眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。
さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。
今回は、2024年10月12日・13日に開催された「チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド1(以下、CCF3-1)」でトップ8に入賞された森川 大地さんことゾーンさんにお話を伺いました。
CCF当時、活躍し始めて間もない【セレズニア・カンパニー】を駆使して見事Top8に入られたゾーンさん。
新進気鋭の【セレズニア・カンパニー】の強みを、ゾーンさんは短い期間でどこに見出したのか?
それでは、インタビュー本編をどうぞ!
自己紹介
では、自己紹介からお願いします!
ゾーンと申します。
MtGは、高校生の頃に「ローウィン(2007年10月)」から始めました。
競技マジックを始めたのは正確には覚えていませんが、PPTQ制度があった頃(「カラデシュ(2016年)」あたり)は特に精力的に取り組んでいました。
コロナ禍でリアル大会が無くなったタイミングで一度休止し、また再開したという流れです。
普段プレイしているのは名古屋が中心で、近辺の大会に参加したりしています。
コミュニティとしては名古屋出身者中心で集まっている丸山組(仮称)というところで、主にDiscord上だったりリアルだったりでやりとりしています。
ちなみにコミュニティ名が(仮称)なのは、丸山さんという方が立ちあげたDiscordコミュニティなのですが、正式名称を決めたようなタイミングがなく、コミュニティ内では丸山組と呼称されていることが多いからです(笑)
好きな色は強いて言うなら緑で、好きなカードは1マナマナクリと《思考囲い/Thoughtseize》です。
今回はよろしくお願いいたします!
好きなカードが見事にパイオニアの花形カードですね(笑)
では、ずばり今回出された成績をお願いします!
CCF3-1で1日目7-1、2日目2-1-1の計9-2-1でスイスラウンド4位通過、
準々決勝で1没のTop8でした。
猛者ぞろいのCCFでスイス4位通過はすばらしいの一言ですね!
そしてこの後お話していただきますが……当時新進気鋭のデッキ・【セレズニア・カンパニー】で調整期間の短いなかでの入賞だったということで、今回はそちらにフォーカスしてお話を伺いたいと思います!
使用されたデッキについて
では、今回使用されたデッキと、デッキをあまり知らない方向けの簡単な説明をお願いします。
【セレズニア・カンパニー】を使用しました。
8枚入っている1マナマナクリーチャーから相手を妨害する能力を持ったクリーチャーを展開し、めちゃくちゃするデッキです。
《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》で行動を縛りながら《エイヴンの阻む者/Aven Interrupter》や《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》で盤面をロックしていくヘイトベアー的な動きが主になります。
2024年9月26日の禁止改定後、急速に勢力を伸ばし始めたデッキですね。
【アブザン探検コンボ】への対応力が非常に低かったのがネックでしたが、禁止改訂で【ラクドス・ヴァンパイア】と共に消えたことで、活躍できる土壌が整ったデッキです!
さて、調整期間がかなり短かったとのことでしたが……CCF当時、デッキ自体はどれくらいの期間使われていましたか?
CCFの約1週間前から使い始めました。
実は選択するデッキが完全に迷子でして……。
おお。そのお話、先んじて使用した理由として伺ってもいいですか?
CCFの1週間前のアメリカの地域予選でTOP8に一人送りこんでいて、勝率ベースでも一番勝っていたためというのが理由になります。
元々【緑単信心】が持ちデッキで、エリア予選も緑単信心で抜けていたのですが、【ラクドス果敢】が本当に無理で別のデッキを探していました。
【アブザン・パルヘリオン】を選択する公算が高くなっていたのですが、コンボに寄っていることが多く、サイド後がまったく安定しないためかなりしっくり来ていない状態でした。
そんな中、1週間前に【セレズニア・カンパニー】が結果を出していて、見た目は弱そうだったのですが、丸山組Discordのメンバーが実際に回しているところを見るとすごく強いデッキだなと感じ、他の選択肢を選ぶくらいならこのデッキにしようと思い選択しました。
たしかにしばらくアーキタイプとしては活躍していなかったデッキでしたし、入っているクリーチャーのラインナップもややパワーが低いように見えるデッキですよね、【セレズニア・カンパニー】。
では、そんな【セレズニア・カンパニー】、ゾーンさんはどこが強いと思ったのでしょうか?
トップメタが予想されていた【ラクドス果敢】に有利なところが一番で、次に多そうだった通常の【アゾリウス・コントロール】も《集合した中隊/Collected Company》を駆使してある程度戦えるところが良いと思いました。
あと、回ったときはかなりの押し付け具合になるので、ブン回ると楽しいところも良いところかもしれません。
ブン回りは予選でゾーンさんが使われていた【緑単信心】にも通ずる楽しさですね!
具体的な動き……カードの使い方やシナジーなどで特に強いと思った点はなんだったのでしょうか。
何点かあるのですが……
《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》がいる状態で《エイヴンの阻む者/Aven Interrupter》で打消しを行うと、相手のターンがタイムワープする上に、次のターンも計画したカードをプレイするだけでターンパスになるところ。除去が無いと完全に嵌まります。
その上でこちらは《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》などの登場時能力追放持ちで盤面に対処し、かつ相手ターンにもインスタントタイミングで動いて行動回数で上回れるところ。
そしてなにより、《永劫の無垢/Enduring Innocence》、あまりにもカード引きすぎ。
インスタントタイミングで動くカードも多いので、《永劫の無垢/Enduring Innocence》が居ると マナクリ1ドロー→相手ターンに《エイヴンの阻む者/Aven Interrupter》や《集合した中隊/Collected Company》で1ドローのような動きができ、息切れしない。
このあたりが特に強いと感じ、もちろん【ラクドス果敢】が多い環境が後押ししたこともあると思いますが、それだけではないデッキ自体の強さがあると思いました。
そう、先ほど「活躍する土壌」は禁止改訂で出来たというお話はしましたが、デッキとしての底力が上がったのはやはり「ダスクモーン:戦慄の館」で追加された新戦力・《永劫の無垢/Enduring Innocence》のおかげですよね!
自分も【アゾリウス・スピリット】でお世話になっていますが、【セレズニア・カンパニー】の《永劫の無垢/Enduring Innocence》は『本気(ガチ)』というか、例に挙げていただいた動きはもちろん、1マナクリーチャーでアクション数を伸ばしながらドローしたりと非常にデッキに噛み合っているのを感じます。
では逆に、デッキの難しい所・良くない所・デメリットはなんでしょうか?
単体のカードとしては強いカードがほぼ無いので、上振れ下振れが激しいところです。
《永劫の無垢/Enduring Innocence》と《集合した中隊/Collected Company》を引けない時はそれが特に顕著に感じました。
あとはマナクリデッキなので1→3の動きをすることが理想なのですが、3マナクリーチャーがほぼ白ダブルシンボルのため、1→3の動きをするときの1ターン目のランドの受け(緑1かつ白2を用意できる土地の組み合わせ)が12枚(ショックランド、ペインランド、ファストランド)しか無い点は少し気になりました。
そこはやや難点ですよねー……。
緑3マナでももうちょっとパンチ力のあるクリーチャーが居ればいいのですが。
白が強すぎるだけな気もしますけど。
ついでにお伺いしたいのですが……
長らく緑単を使われていたというお話ですが、緑単信心とセレズニアカンパニーだとかなり動きが違いますよね?
今回は1週間しか練習時間がなかったかと思いますが、動きを理解する・慣れるまでは結構大変でしたか? あるいは、デッキを理解するにあたりターニングポイントになった気づきってありますでしょうか。
マナクリーチャーが8枚入っているデッキなので大体同じです(笑)
……というのは冗談として、幸いにしてアメリカの地域予選の動画があったので、まずはそれを見て動きを確認しました。
それをベースとしていたので、慣れること自体はある程度スムーズにできました。
基本は相手が行動し辛いように動いて、《集合した中隊/Collected Company》は《エイヴンの阻む者/Aven Interrupter》《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》《人狐のボディガード/Werefox Bodyguard》の枚数を考えて打つタイミングを選ぶくらいかなと。
ただ、やはり時間は足りなかったので、本戦ではかなりミスしていたと思います。
動画から動きを読み解かれていたとは……!
言語も違うので解説も聞くのが大変でしょうし、自分があまりそういう勉強の仕方が得意ではないのもあるので、本当にすごいと思います。
使用したデッキリストについて
では、具体的なデッキリストの話を伺っていこうと思います。
一般的なリストと比較した際の、今回使用されたリストの特徴や工夫した点をお教えいただけますか?
これについては、時間不足のためアメリカのRCQのリストのほぼ完コピで出ることになりました。
変えた点はサイドの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》1枚を《ガーディアン・オヴ・フェイス/Guardian of Faith》に変更しただけでした。
4マナカードをサイドから3枚も入れるとめちゃくちゃもっさりしそうだったのと、前週に結果を出しているデッキなので意識して全体除去を取ってくる相手もいると思ったため、上記の変更を行いました。
なるほど、短期間ながらもメタの変化を予想されて微調整をされたのですね。
実際プレイしてみてのリストの感触はどうでしたか?
もともと結果を出しているリストなので、デッキ強いなーとか思いながら回していました。
ただ、大会中に小坂和音プロが以下のツイートをされていて、このデッキのことがすごくうまく言語化されているし、使用しているリストもかなり好みですごいなと思いました。
自分もこの投稿は拝見しました!
リストも「セレズニア・カンパニーは立ち位置が良い」というところからさらに一歩デッキを強くしようという意思が見えて取れて、自分も好きなリストです。
もし、今後セレズニア・カンパニーを使うとしたときに、小坂さんから取り入れたいと思った要素はあったりしますか?
メインボードに1枚投入された《忠義の徳目/Virtue of Loyalty》と増量された《人狐のボディガード/Werefox Bodyguard》ですね。インスタントタイミングで動きたい場面が多いので。
特に《忠義の徳目/Virtue of Loyalty》はサイズが小さいクリーチャーを大量に展開する関係上、ポン置きで勝てる場面が多そうで良さそうに思いました。
《忠義の徳目/Virtue of Loyalty》、スタンダードでもマスト除去・マストカウンターのフィニッシャーとして【エスパー・ミッドレンジ】などで活躍していたカードですからね。自分もパイオニアでも全然やれるカードだと思います!
パイオニア視点だと、ハンデスにも強いフィニッシャーになるのが良いですよね。黒だと《絶望招来/Invoke Despair》しかエンチャントに基本触れないですし。
調整したい点、という所で関連して伺いたいのですが、ゾーンさんが使われたリストであまり強さを感じられなかったカード・当時の環境に合っていなかったカードってあったりしましたでしょうか?
特筆しては無いのですが、強いて言えば《復活の声/Voice of Resurgence》でしょうか。
場持ちが良いところはメリットですが、《永劫の無垢/Enduring Innocence》と同じく追放除去に弱いですし、ふんわりとしたカードだったかなと思います。
非常に効果的なデッキも多いカードではあるんですけどねー。
永劫サイクルや《止められぬ斬鬼/Unstoppable Slasher》対策で追放が増えているCCF後の環境ですとさらに厳しそうです。
……では最後に、デッキのベストカードがあれば教えてください!
《永劫の無垢/Enduring Innocence》か《集合した中隊/Collected Company》です!
弱点はあれどやはり定着すると強い《永劫の無垢/Enduring Innocence》、そしてデッキ名にも冠される往年の名カード・《集合した中隊/Collected Company》! 文句なしのチョイスですね!
今回のイベント
では今回のイベント……チャンピオンズカップファイナル・シーズン3サイクル1ですが、率直な感想はどうでしたか?
あまりにもできすぎな結果で、夢だったプロツアーの権利が取れて本当に嬉しい結果になりました。
CCFは
・シーズン2ラウンド1 パイオニア ボロス召集(発見コンボ禁止前だったため緑単を断念)
・シーズン2ラウンド2 モダン 緑黒ヨーグモス
の2回出ていたと思いますが、どちらも初日落ちでした。
ギリギリのところでのデッキ選択が大きな結果に結びついたわけですね!
乗り換えはなかなか勇気のいることだったかとも思いますが、デッキの強さに気づくことのできたゾーンさんの経験値の賜物だと思います、
ちなみに、今回のイベントでのベストバウトは何だったでしょうか?
フィーチャーマッチすべてでしょうか。
フィーチャー経験もほとんどなかったので良い経験させてもらっているなあと思いました。
なんだかんだで緊張しましたし、あとから動画を見返したらミスりまくっていたので良いプレイができていたかは怪しいところです。
やはり何処のフィーチャーマッチも緊張する場ですからねー。
しかもCCFという大舞台ですから! 本当にお疲れさまでした。
逆に、今回のイベントでの反省点や、次の舞台までに改善したい点ってありますか?
一番は準備不足だった点ですね。
1週間前までデッキがまったく決まっていない状態で、「ダスクモーン」発売のタイミングでたまたま環境がかなり変わるレベルのデッキが【デーモン】、【マルドゥ・パルヘリオン】、【セレズニア・カンパニー】と3つも出てきて、その中で【セレズニア・カンパニー】を握ってかなり上振れてTOP8に入るというミラクルが起こっているので。
本来はそのあたりも事前準備して、理論的にデッキを選択できるようになるのがベストなのかなと思います。
本当に今回のCCFはデッキ選択の難しい場でしたね。
今振り返ってみて、他の2デッキについてはどうお考えですか?
どちらもすごくいいデッキでかなり回してみたいです。
ただ、両方とも今回結果を出したことでパーツがかなり値上がったので、使えるのはいつになるか……。
あ~~~。
他フォーマットでも活躍しだして、《不浄な別室+祭儀室/Unholy Annex+Ritual Chamber》と《逸失への恐怖/Fear of Missing Out》はどんどん値段が上がっていますね……。
4枚必須カードなので使うとなると悩ましい所です。
君このフォーマット何年やってるの?と言われそうですが、《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》も持ってないので……(笑)
最後に~セレズニア・カンパニー使いへのエールと今後について~
では、最後のご質問パートになります。
今回のゾーンさんの結果を受けて、【セレズニア・カンパニー】を使ってみよう・使い続けてみようと思う方もいらっしゃるのではと思います。
ゾーンさんから、そんな方々へのアドバイスやエールをお願いします!
見た目とは裏腹に粘り強く戦うこともできる良いデッキです。
回すときのコツは、まずはマナクリ→3マナクリーチャー→中隊の動きができることを祈ること(笑)ですが、相手のデッキに対して効きそうなカードを出しつつ、除去やカウンターをしていくクロックパーミッション的な動きのパターンも意識しながら動くと良いのではないかと思います。
《永劫の無垢/Enduring Innocence》か《集合した中隊/Collected Company》を引ければかなり強く動けるデッキなので、一度使ってみてください。
ありがとうございます!
では最後に、次の舞台にむけての意気込みをお願いします!
先日来年の製品発売スケジュールが出て、「霊気走破」発売1週間後のプロツアーとなることが判明しており、練習時間が取れるかわからない部分もありますが、ドラフトと構築ともに全力を尽くします。
そして初めてのプロツアーを全力で楽しんで、そのうえで結果がついてこれば最高です!
またもやなかなかシビアなスケジュールとなりそうですが、
ぜひプロツアー、楽しんでください!
おわりに
今回の入賞をきっかけに、初めてお話させていただいたゾーンさん。
「ミスも多かった」「ミラクルだった」とはおっしゃっていましたが、時間のない中でデッキを乗り換える決断を下し、短期間で情報の少ない【セレズニア・カンパニー】の強みを見いだし動きを身に着けたことは、まさしく「巧者」であったと思います。
また、【セレズニア・カンパニー】の弱み・改善点についても積極的にお話いただき、今後【セレズニア・カンパニー】を使いたい方にとってもご参考になるお話が伺えたのではないでしょうか?
次のプロツアーも研究期間が短そうではありますが、今回活躍したデッキを見る目・身に着ける腕でぜひご活躍していただきたい!と強く思うインタビューでした。
改めてゾーンさん、ありがとうございました!
次回予告と宣伝
第3回となりました「巧者に訊く」CCF特集、いかがでしたでしょうか?
そして!CCF特集はまだまだ続きます! 優勝の小笠原智明さんを含む3名の方のインタビューを現在準備中です!
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