眞白井エイドです。
普段は、YoutubeでMtGパイオニアに関する配信や、Twitterでパイオニア週刊紙「週刊ふんわりパイオニア便り」を発行しています。
さて、この記事企画「巧者に訊く」は、パイオニア競技イベント/大型イベントで結果を残されたプレイヤーさん=【巧者】に、デッキやプレイ、あるいはバックグラウンドに関するお話を訊いてみよう!というインタビュー企画です。
今回は、2023年7月末に開催の「プロツアー指輪物語(バルセロナ)」の権利を獲得された、小原裕一郎さんにお話を伺いました。
(参加は次回・プロツアーエルドレインの森(仮)とのこと)
今回をきっかけに初めてお話する方だったのですが、とても気さくに、そして熱心にお話してくださり、ボリュームたっぷりの記事になりました! その文量、なんとびっくり約1万字!!!
デッキ選択の話からリスト調整、そしてプレイングまで……ラクドス・ミッドレンジの「巧者」の知識がギュッと詰まっています。
それでは、本編をどうぞ!
自己紹介
まずは、自己紹介からお願いします!
小原裕一郎(おばら・ゆういちろう)と言います。
Twitterはマラソンマンという名前でやっています。
MtG歴は、小中学生の頃「オデッセイ(2001)」~「神河救済(2005)」の頃は草の根大会で遊んでいて、お休み期間を経て「エルドレインの王権(2019)」で復帰しました。
現在は横浜周辺でプレイしており、晴れる屋川崎店や横浜店、TCにも気まぐれで遊びに行っています。
横浜のコミュニティ「PHC(PowerHouseClub)」へ混ぜて頂いていまして、Discord上で交流や情報交換等も楽しくさせてもらっています。
復帰はけっこう最近なんですね!
PHCさんは、最近メンバーの方がどんどんと結果を残されていて、あちこちで注目されているコミュニティさんだと感じています。
ちなみに、好きなモノも教えていただけますか?
食べ物は盛岡冷麺が好きです!
カードだと「珍宝トークン※」が好きですね!
周りで使っている人が羨ましくて、2度秋葉原のショップを探し回っても見つからず、絶望していたところをPHCメンバーから譲って頂いて、大事に使っています。
ファイナルの配信台で出すのを目標にしていたのですが、配信台へは座る機会はなく終わったのは心残りです…
※中国簡体字版の宝物トークン。ちなみに読み方は「ジンポー」が近い。
まさかのトークン。
光り輝くfoil珍宝を持っていないので探しています。
売っているお店の情報欲しいです!
では、ずばり今回出された成績をお願いいたします!
1日目 6-2-0
2日目 3-0-1
スイスラウンドは9-2-1で3位通過でした!プロツアー権利獲得です!
決勝ラウンドは1戦目で敗退でした……
集中力が続かず、8ラウンド目はタップ状態の砕骨の巨人でブロック指定して、恥ずかしさで顔が真っ赤になりリアルライフポイントが0になって敗北していたり。
デッキ的に少々不利なマッチアップが多く、厳しいスイスラウンドでしたが、大きく不利な奇怪な具幻(ケルーガ・ファイヤーズ/ヨーリオン・ファイヤーズ)に当たらなかったので決勝ラウンドへ進むことができました。
緊張の中の長丁場は時々バグりますよね……お疲れさまです!
先に言ってしまいますが、小原さんが使われたラクドス・ミッドレンジは、今回のファイナルでもなかなか包囲網がきつかったかと思います。
その中でのスイス3位通過……お見事です!
使用したデッキについて
ではそんなラクドス・ミッドレンジ。
有名デッキではありますが(笑)、あまり詳しくない方向けの簡単な説明をお願いします。
相手のクリーチャーを除去、手札を捨てさせて、動きの鈍っているところをクリーチャーで攻撃して勝つデッキになります。
サイドボード後、時にはクリーチャーを減らしてゆっくり相手へ対処していき、枚数差で勝つ等の別な戦略も取れる面白いデッキです。
いやー。動きを文字にするとシンプルなんですが、本当に隙の少ない強さなんですよねー……。
ちなみに、ラクドス・ミッドレンジはどれくらい使われているんですか?
たしか、今回のサイクル3の店舗予選が始まった2023年2月辺りから使い始めました。
初回しだった予選では、ラウンド間にデッキガイドを読みながら対戦していました(笑)
ちなみに、2月以前はどんなデッキを使われていましたか?
実はパイオニアは、2月の店舗予選から攻略を意識し始めたフォーマットで、それまではデッキを1つは持っていましたが、(競技として)攻略しようとは意識のしたことの無いフォーマットでした。
2月まではスタンダードとレガシーを気まぐれでプレイしていまして、スタンダードではグリクシスミッドレンジを使用していました。
去年の5月辺りから、スタンダードではずっとグリクシス・ミッドレンジを使っていました。
パイオニアのラクドス・ミッドレンジに構造の似ているデッキで、そこでテンポ感を掴んで、パイオニアのラクドス・ミッドレンジへ応用ができたのかもしれません。
たとえば、自分が《税血の収穫者》出すのと、打ち消しを構えて《鏡割りの寓話》を消すのどっちがいいの? とか、テンポって言うのかな……それによる盤面の違いを単純化して、考える癖を身につけた気がします。
なるほど、ミッドレンジ使いとしての下地をスタンダードで身につけられていたんですね!
打消しの有無はありますが、盤面とアドバンテージの管理はミッドレンジでは非常に重要だと思うので、その基本が出来ていたのは大きそうですね。
では、デッキの良い所・メリット……まあ盛りだくさんなデッキだとは思いますが(笑)、特に感じているところを教えていただけると!
ハイパワーなカードが多く入っており、概ねどんなデッキにも対応できることです。
入っているカードがどれも優秀で、
立っていれば自動的に勝つ《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》、
裏返ると無限税血編※へ入り、放置はできない《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》、
1マナでクリーチャーを除去する《致命的な一押し/Fatal Push》、
好きなカードを捨てさせる《思考囲い/Thoughtseize》……。
うーん、んぎもじいいいいいいい!!!
※無限税血編…《税血の収穫者》を《キキジキの鏡像》でコピーすることで、クリーチャーの生存権が無くなる状況のこと。つらい。
いやー、楽しそう! 使われている側としたらたまったものではないんですが(笑)
無限税血編は本当にヤバいですよね。後半引いた《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》が急に勝ち筋になったり。
逆に、デッキの難しい所・良くない所・デメリットってありますか?
デメリットといえば、派手さが無く地道にコツコツ戦うので爽快感は薄いことですかね……。
また、手札の出せるものを出すだけでも強いのですが、工夫次第で更に強くなるデッキのため、その点も難しいです。
ミシュラランドの起動や、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》、《黙示録、シェオルドレッド》を出すタイミングは特に難しいです。
ラクドス・ミッドレンジは楽に勝てるデッキではないとは、たしかにあちこちで聞きますね。
プレイに慣れるまで、何か参考にしたものはありますか?
デッキガイドとコミュニティのラクドス関連の書き込みを読んでひたすら遊ぶ!
それと、人との対話から生まれるナマの情報が必要だと思い、コミュニケーションを積極的に取るようにしました。
当たり前の攻略情報でもいいので、コミュニケーションを取ることで理解度が上がるのを実感したので、会話はアドバンテージだと思います。独りよがりなマウントでは意味がない。
分かる気がします。
違う意見はもちろんのこと、自分が当たり前だと思っていることを、他のプレイヤーの目線でも当たり前だと認識することって、意外と理解が進むんですよね。「当たり前」に至るまでの考えのルートも時には違ったりして。
自分もテーブルトップの場でコミュニケーションをするのは大好きで、最近デジタルMtGから足が遠のいているのも、コミュニケーションの量が格段に違うというのはあります。
プレイに慣れるためには、ひたすら遊び、コミュニケーションを取ること!
では、そんなメリット・デメリットを踏まえて、ラクドス・ミッドレンジを使用しようと思った理由は何でしょうか?
このデッキが一番強いと言われていたので、これだけを練習しました。
2つ3つのデッキを使えるほど器用ではないので、1つのデッキを集中して練習しました。
ラクドス・ミッドレンジは環境でとても意識されやすいデッキで、特に最近の海外RCQでは勝率や成績が伸び悩んでいた印象もあったのですが、それでも日本のファイナルで「慣れている」以外にラクドス・ミッドレンジを選び続けるメリットは、何か考えられていましたか?
メタゲームは循環するものだと思っていて、海外のRCQでは立ち位置が悪く見えましたが、それ以上に立ち位置悪くなるとは思えなかったので使ったというのはあります。
実際は立ち位置最悪でしたが…………
僕の場合は、複数個デッキを回せるほど器用ではないので、1つのデッキを練習して都合の良いメタゲームになったらラッキーくらいで考えています。
しかしそんな中でもラクドス・ミッドレンジは、《思考囲い》でキーカードを捨てさせて、相手を機能不全にできれば、(不利なメタゲームでも)ある程度そこそこ戦えると思い、安心感はありました。
《思考囲い》の存在は、やはりラクドス・ミッドレンジの対応力を支えていますよね。
ちなみに、2月以降に乗り換えを検討したデッキはありましたか?
うーむ、乗り換え候補はラクドス・サクリファイスかなー。
しかし、このデッキは《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》や《魔女のかまど/Witch’s Oven》、《波乱の悪魔/Mayhem Devil》の誘発など、意識をプレイ以外のゲーム処理に使う箇所が多く、以前に別なイベントにラクドス・サクリファイスで挑んだ際は、1ラウンド目ですぐにジャッジから警告2をもらってしまって、苦手意識がついちゃいました(笑)
競技での長期戦を想定すると、頭のリソースを使わないことも大事になりますよね。
プロの方でも「あまり考えない」を理由にしたデッキ選択をされることもありますし。
デッキリストについて
では、この辺りで具体的なデッキリストのお話に移ろうかと思います。
一般的なリストと比較した際の、今回使用されたリストの特徴や工夫した点を教えていただけますか?
工夫はなく一般的なリストを使いました。
ラクドス・ミッドレンジにも種類がありまして、攻めるカードの多いヤソドス型、ドローソースの多いミスプレ型とあります。
ヤソドス型は、PTファイレクシアで八十岡翔太さんが使われて広まった、《変わり谷/Mutavault》を積極的に採用したタイプですね。
ミスプレ型はあまり聞いたことがないのですが、どこが出所のリストなんでしょうか?
えーと……
(やべっ、身内がミスプレって読んでたからマネしてただけでわからん!? 助けて、袁術陛下!)
(代理)
(misplacedgingerことDerek Pite氏というMO強豪のプレイヤー名からミスプレ型と呼んでいるnoteがありまして、そこからですね)
だそうです。
※デブドス、ロークスワイン型など人によって呼び方が異なるようです。
僕が使用したヤソドスのリストは、八十岡翔太さんが晴れる屋TCでの第11期パイオニア神挑戦者決定戦で使用していたラクドスミッドレンジと、メインボードは全て一緒の丸コピです。
サイドボードは少し調整をしまして、《強迫/Duress》と《衰滅/Languish》を減らして、《真髄の針/Pithing Needle》と《碑出告が全てを貪る/Hidetsugu Consumes All》を入れました。
直前にPHCと他所のチームで合同調整会をした際に、ラクドス・サクリファイスの話が多く出た気がしたのでそれを意識しています。
《真髄の針》はお気に入りで、デッキ公開性という特性を活かせるカードでもあるので、まず最初にサイドへ採用しましたね。
ふかめのより道 =《真髄の針》について=
《真髄の針》は、確かに公開制大会では刺すターゲットが明確にしやすいのは、良い所ですね!
サイドイン・アウトの判断もしやすくなりますし。
ただ一方で、メタゲームによっては腐りやすい一枚かと思います。
やはりそこは、刺しやすい相手……緑単信心やアゾリウス・コントロールも多いと読んでの採用だったのでしょうか?
その他に、刺すのを狙っていた相手やカードがあれば伺いたいです。
アブザン・パルヘリオンやロータス・コンボに対しては(特に)入れようと思ってて。
パルヘリオンに対しては様子を見ながら指定、ロータス・コンボは《演劇の舞台/Thespian’s Stage》を指定するつもりでした。
パルヘリオン、ロータス・コンボのマッチは共通して、なんでもいいから1ターンでも稼ぐことが重要だと思っています。
あわよくば2ターン以上ロック、1:2以上の交換をできる可能性を秘めており、アドリブは必要になりますが、お気に入りのカードです。
たしかに、パルヘリオン相手だと、機体3種に《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》と刺せるカードが多いので、だいぶアドリブが求められそうですね。
そうですね、アドリブは必要になります。
僕の想定しているマッチアップでは、《真髄の針/Pithing Needle》は1ターン目に置いて強いカードではないです。
なのでアドリブと言っても対処札で割られる前提で、テンポ的に割るには1ターン使用させるような時に置く……というだけなんです。
ふむふむ。
例えばわかりやすい所だと、ロータス・コンボ相手の(後手)3T目あたりですかね。
ロータス・コンボの4ターン目は、《睡蓮の原野/Lotus Field》を置きながら《演劇の舞台/Thespian’s Stage》でコピーをするターンになります。
ロータス・コンボ側の3T目に土地が起きていなければ、そのターンに《真髄の針》を置くことで、それを割るために4T目で《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》を使用されたとしても、その分のマナを使ってくれて《睡蓮の原野》コピーはされないので、1ターン稼ぐ事ができるわけです。
……まあ、ロータス・コンボ側がそんな隙は見せてくれないので、あくまで例ですが。
もし1ターン目に《真髄の針》を置いた場合は、《耐え抜くもの、母聖樹》ですぐ破壊されてしまってコンボの速度が変わらないという、何も役に立たない置き方になってしまうことがありえます。
手札次第では、《真髄の針》を1ターン目に置かないと動きが悪くなるため置くこともありますが、基本的には止める目的のカードが動き出す直前に置くことで、対応を求めて時間を稼ぐような強い使い方をしていきたいです。
《真髄の針》の対ロータス・コンボへの置き方については、「下手な置き方ならあまり怖くない」という話は、ロータス・コンボ使いの方のTwitterかな? そこで見た記憶がありますね。
アブザン・パルヘリオンも《ウィザーブルームの命令/Witherbloom Command》という対策札がありますし、しっかり相手に対応を迫って速度を遅くすることが肝要、というワケですね!
ふかめのより道② =アグロとドローのトレードオフ=
では、実際にこのリストを回してみての感想はいかがでしたか?
このリストは攻める戦略をとれます。
決して速度が早いわけではありませんが、コンスタントにクロックを出すことができます。
ファイナルでは負けてしまいましたが、エニグマ・ファイヤーズ/奇怪な具幻に対して、不利具合が縮んでいるのを感じました。
他にも、ロータス・コンボ相手にも《思考囲い/Thoughtseize》を絡めれば、コンボが決まる前に畳めるようなことが出来るため、ミラー以外への相性が良くなっています。
それと軽めのカードが多くなっているため、素早く手札を使い切って《ヴェールのリリアナ》の+1を強く使える点も感触よかったですね。
ちなみに(調整中に)変えたいなと感じた点もあって、《ロークスワイン城/Castle Locthwain》と《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa, Titan of Death’s Hunger》をねじ込みたいけど、入れるとアグロとして弱くなるジレンマを感じましたね。
ねじ込みたかった理由とは?
ヤソドス型のアグロ戦略を残しつつも、ミスプレ型の強みも持たせることができないかと思って、《ロークスワイン城》と《クロクサ》を入れてみようかと試してみたことがあるんです。
ミスプレ型は、《ロークスワイン城》や《勢団の銀行破り/Reckoner Bankbuster》、《死の飢えのタイタン、クロクサ》 を採用しており、アゾリウス・コントロールとミラーマッチに対して強くなっています。
アゾリウス・コントロールとミラーの両マッチアップは、使えるカードの枚数が勝敗に大きく影響するため、ドローエンジンの多いミスプレ型はそれらに強いというわけです。
ドロー要素はある程度アグロプランとトレードオフになるところもありそうですが、実際試してみるとどうでしたか?
……失敗に終わりました。。。
あらま。
アグロプランとトレードオフというのはまさにそれで、《ロークスワイン城/Castle Locthwain》のアンタップインは沼カウント的に非常に怪しく、アグロ戦略と噛み合わせが悪いように感じました。
また、《クロクサ》の感触も悪かったです。
《変わり谷》を採用している都合上というのもあるのですが、何より序盤で手札で何もしないために、アグロ戦略をする場合の完全なハズレ札となってしまった。
脱出でキャストすればその損失を補う働きをしているように見えますが、(元々苦手な)エニグマ・ファイヤーズやロータス・コンボ等にそんな悠長なことをしてはいられないと思って、純正ヤソドス型へ戻すことになりました。
たしかに《クロクサ》は強いカードではあるのですが、序盤だと相手の手札も多いうえに、何よりクロックとして使えないのは非常に痛いですね。
同マナ域にクロックの鬼・《税血の収穫者/Bloodtithe Harvester》も居ますし。
そろそろ本題にもどります
では、そんなあれこれを経て、アグロ戦略を取れるヤソドス型を選ばれたということですが。
本来のプレイプラン……ミッドレンジ戦略も変わらず取れることが、ヤソドス型の魅力の1つかと思います。
個人的に気になるのですが、アグロ戦略とミッドレンジ戦略でカードの切り方って結構変わったりしますか?
基本的にマッチアップで事前に戦略を決めて動きますが、盤面次第でアドリブはあります。
事前の戦略としては、例えばミラーマッチの1セット目は《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》に当たるカードを出すと盤面が動き出してしまうので、構えているところへ《税血の収穫者》を飛び込ませることはしませんかね。
ミラーマッチは最終的に消耗し合うゲームになるというのは見えているので、無駄な消耗は控えて唱える枚数で勝負するときに放出する、あるいはハンデスで砕骨の無いことを確認して出すなど、ゆっくりどっしりと動きます。
おお、もう序盤から動きのプランをしっかり定めていないと上手く戦えない、と。
ラクドス・サクリファイスと対戦するときも、ミッドレンジ的にどっしりと構えて行きますね。
軽いクリーチャーを出すと《初子さらい/Claim the Firstborn》で損をするため、出さずに消耗させたいですが、メインゲームでは《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》への根本的な解決策が、《苦難の影/Misery’s Shadow》頼りな点が辛いですね……
……といった感じで基本的に両方のラクドスへはミッドレンジプランを取るのですが、除去を持っていない隙を見つけしだい、《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》で早めに畳み込むアグロプランに切り替えることもあります。
一度、4ターン目に《黙示録、シェオルドレッド》を出して決めたセットもありました。
そこは相手のハンドを読みながら、ギアを切り替える腕が問われる部分ですね!
ラクドス・ミッドレンジのプレイ難度が高い理由の一つかもしれません。
では、デッキのお話の最後に。このデッキのベストカードがあれば教えてください!
珍p。。。
※「珍宝」の読み方は「ジンポー」が近い。
いえ、《思考囲い/Thoughtseize》です。
《思考囲い》は、相手のカードを落とす以外にも、落としたカードには戦略と戦術を読み解くための情報が入っています。
逆に落としたカードからこちらの手札が読まれてしまう点もありますが、将来的な脅威やこちらへの対処札をを処理できる強いカードです。
すべてのマッチでこのカードにお世話になり、 白単人間を相手にするときも、《黙示録、シェオルドレッド》への対処札を落とす、もしくは《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》を事前に処理してくれるので、全部はサイドアウトせずに残しました。
セオリーに反するサイドボードですが、それくらい《思考囲い》を強いと思って使いました。
その話で思い出したのですが、スタンダード神の酒井さん(MOではotakkun氏)のラクドス・ミッドレンジの記事を読んだときに、セオリー的に強いと言われているカードでも自分のプレイに馴染まなかったら抜く判断をする……という話をされていて。
それが記事の中で一番自分が印象に残った話なのですが、小原さんの《思考囲い》への一貫した信頼性のお話を伺って、自分が強いと思う点・ゲームプランがあるのならば、一般的なセオリーに反してもそのプランを貫くことの重要さを感じました。
……もちろん、そのプランが本当に強い場面がある、という前提はありますが。
特にラクドス・ミッドレンジだと、丁寧なリソース管理が必要な部分と相まって、自分がやりたいゲームプランを明瞭にすることは、より大切なのかもしれません。
苦手なデッキへの耐性を上げられる、アグロプランがあるという理由でヤソドス型を選ばれたことにも通ずる点ですね!
ラクドス・ミッドレンジ使いへのエール =おわりに代えて=
ファイナルでもそうだったと思いますが、ラクドス・ミッドレンジはメタゲームでの立ち位置が厳しくなりつつあり、先日の「週刊ふんわりパイオニア便り」でも取り上げたように、MOでも入賞数が落ちつつあります。
そんな中でも、対応力の高さやこれまでの実績でラクドス・ミッドレンジを選ぶ、あるいは握り続ける方はいるのではないかと思います。
そんな方々への先達としてのアドバイス、あるいは気を付けてほしい基本のプレイングなどがあればお願いします!
ラクドスで勝てなくて悩んでいるプレイヤーは多いと思います。
意外と選択肢の多いデッキで、砕骨の巨人を出来事を経由せずに出す場面や、ヴェールのリリアナを出してはいけない盤面等、オールインする場面と逆に手札に出せるカードがあるけれども出してはいけない等あります。
マジックはゲームが始まれば、手札の7枚を順番に出すシンプルな選択肢が少ないように思えますが、自分だけでは気が付けない選択肢が存在することもあり、対戦相手のデッキがわかっていれば通常であればマリガンするような土地7枚でキープしても勝てることがあったりと、選択肢は多いです。
ラクドスやmtgに限った話ではなくなりますが、これに気付かせてくれる他人からのアドバイスは本当に貴重です。
これは強いプレイヤーの声を聞けという意味ではなく、語り合える仲間がいると素晴らしい、という話です。
アドバイスをする、受け取ることは難しいことですが、健全にそれができれば良いプレイができると思います。
ここについては、長らくPHCさんという調整チームにいらっしゃるからこその視点と、小原さん個人としての視点の両方があって、興味深いなと思いました。
PHCさんのような近いモチベーションの仲間の集う場所で積極的に意見交換や練習を出来る……というのがある種の理想ではないかと、個人的には思っているのですが。
その場が無くても、対戦で会った相手や考察記事などから、「他者からのアドバイスをしっかり受け取る」ということは出来ますし、逆にそういう意見交換の場があっても、そのスタンスが無ければ意味がないなー……と。
きっと、小原さんが今回の素晴らしい結果を残せたのは、素晴らしい仲間の皆さんからのアドバイスがあり、そして小原さんがそれらをしっかり受け取って、自分の中での深い考察と試行錯誤を経て、自分のものに出来たからなのかなと、お話を伺って思いました。
大きな大会に向けて一人で調整される方も多いのではと思いますが、小原さんの「外からの気づきやアドバイスをしっかり自分のものにする」というスタイルは、そんな方たちにもエールになるのではないでしょうか!
では最後に、プロツアーへの意気込みをお願いします!
お金欲しい!!
有名プレイヤーへ勝ってドヤりたい!
素直だー!!!
実は初めての海外渡航で、パスポートをもってないので現在申請中というのもあり……バルセロナ行きを延期してPTシカゴ(プロツアーエルドレインの森(仮))へ変えてもらったんです。
正直なところ、自分に足りないものがありすぎて勝てるとは思っていないですが、経験値を持ち帰って共有できればいいなと思っています。
本番は少し先になりますが、そこまでに色々な積み重ねをしていただいて、フルパワーで臨んでいただきたいです!
小原さん、たくさんのお話をありがとうございました!
眞白井のひとこと
小原さんは、今注目のコミュニティ「PHC」から輩出されたプロツアープレイヤー……ということで、(あまりそれを質問の主軸にしてはいけないなと思いつつも、)やはり「同じ視点の仲間」の力は大きいのだな、と最後のコメントから感じました。
ですが、小原さん個人のラクドス・ミッドレンジ研究の熱さ・深さも本当にすごく、今回の結果を残せた理由としての比重も、相当な物だと思います。
自分としてもたくさん気になるところを質問してしまい、この量になってしまいました(笑)
アドバイスを大切にする姿勢も含めて、勝利への貪欲さ・追求力の大切さを、改めて感じさせられました。
あらためて、小原裕一郎さん、本当にありがとうございました!
次回予告と宣伝
次回は、パイオニアオープンにて、アゾリウス・コントロールでTop4入り・次回チャンピオンズカップファイナル権利を獲得された、袁術陛下さんにお話を伺います。
こちらも非常に熱意の籠ったお話を伺わせていただいております!お楽しみに!
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それでは、また!