眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。
さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。
今回は、2024年9月15日に開催された「第15期パイオニア神挑戦者決定戦(以下、15期パイオニア神)」でトップ4に入賞されたクロサキさんこと黒紫亜さんにお話を伺いました。
実は眞白井がパイオニアを始めたときからお世話になっている方でもあり、今回、念願の大型トーナメントでの上位入賞を果たされたこと、そしてパイオニアで長らく黒単を追求し続けている競技寄り視点のプレイヤーさんとして一度真面目なお話を伺いたかったこともあり、お祝いも兼ねてインタビューをさせていただきました。
オリジナルの黒単で、禁止改定後の乱動のパイオニアで結果を残したプレイヤーさんの考えとは?
そして、【無駄省き】ではなく【メガハンデス】を使った理由とは?
それでは、インタビュー本編をどうぞ!
自己紹介
【おしらせ】
今回は普段のインタビューよりもラフめの雰囲気でお送りいたしますm(_ _ )m
では改めて。自己紹介からお願いします!
一般PWの黒紫亜(くろしあ)です~。
MtGは「ミラディンの傷跡(2010年)」からだから、まあ十年以上やってますね。
普段は横浜~藤沢中心に遊んでいて、Discordではパイオニア神のプロフィールにも書いたねこすけさん※のたまり場や、眞白井のやってる「ましろい亭」にもお邪魔してます。
※ねこすけさん…眞白井の友人でもあるMtGプレイヤーさん。同じく競技視点のプレイヤー。
やー。いつもありがとうございます。
さて……ずばり好きな色は?
いわずもがな黒。
【大前提】
黒紫亜さんはあらゆる黒単を使い続けている生粋の黒使いである。
(大前提すぎてインタビューの中で話題にし忘れました)
パイオニア以前のカードも含めて、カード単位だと好きなのは?
《死の門の悪魔/Demon of Death’s Gate》とかかな~。あれは結構研究したからね。
あとは最近だと《欲深き者、エヴリン/Evelyn, the Covetous》とか。
あ~、《エヴリン》は黒紫亜さん研究してた印象強いわー。
研究し始めたちょっと後にスタンダードで使われ始めて、「おお~」ってなった記憶ある。
では、今回残された成績を教えてください!
「第15期パイオニア神挑戦者決定戦」で、スイスラウンド6-1-1、SEで準決勝敗退でトップ4でした。
実はね、スイスラウンドの1敗も波乱だったよねw
自分も現地に居たんですけど。
まさかのMTG Companionの通知が来なくて遅刻して負けて、その後全勝するっていう。
Companionへの敗北。
しかも、準決勝の負けも惜しくも土地詰まりというMtGの悲しみでの負けだったので、人に負けていない感がある。
あの日の黒紫亜さんは最強の男だった可能性があります。
そうだね~。
本当に神に行けたかもしれないけど、土地詰まりだけはどうしようもないね。
黒紫亜さんのこれまでの成績でも望外という感じだよね。
パイオニア神の入賞は目標にしていた印象がずっとあったので。
(MtGをしていて)第一目標は神決定戦のSEに入ることだったからね。
IDもギリギリだったから、現地で見守っていてSE入り分かったときは本当にうれしかった~
使用されたデッキについて
※以下、デッキとしての無駄省きは【無駄省き】、カードとしての無駄省きは《無駄省き/Waste Not》と表記します。
では、当日使用したデッキリストについてお話を伺いたいんですが……
これまでの方は既存アーキタイプがあったので、そのアーキタイプについて概観をお話しいただいていたんですけど、今回はぶっちゃけ黒紫亜さんのオリジナルデッキということなので、ベースになったであろうメガハンデス・無駄省きデッキの視点で、デッキを知らない方向けに説明してもらいたいです。
何から話そうかな~……。
まあ、【無駄省き】と【メガハンデス】の違いからかな。
この2つのデッキのコンセプトって似たようで違っていて、【メガハンデス】はそもそも相手の手札を無くすことを目的としていて、【無駄省き】は相手のカードを捨てさせることに注力してるんですよね。
だから戦略的に、どうやって相手の手札を捨てさせるかの工夫をするのが【無駄省き】で、【メガハンデス】はそれを全部撤廃している。
(【無駄省き】は)《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》とか…そういう引いて捨てるみたいなカードを意図的に何枚も採用しないといけなくて。
それに加えて、ハンデスや単体除去を多く採用して、《無駄省き/Waste Not》の能力でちょっとずつリソースを稼いでいこうというデッキ。
で、【メガハンデス】は相手の脅威が(ハンデスされて)完全に無いところから、こっちの脅威…このデッキだと《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser》《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》を叩きつけて、コンバットで勝つデッキ。
あー、そうなると一般的な【無駄省き】よりは攻撃的というか。
おおむねミッドレンジに近いのかな。
ただ、【黒単ミッドレンジ】よりは除去よりハンデスにカードが寄っている……みたいな。
そうそう。
【無駄省き】は《無駄省き/Waste Not》を置いてからゲームスタートなんだけど、【メガハンデス】は大量のハンデスからスタートが出来て、除去がないからこちらのクリーチャーは除去できないよね?……みたいなところがあるから、プレーのしやすさはかなり違うね。
調整の話は「ブルームバロウ」以前から小耳に挟んではいたんですけど、そのころから《無駄省き/Waste Not》は要らないんじゃないかって話してましたよね?
そこに今回新しいカード…後で紹介する《山賊の才能/Bandit’s Talent》が来て、【メガハンデス】としてデッキが成立するようになった、って感じ?
そうだね。
2マナの動きが黒単って強くなくて、何採用しよう?で《無駄省き/Waste Not》を採用せざるを得なかったのはあると思う。
ただ、《無駄省き/Waste Not》って単体で何もしなかったから……。
遊ばせてもらってて、黒紫亜さんは108通りの黒単を使ってるな~っていう印象があって(笑)
ただ最近はどちらかというとアグロ・ビートっぽいデッキが続いてたと思うんですけど、【無駄省き】系のデッキってこれまでは握ってた時期ってあったんですか?
チャンピオンズカップのエリア予選……競技シーズンは【無駄省き】は結構握ってたね。
それ以前は、あまりこういうデッキは使ってなかったかな。
そうなると、黒紫亜さん的には、《無駄省き/Waste Not》入っていないハンデスデッキとしては初めての試み?
そうだね。
本当に、《山賊の才能/Bandit’s Talent》が強いことに気づいて始まったデッキ。
ちょっと話を戻して。【メガハンデス】としてのデッキのメリット・いい所ってあります?
大体すべての土地がアンタップするから、1・2・3マナの動きが強いね。
あとよほどの不利デッキ以外には勝てる。特にアグロに対しては有利が取れると思う。
今回のパイオニア神は、【ラクドス果敢】がどれだけ暴れるかって話から始まっていましたからね。
【ラクドス果敢】もスイスラウンドで全部後手で当たったけどしっかり勝てたし、悪い選択ではなかったと思うかな。
そもそも、色を混ぜていると土地でダメージを受けながら戦わなくちゃいけないデッキが多いから。
あー。それは明確にメリットですね。
このあたりは、昔のモダンをやっていた時にも感じていたメリットだったかな。
逆に【メガハンデス】の難しい所・デメリットはあります?
噛み合わせが悪いとあっさり負けてしまうデッキではある。
あと、やっぱりビッグスケールの遅いデッキ……今だと【ボロス・コントロール】みたいなデッキには有利は取れない可能性が高いのが、弱いと言えば弱いかな。
噛み合わせ、っていうのはクリーチャーだけ引いちゃう・ハンデスだけ引いちゃう、みたいな?
それもあるし、フィーチャー卓で映った《思考囲い/Thoughtseize》撃ったら《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》が相手の手札に2枚ある……みたいな、相手の手札状況との噛み合わせもある。
それは受け入れるべき弱点かな……でも、入っているカードはこっちの方がひたすら強いからね(笑)
「ハンデスデッキの最大の弱点はトップドロー」とはよく言いますからね。
ただ、それを差し置いてもデッキとしての太さと現環境のアグロへの強さが、黒単の中でもこの形にしようと思った理由?
だね。
競技プレイヤーさんって、環境を見て「このデッキを握ろう」って複数のデッキの中から選ぶ方が多いと思うんですけど、黒紫亜さんの場合は環境を見てデッキを作っているから、よりメリットとデメリットの把握がはっきりしている気がします。
まあ、いい所も悪い所も含めてデッキを作らないといけないしね。
全部の良い所は採用できないし、しかも単色だし。
他の色を混ぜれば何とかなる……とかもプレイ主義的に出来ないから(笑)
やー。それでも1つの色や主義を極めている人ってかっこいいと思いますよ。
使用したデッキリストについて
では、具体的なデッキリストの話を伺っていこうと思います。
先ほど、【無駄省き】に《山賊の才能/Bandit’s Talent》を採用していてその強さに気づいて、《無駄省き/Waste Not》を抜いた……という話を聞いたんですが、【無駄省き】からどういう調整をしていったんですか?
さっき話した「相手のカードを捨てさせる」カードを軒並み全部抜いて、大掛かりに変えたかな。
それによって、【無駄省き】で固定枠だったカードも枚数を変えられるようになったのは大きかった。
《真っ白/Go Blank》を3枚に出来たり、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》も3~4枚から2枚に減らせたり。
《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster》も採用できて、《墓地の侵入者/Graveyard Trespasser》から攻撃しに行けるのも強いので搭乗できるクリーチャーは10枚採用してます。
あとは「相手のカードを捨てさせる」ギミックのために【無駄省き】だと採用できていなかった、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》も4枚採用できていて。
それで質の高いクリーチャーのプレッシャーは増えたかな。
【無駄省き】だと《敵意ある調査員/Hostile Investigator》みたいなちょっと質の悪いクリーチャーも入れないといけなかったから。
十分質良いと思うんですけどね、《敵意ある調査員/Hostile Investigator》。
4/4/3でハンデス出来なかったらバニラだし、ターン返したら負けるのは今の環境では弱くない?
たしかに……《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》みたいに回復できる、とかないと弱いか。
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》とか《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》の方が早くゲームを畳む力があるから、そういうカードは採用したかった。
あとは土地も【無駄省き】からだいぶ違ってるはず。
《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》が要らなくなって《爆発域/Blast Zone》に出来るようになった。
《爆発域/Blast Zone》3枚採用の理由は、今の環境は1~2マナが強いと思っていたから。
【ラクドス果敢】も1マナのクリーチャーが中心だし、あとはやっぱり【ジャンド・サクリファイス】。
1マナのカードが強すぎて練習で何回も負けて、回答は《爆発域/Blast Zone》しかないっていう結論になりました。
あとは《沈んだ城塞/Sunken Citadel》とかが減ったから《ロークスワイン城/Castle Locthwain》も取れるようになったのも変わったポイント?
そうだね。
あと《廃墟の地/Field of Ruin》も撃って強い相手……【アブザン探検コンボ】などもいなくなったから、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》に頼らずに沼カウントを確保できるようになったねー。
そうなると、1マナのカードも使いやすくなったし、ライフも払わなくていいし。アンタップインの数も十分。土地周りも改善されてます。
《無駄省き/Waste Not》って、4枚のためだけにめちゃくちゃデッキに負担かけてたんだな……。
思った以上に制約かかるし、自由なスロットも実はよく見るとないんだよねー。
《真っ白/Go Blank》4枚、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》4枚に《思考囲い/Thoughtseize》《致命的な一押し/Fatal Push》は計8枚固定で……その上で《無駄省き/Waste Not》4枚も固定だから、歪みまでは行かないけど固定化されてて。
そう考えると、負荷をかけているだけのパワーを《無駄省き/Waste Not》というカードは出せていたのか?ってなると疑問になりますね。
ただ、2マナ域って《無駄省き/Waste Not》って無くて……
……だったのが奥さん!!!
そう奥さん!!!
ここにある《山賊の才能/Bandit’s Talent》を見てください!!!
2マナでハンデスが出来て!!!
なんと相手の手札がなかったら2点ルーズですよ!ゲームが早くなりますよ!!!
重ね引きしてもえらい!!!
しかもサポートカードがマジで何もいらない!!!
《真っ白/Go Blank》は欲しいけど、今の環境では悪い選択肢ではないし。
……で、考えてたらこうなりました。
デッキの根幹だったカードを乗り換える勇気というか、「でも《無駄省き/Waste Not》強いから……」とかにならずにスパッと切り替えられたのは、長く黒単を使ってきて、「黒」という色のポテンシャルを分かっていたのは大きいのかな~と、今の話を聞いて思いました。
これで食ってきたからね~~~(笑)
【無駄省き】だけ使ってたらこだわっちゃいそう。
そうだね。
でも結局、強いデッキを作ったらこうなったというのが一番近いかも。
パイオニア神の時の環境なら、このデッキが最適解だったと言える。
「ダスクモーン」が出た今は分からん!!!
そうなんだよね~~~。
「ブルームバロウ」環境がもうちょっと続いて、このデッキが暴れているところをもっと見たかったかな。
今の環境でこのデッキがどれだけ強いかはマジで未知数。
でも逆に言えば、パイオニア神のあの瞬間にこのリストに辿り着けていたのは本当に良かったですね。これまでの研鑽の賜物というか。
よりみちのはなし:他の道
パイオニア神に向けたデッキは「ブルームバロウ」直後から研究してたんですけど、実はデッキの候補が2つあったんですよね。
ほう。
1つがこの【メガハンデス】で、もう1つが【オボシュ黒単】だったんだよね。
ただ【オボシュ黒単】は根絶さん※に相談したら「そのデッキ何に勝つのか分からん」って言われてその瞬間にやめた(笑)
ここに来て第2の黒単使いの名前が出てくるという。
※根絶さん……「黒単とデーモン」を座右の銘とするMtGを代表する黒単使い。実は黒紫亜さんと知り合ったのは根絶さん経由だったりする。
あの人も長い仲だから(笑)
でももう1つの道は高い所までつながっていたわけですからね。
そうなると……研究期間は1ヶ月くらい?
……いや、2週間無いかも。
9/8に知り合いとの調整会をした時に初めてこのデッキを使ったから、そんなもんかな。
すごいな~~~。
そこから9/11にデッキの大枠を決めて、知人と戦って細かい所を調整して最後にサイドを決めて、あのリストで参戦した感じ。
本当に短期決戦だ……。
しかも1人で考えたからね! 俺しかいないよあのアーキタイプ(笑)
改めて聞くと壮絶だー……。
調整会とかはあったとはいえ、フィードバックを受けても誰かと相談して決められないから。
すごい戦いですよほんと。
話を戻して
主な仮想敵は【ラクドス果敢】や【ジャンド・サクリファイス】だったって話をさっき聞いたんですが、他に何か意識したデッキはありますか?
コントロールは何人かいるはず※だから、それを見たサイドボードは何枚か取ったかな。
《腐食の荒馬/Caustic Bronco》がそれで、コントロールやコンボデッキに2ターン目からクロックになるクリーチャーが欲しかった。
後は【緑単信心】のために《絶滅の契機/Extinction Event》を残したとか、【ラクドス果敢】のために追加で除去を取ったりとか。
※コントロールは何人かいるはず……都内~横浜のパイオニア環境は、一定数【アゾリウス・コントロール】を固定で使用するプレイヤーがいるという特徴がある。
あとは墓地対策で《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》じゃなくて《虚空の力線/Leyline of the Void》を取ったことは大きかったかな。
あー、たしかに。
コンバットするデッキだと《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》が多い印象あるんですけど。
このデッキで勝てない相手に【ジャンド・サクリファイス】と【イゼット・フェニックス】があって。
そういうデッキに対して早く勝ち筋を潰せるカードが欲しかった。
相当キツい相手だし、バッチリ効くカードとしては《虚空の力線/Leyline of the Void》かなと。
自分もスピリットで《安らかなる眠り/Rest in Peace》派なのでちょっとわかるな。
《未認可霊柩車/Unlicensed Hearse》で2枚少しずつ追放しても《宝船の巡航/Treasure Cruise》が止まらないから……。
そうだね。
やっぱりちゃんとサイドの枠を割くなら、そのデッキを殺すくらいのカードを取らないと意味がないから。
その話を聞いてからこのデッキのサイドボードを見ると、「ああ~」って感じはする。
【ジャンド・サクリファイス】用に《漸増爆弾/Ratchet Bomb》や《金線の酒杯/The Filigree Sylex》を取っているのもそうだよね。
1・2マナのカードを徹底的に除去していこうっていう。残したら負けるから(笑)
ミッドレンジには《絶望招来/Invoke Despair》《最深の裏切り、アクロゾズ/Aclazotz, Deepest Betrayal》を入れてクロック刻んでいければおおよそ有利になるでしょ、という。
そう考えると、半端なカードというか……追加のハンデスとか《シェオルドレッドの勅令/Sheoldred’s Edict》みたいな、丸いカードが無いですね。
今は尖っている環境だから、尖ったサイドボードをしなくちゃいけないのは肌で感じていたから。
そうなると、実際に回してみても感触は結構よかった?
肌感覚は合ってたね。全部のサイドボードを使ったし。
怪しさはないこともないんだけど……あってもいいかな、くらい。
メインボードもおおむねこれで正解だったと思う。
あえて「ここ変えたかったな~」を言うなら?
……土地を1枚増やしても良かったかな~……。
あ~~~~~~。
《強迫/Duress》1枚か《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》1枚が土地でも良かった気がする。
《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》は4枚絶対だと思うし。
裏面が土地の《ハグラの噛み殺し/Hagra Mauling》含めて土地が26枚だったらちょうど良かったのかもしれないし、何とも言えない所ではある。
……そこが土地だったら、準決勝の土地詰まりもなかったかもしれないしな~。
準決勝はね~~~……手札で《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》が溜まっていたから、それを出せてクロック勝負ができていれば、いい勝負が出来ていた可能性はありますよね。
あれは惜しかった~……。
でも本当にそれくらいで、75枚かなり満足度の高いリスト?
そうだね~。
それを1週間で調整し切ったの本当にすごいと思う。
もっと自慢していい。
いやー、でもMtGは勝てば官軍だから。
調整すごいと言われても勝たないと意味ないよ。だからまあ、あとは奢らないことだね。
それはずーっと考えているかな。
すばらしい。
まあ、次は挑戦者決定戦優勝して神になるしかないんで!
……じゃあ最後に、このデッキのベストカードを教えてください!
やっぱり《山賊の才能/Bandit’s Talent》でしょ!
デッキを作ってくれたカードですもんね!
このカードはすごいね。
久々に2マナで強いカードというか……相手が選ぶハンデスで強いカードってあまりないんじゃないかな?
本当、ブレイクスルーの1枚。全部のレベル能力が強いし、しかも重ねて引いても強いし。
その強さに気づけて良かったですね‥…!
「ブルームバロウ」の才能サイクルって、パイオニア神が近くなるまで過小評価されていた印象があって。
《山賊の才能/Bandit’s Talent》もハンデス系デッキを握っている人が、《無駄省き/Waste Not》を切るだけのパワーがあると気づいていなかったからデッキになっていなかったわけで。
黒紫亜さん的にその強さに気づけたのって何でだろう、ってありますか?
そうだね~……《山賊の才能/Bandit’s Talent》だけで勝てることに気づいたからかな。
それが一番大きかった。
《無駄省き/Waste Not》はそれだけじゃ勝てないんだよね。
だから「【無駄省き】って《無駄省き/Waste Not》を抜いたらデッキだよね」って言われているのはたぶんそこが理由で……そうなるとゲームが長引く。
そこを《山賊の才能/Bandit’s Talent》だったら、これプラスハンデスだけでゲームが出来るのを使っていて気づいたからこうなったのはあるかな~……。
手札を削るだけだったら、クリーチャーも1対1交換取れればハンデスにはなるから、ということは《山賊の才能/Bandit’s Talent》のレベル2能力は発動させやすくなるので、構えるだけじゃ相手は勝てなくなる。
相手がクリーチャーを対処できなくても結局勝ちだから。
追加の勝利条件が増えたというか。
そうだね~。
《山賊の才能/Bandit’s Talent》の登場時能力の任意ハンデス自体も、相手が【無駄省き】って考えたら除去捨てるじゃん?
ということはこちらのクリーチャーは生き残ることが出来るから、それは《無駄省き/Waste Not》にはできない仕事だよね。だから1枚ハンデスすることにも意味がある。
(パイオニア神では)みんながみんな【無駄省き】って勘違いしたからね(笑)
あ~~~(笑) すごいな~、作戦勝ちだなー。
記事が出たら通用しなくなってしまうかもですが(笑)
いいんですよ? 除去を残していても。
クリーチャーか土地を捨てるしかないから。それはそれでこちらの有利になるし(笑)
今回のイベントについて
じゃあそろそろまとめに入ろうと思うんですが……
今回のイベント、率直な感想はどうでしたか?
……みんな強かったな~って思う。
気を抜いたら負ける環境だったし、やっぱり神決定戦はレベル違うよね。エリア予選とかと同じ位ある。
そこで当たりが良かったり引きが良かったりで勝てたから、後は挑戦し続けることだよね。
挑戦し続けて、今回の結果を出せたわけですし。
今後ともお互いに挑戦していきましょう。
そうだね~。
今回(「ダスクモーン」)、【スピリット】強くなるといいんだけどね。
【スピリット】ね~、めっちゃ研究楽しいです。
紙のデッキ2つほしい。話すと長くなるのでしませんが……。
ちなみにベストバウトって覚えてますか? この一戦めっちゃよかったとか。
準々決勝の【ジャンド・サクリファイス】戦は……マジで全部刺さったよね(笑)
あれはすごかったですね(笑)
容赦がなさすぎた。
※眞白井は現地で準々決勝まで観戦していた。
1ゲーム目は《波乱の悪魔/Mayhem Devil》3回除去してから《爆発域/Blast Zone》で全部流したからね(笑)
2ゲーム目も《真っ白/Go Blank》2連打で全てリソースもぎ取って、展開させてからの《爆発域/Blast Zone》(笑)
お相手も《致命的な一押し/Fatal Push》4枚引いちゃってたところに、《ドロスの魔神/Archfiend of the Dross》出して紛争達成できないタイミングで《思考囲い/Thoughtseize》したりね。
あれは観戦しながら「あ、黒紫亜さん今日の人だな」って思った。
お相手さんも両ゲーム共にけっこうテンポよく展開されてたので、大丈夫かな~って思いながら見てたんですが、ドロー見たら安心しました。
逆に、反省点や今後頑張りたいポイントってありますか?
MTG Companionの通知は信じないことですね。
あれはマジで許せない……。
(笑)
まああの試合も戦ったら負けてたかもしれないんだけどね。
他に語っておきたいこととかってあったりしますか?
せっかくの機会なので。
語っておきたいことというか……あれだね。
私のデッキをもっと誰か使ってください。
フィードバックあったら随時受け付けるんで……
ちょうど最後に訊こうと思っていたことだった(笑)
今回の結果を見て、このデッキを握りたい方もいるかと思うので、その方に一言お願いします!
(デッキの回し方で)何が難しいかが自分ではよく分からないので、何が難しいかをちょっと教えてほしいかな……。
後はフィードバックください……俺一人じゃ開発しきれないよ……無理よ……。
これは太字で書いておきます(笑)
みんな使ってね!!! そんなに難しくないよ!!!
サイドボード分からないんだったらサイドボードの記事も書けたら書くから……どこかで説明するから……。
次の環境でも頑張ってください!
……頑張って背中追いかけます!!!
そうだぞ~~~。エイドさんも早くトップ4入らなきゃ。
そうなんだよね(笑)
トップ16・トップ8入ったやった~~~って言おうとすると、黒紫亜さんが「お???」って言ってくるから(笑) ……頑張ります。ウッス。
SEで当たろう。
ですね!
おわりに
今回初めて、デッキについて深いお話を聞くことが出来た黒紫亜さん。
普段の会話の延長線上のような朗らかな雰囲気のインタビュー時間でしたが、「黒単」というこだわりを貫きながらも既存のデッキやカードに囚われず構築を追求する姿勢と、それを実現させる柔軟な視点と経験値を会話の中でひしひしと感じて、改めてすごい方と遊ばせてもらっているんだな……と感心しつづけていたインタビューでした。
これまでも1つのデッキ・アーキタイプを極めた方をインタビューさせていただく機会は「巧者に訊く」の中でも何回かありましたが、アーキタイプを跨いでの「黒」を追求するプレイスタイルは、これまでの「巧者」の皆さんとはまた違った強さ・巧みさを感じました。
そして一番自分の心に残ったのが、「自分のデッキをもっと使ってほしい」という言葉。
どうしても一つのこだわりを貫いていると、「専用機」「職人デッキ」というラベルがついてしまうのはMtGの難しいところ。
ですが、自分のデッキを誰かに使ってもらえるというのは、独自の構築を作ったプレイヤーにとっては大きな名誉なのだと思います。
この記事をきっかけに、黒紫亜さんが気づいた《山賊の才能/Bandit’s Talent》の強さ、そして【メガハンデス】の強さが少しでも広まってほしいですし、そうなることが「巧者に訊く」の存在意義の1つでもあると思います。
改めてプレイヤーインタビューの意義に気づかされたという点でも、とてもいい機会となりました。
改めて黒紫亜さん、ありがとうございました!
次回予告と宣伝
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