としては大きいですね!
黒単だと《苦痛ある選定/Anoint with Affliction》でどうしても2マナスタートになってしまいますし。
では逆に、デッキの難しい所・良くない所・デメリットはなんでしょうか?
エンチャントに触れないため、【奇怪な具現】などの特定デッキに弱いです。
また手札破壊を主軸とする以上、対戦相手の引きに左右されやすいです。
【奇怪な具現】は「大主」サイクルで強化されたてだったので、CCF当時は遭遇するかドキドキだったかもしれませんね。
相手のドローに左右される点は除去の多さである程度フォローできているとはいえ、最近のパイオニアは出た時点でリソースを稼ぐカードも増えてきたので難しい所です。
あとは、破壊除去がメインなので流行りの「永劫」シリーズや《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》への対処手段が限られるのが弱みだと感じました。
今使うなら、追放除去をメイン•サイドに増やすと思います。
そのうえで、今回【ラクドス・ミッドレンジ】を使われようと思った理由は何でしょうか?
デッキリスト公開性が【ラクドス・ミッドレンジ】と相性が良いからです。
アグロ相手なら除去ハンドでキープを目指し、コントロール相手なら除去ハンドはキープしない等、メインからサイド後のようにプランをアジャストすることが可能です。
プロレイジーさんのインタビューでも出てきた、デッキリスト公開性大会ならではの特徴ですね。
自分だけ疑似的にメインゲームをサイドゲームのように戦えるというのは、すごいアドバンテージですね……!
そして、構築戦経験が少ないながらも、そういった点をしっかり意識されていたのは流石の一言です。
使用したデッキリストについて
では、具体的なデッキリストの話を伺っていこうと思います。
一般的なリストと比較した際の、今回使用されたリストの特徴や工夫した点をお教えいただけますか?
《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》を使用した黒系ミッドレンジが多いと思ったので、《無情な行動/Heartless Act》をメイン2サイド1用意してかなり寄せました。
また先ほども触れましたが、ミラーで《不浄な別室/Unholy Annex》が非常に強いと考えて採用しました。当時はマイナー側でしたが、思ったよりカードが強かったです。
《無情な行動/Heartless Act》は、対《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》決戦兵器ですね(笑)
実は自分の《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》の麻痺カウンターを取り除くという小テクもあったり。
無情な行動入れすぎ!って言われた時は斬鬼のカウンター取り除けるから!って言ってました。因みに本戦で1回も使わないテクでした……(笑)
《全てを喰らうもの、イグラ/Ygra, Eater of All》が除去出来なかったりラクドス果敢に少し使い辛かったり、なんだこのカードは…って思いながら使ってました。
ちょっと気になったのが、黒単デーモンだと《アクロゾズの放血者/Bloodletter of Aclazotz》と一緒に使われる《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》ですが、アマハラさんのリストだと《アクロゾズの放血者/Bloodletter of Aclazotz》は不採用になっていますね。採用は検討されましたか?
それとも、《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》だけで十分と判断されたのでしょうか。
《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》が、【イゼット・フェニックス】【サクリファイス】【パルヘリオンシュート】と有効なデッキが数多く存在し、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》を使いたいというのもデッキ選択理由のため、《アクロゾズの放血者/Bloodletter of Aclazotz》の採用は考えませんでした。
どうしても4マナ域が膨れてしまうので、デッキを軽く攻撃的にしたいラクドス型だと、たしかに《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》と《アクロゾズの放血者/Bloodletter of Aclazotz》の併用は難しいですね。
《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》を使いたい!な方は結構周りのプレイヤーさんにもいますね(笑)
やはりデメリット持ちビッグフライヤー…かっこいい…
《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》は強いし見た目も好みで良かったです!
……ちょっと細かい話なのですが、土地25&《変わり谷/Mutavault》4枚って2色デッキだと足回りが厳しいシーンも出そうだな、と傍目からは感じてしまったのですが、実際はどうでしたか?
色カウント自体は充分なのであまり不自由には感じませんでした。
初手で《変わり谷/Mutavault》が2枚あるとやや厳しいですが、26枚のリストでもそこはあまり変わらないかなとも思います。
なるほどです。ルーティング手段も多いので、事故時にほしいマナ源を引き込むことも確かにやりやすそうですしね。
では、実際プレイしてみてのリストの感触はどうでしたか?
これも先ほどの話にありましたが、追放除去が無いので《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》や「永劫」シリーズを止められませんでした。
また、追加の《無情な行動/Heartless Act》をサイドにとったのは間違いでした。
リスト公開性だと、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》をoutされるため……。
リスト公開に慣れていなかったので、相手がどうサイドするかも考えて組んでいきたいです。
相手のサイドを想像して、というのは相手の一歩先を行かないといけないのでなかなか難しいですね……。
公開性ならではの要素も絡むと、さらに難易度が上がりそうです。
……リストのお話のついでに伺いたいのですが、実は最近のラクドス・デーモンのリストだと、2マナ域に《逸失への恐怖/Fear of Missing Out》が採用されていることが増えてきたのですが、せっかくなのでアマハラさんにもご意見を伺ってみたいです!
《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》との比較になりますが、変わり谷が絡むハンドでも出しやすい&3枚目の土地を探して3マナのカードをプレイしやすい&2点で倒されないのは明確なメリットで、優先しても良いカードだと思います。
ただ《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》もルーティングのタイミングを自分で選べる、《致命的な一押し/Fatal Push》を使いやすい、除去として扱える、序盤のカードとして単体の打点は高い等の良いところがあり一長一短です。
私は除去モードに何度も助けられました。
追加の除去として使えるかどうかは大きな相違点ですよね~……。
マナを使わずに紛争達成して《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》で低タフネスを除去してから、大きいものは《致命的な一押し/Fatal Push》……は非常に強力な動きですし。
そう考えると、《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》は【ラクドス・ミッドレンジ】の攻撃性を担保しながら、受ける動き・妨害する動きも支えてくれている本当に良いカードだなと思います。
……では最後に、デッキのベストカードがあれば教えてください!
《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》です!
対策手段が無いデッキも多く、一度攻撃を通せばライフを削り切るプランを考えやすくなるからです。
コンバットがお得意なアマハラさんのプレイスタイルにもピッタリなカードですね!
今回のイベント
では今回のイベント……チャンピオンズカップファイナル・シーズン3サイクル1ですが、率直な感想はどうでしたか?
望外の結果を得れてびっくりしてます。
大型大会入賞も久々で中々無い緊張感があり楽しかったです!
助けてくれた仲間に感謝。
実は、第8回でインタビューさせていただいたプロレイジーさんとは同じコミュニティということで。今回のCCFに当たっても何かやり取りや調整などされていたのでしょうか?
調整はほぼ個人の裁量ですが、情報共有とか当日行動共にしたりはしてました。
プロレイジーとは1日目と2日目の戦績が同じで最終ラウンドも7位と8位でIDして、同じポーズで写真撮りました。
正統後継s……《手甲/Shuko》のポーズですね(笑)
別のトーナメント山だったので、決勝で当たる可能性もあっただけに惜しかったですね。
一人で海外行くのは不安なので、知り合いが居ることが確約されたのは嬉しいです。
プロレイジーさんともども、良い旅になることを願っています!
ちなみに、今回のイベントでのベストバウトは何だったでしょうか?
殆どがベストバウトと言って良いくらいギリギリの良い勝負が多かったですが、特に準々決勝の【赤単アグロ】戦で、トップ除去条件で除去を引いて勝てた時は今日はツいてるなと思いました。
ギリギリのゲームをトップ勝負まで持ち込めるか、というのも【ラクドス・ミッドレンジ】の醍醐味であり、強みの1つですよね!
逆に、今回のイベントでの反省点や、次の舞台までに改善したい点ってありますか?
準備不足の中で様々な幸運が重なって結果を得れたと思うので、次回は自分の中で満足いく状態で大型大会に臨みたいです。
これまでのインタビューでも、皆さん今回のCCFは本当に準備やデッキ選択が難しかったとおっしゃっていましたね……!
本当にご苦労が多かったことかと思います。ですが、ツキを味方に変えることも大型イベントで勝ち抜くには大事ですから!
最後に~ラクドス・ミッドレンジ使いへのエールと今後について~
では、最後のご質問パートになります。
今回のアマハラさんの結果を受けて、【ラクドス・ミッドレンジ】……ないしは【ラクドス・デーモン】を使ってみよう・使い続けてみようと思う方もいらっしゃるのではと思います。
アマハラさんから、そんな方々へのアドバイスやエールをお願いします!
除去ハンデスから《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》《不浄な別室/Unholy Annex》で全能感を得たり、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》から切り返したり、ラクドスはやれることが多くて非常に楽しいデッキでした!
元々【ラクドス・ミッドレンジ】を使用していた方には、デーモン型は非常におすすめです。
ありがとうございます!
では最後に、次の舞台にむけての意気込みをお願いします!
私の良いところは構築よりリミテッドに興味があるため、次回のプロツアーが新弾発売直後に開催される中でリミテッドの準備に時間を使えることだと思ってます。
普段とは全く違うゲーム感になると思うので、プロツアーの環境でドラフト出来るのが非常に楽しみです。
せっかくの機会なので全力で楽しみたいと思います!
リミテッド勢の本領発揮ですね……!
ぜひ、構築もリミテッドも楽しんでください!
おわりに
今回の入賞をきっかけに、初めてお話させていただいたアマハラさん。
リミテッド中心のプレイヤーさんということで、これまで伺った方々とはまた違った視点も交えてのインタビューとなりました。
コンバットへの高い意識に、デッキのパワーとご自身の特長も踏まえてのデッキ選択と、少ない構築フォーマットプレイ経験の中で今回の成績を収められたのは、間違いなくアマハラさんの経験と「巧者」の側面が出た結果だと思います。
そして、ドラフトを大変に感じられる方も多い中で、「楽しみ」という感想が出てくるのはアマハラさんらしいなと感じました!
ぜひ、大舞台での「巧者」たちとのドラフトも楽しんでいただきたいです。
改めてアマハラさん、ありがとうございました!
次回予告と宣伝
第3回となりました「巧者に訊く」CCF特集、いかがでしたでしょうか?
そして!CCF特集は続きます! 優勝の小笠原智明さんを含む2名の方のインタビューを現在準備中です!
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